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ポジティブ感情を味わう ―人生100年時代のポジティブ心理学

こんにちは、ライフシフトnote担当です。

今回は、弊社の吉崎 奈緒子講師に
人生100年時代のポジティブ心理学について執筆してもらいました。
ポジティブ感情の効能やよいこと探しのコツをお伝えいたしますので、
ぜひご一読ください!


吉崎 奈緒子
ライフシフトコンサルタント


大手金融機関にてシステム開発プロジェクトなどに従事したのち、米国コロンビア大学教育大学院にて心理学を専攻し修士号取得。帰国後、企業における従業員へのメンタルヘルス関連講師や就労支援機関のキャリアカウンセラーを務めたほか、変化の激しいネットアパレル企業での人事・広報等に携わる。国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、ポジティブサイコロジースクールExecutive Diploma in Positive Psychology and Coaching 、2級ファイナンシャルプランニング技能士

ある夏の夜の出来事


 
世の中の子供たちが夏休みに入った7月の夜、バスに乗っていると、
小学校低学年くらいの子供たち何人かと引率の大人たちが乗り込んできた。
どこかに遊びに行ってきたのかな。
エネルギー溢れる子供たちは、がやがやとちょっとうるさい。
 
 
少し静かにしてくれないかなぁ、疲れた大人はそんな風に思っていると、
ひとりの子供が独り言のようにつぶやくのを耳にした。
「ああ!今日楽しかったなぁ。今日一日こんなに楽しかったのに、まだこれから楽しいことがある!!嬉しいなぁ」
幸せをかみしめるようなしみじみとした表情。
 
 
その言葉を聞いて、なんだかこちらも嬉しくなった。
そうなの、そんなに楽しくて、
これからも何か楽しいことがあるんだね、よかったねぇ。
疲れた大人はちょっぴり幸せな気分になって、
がやがやも気にならなくなった。
 
 
こんなふうに、ゆっくりその日の喜びをかみしめることが最近あっただろうか?

 

ポジティブ感情の効能


 
さて、人間の幸福やよりよい生き方、
生きがいなどを研究するポジティブ心理学という学問の中に、
心理学者バーバラ・フレドリクソンによる、ポジティブな感情に関する有名な理論「拡張―形成理論」というのがある。
 
 
フレドリクソンはこの理論で、
ポジティブ感情は、精神の働きや視野を拡張し、
人間が自分の中に蓄えている能力やエネルギー資源の形成を促す

ということを明らかにした。
 
 
ポジティブ感情によって培われたリソース
(人間の中の能力やエネルギー)は、
人類の進化にとって欠かせない感情として人類に備わっているというのだ。
ポジティブ感情の長期的効果の研究結果は、たくさん報告されている。
 
思考が柔軟になって視野が広がり、
物事を大局から見ることができる。
その結果、行動が自由になり、
クリエイティブな発想ができるようになる。
 
 
また、心身の健康面でも、
ポジティブ感情が豊かな人のほうが健康で長生きするとか、
逆境に陥った時の立ち直りの力(レジリエンス)を高めてくれる、など。
つまり、ポジティブな感情をたくさん味わうと、
いいことばかり、というわけだ。

 
 
人生100年時代、誰しもが健やかに充実して過ごしたい。
視野を広く持って、自分はこれから何がやりたいのか、
いったい何がやれるのか、
そう考えている方はたくさんいらっしゃると思う。
 
 
そのためには、心的エネルギー、
つまり前向きな気持ち、やる気、好奇心、
くじけない心が、行動の原動力になる。
しかし、わかってはいても、なかなか心の底から力が湧かないこともある。
どうやったら、力が湧いてくるのかなあ、そう思うことはありませんか?
 
 
 

よいこと探しのすすめ


 
 
そんなときは、冒頭の子供のように、
まずは日々の生活の中で起こった
ささやかなよい出来事を十分に味わうことから、
心の中のポジティブ感情を増やすことをお勧めしたい。
 
 
ポイントは、自分にとってのよいことに関して、
未来・現在・過去にわたって、
その「よいこと」ができるだけ膨らむように工夫して、
それを心の底からゆっくり味わうことだ。

 
 
たとえば、冒頭の子供の例で想像してみると、出かける前は、
これから起こる素晴らしい夏休みの一日を想像して、
きっとワクワクしていたに違いない。
 
 
また、実際でかけたときは、仲間と存分に「今このとき」を楽しみ、
帰り道には今日一日がどんなにいい一日だったかを思い出して幸せのため息をつく。
夏休みの最高の思い出として、
あとからも何度も何度も思い出しては楽しかったなぁとつぶやくかもしれない。
 
 
もしかしたら、大人になってからも、
子供時代の幸せな1ページとして、思い出すことがあるかもしれない。
 
 
この子供は、ポジティブ心理学の知見から言って、
完璧にポジティブ感情を味わっている素晴らしい例だ。
きっと長期的にも、この子の人生によい影響があるに違いない。
引率のお父さん、いいことしましたねぇ。
 
 
日常生活には、この子供のようなイベントが毎日あるわけではないけれど、
探してみると、小さなよいことは転がっていることが多い。
 
 
「家族が自分の好きな食べ物を買ってきてくれた」
「会社でアドバイスした部下から感謝された」などなど。
 
 
また、自分の人生で過去にあった
「良い思い出」を、改めて思い出してみるのもよいと思う。
学生時代でも、社会人になってからでも、
しみじみと「あれはよかったな」とか「良い経験だったな」と思えることは必ずひとつはあると思う。
 
 
このように、日々よいこと探しをしているうちに、
ポジティブ感情の蓄えが増え、広い視野で、
今後の自分の人生を前向きに考える力を養うことができる。
 
 
ぜひ、よいこと探しをしてポジティブ感情をじっくり味わうことを、
今日から日課にしてはどうだろうか。

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