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「建築家、走る」隈研吾 著

こんばんは。
今日はタイトルそのままですが、この本を読んだので、感想を書きたいと思います。

皆さんは、建築家という仕事をどのように考えているだろうか。

私は、少なくともこんなに走り続ける仕事だとは思っていなかった。忙しいのが好きで走り続けているのではない。その理由が、自分が携わった建築の前に立ち止まっていられないからということに驚いた。建築に対する周囲の断罪をまともに受ける勇気がないからだという。

全くといっていいほど建築に関して無知な私は、この本を読んで、なんて建築家という仕事は酷なんだろうと思った。それと同時に、この仕事で結果を残せた時の喜びは何にも代えがたいものだろうとも思った。それは、自分が建てたいイメージ通りになったなどという浅はかなことではない。長ーい時間軸で、その街の未来のことを考え、住む人々、街と自分の作品が溶け込んでいく瞬間を目の当たりにし、いつの間にか、その建築が街の当たり前となる。これだけ聞くと、耳障りのいいように聞こえるかもしれないが、この本の著者の隈研吾さんは、とにかく現場に行き、肌で感じないと仕事にならないということで、あり得ないほどの移動をし続けているらしい。このワークスタイルは誰にでも真似できるものでは絶対にないだろう(笑)その多忙さとプレッシャーの重さに、この仕事の大変さをひしひしと感じたのです。

この本では様々な素晴らしい作品を通して、隈研吾さんの生きざまを見ることができる。建築家という仕事の疑似体験をしている気持ちになる。

私には技術云々は分からないけれど、仕事への向き合い方がかっこよすぎると思った。一切の利己的な感情は持たずに、ひたすらクライアントのため、街の未来のために、走り続けている。そして批評家でありながら、自分の哲学と思想をもって自己表現し続けるのです。

「何かが生まれるプロセスを、真剣な思いの人と共有したい」

シンプルなこの一言に、この仕事の醍醐味があるのかもしれない。

創造するという点では、多くの仕事で共感できる言葉であるが、これを本当に理解しているのは、常に真剣に向き合っている人だけだろう。

面白くてすぐに読み終わってしまった。
是非、皆様にお勧めしたい一冊でした。

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