チュニジアひとりたび #1: チュニスの街を歩いてみて
こんにちは🕊
わたしは2019年2月から3月にかけて、約10日ほど北アフリカのチュニジアを訪れていました。
チュニジアの場所はこちら。
以前のブログで少しその時の記録を書いていたのですが、途中で止まってしまっている状態でした。
そこで今回こそは最後まで書いてみよう! という思いで、noteで連載を再開してみます◎
不定期となるかと思いますが、日曜日に少しずつ更新できればと思います。
日本全国で緊急事態宣言が解除されましたが、依然として簡単には海外旅行に行けない日々が続くかと思います。
記事を通して、少しでも旅行気分を楽しんでいただければ嬉しいです。
チュニジアの歩み
本編に入る前に、近年のチュニジアの歩みについて少しまとめてみます。
チュニジアは、2010年12月にいわゆる「アラブの春」が始まった国。同国を起点に、エジプトやリビアへと公正な社会を求める動きが広まっていきました。
翌年1月には、当時のベンアリによる独裁政権が市民による運動の拡大により退陣。その後は、中東北アフリカで反体制派運動が拡大した国の中では唯一、平和的に民主化が進みました。
対話を主導して民主化に尽力した国民対話カルテットは2015年、ノーベル平和賞も受賞しています。
最初に宿泊したホテルのエレベーターの壁紙には、2011年1月15日のニューヨークタイムズの一面が使われていました。チュニスの中心部に人びとが集まり、大規模な抗議運動が行われたことを報じたものです。
一方、現在まで人びとの暮らし向きが良くなっていないのも事実。
現在の失業率は15%以上にものぼります。
観光業にも大きな打撃が及んでいます。
主だった産業がないなか、国にとって大事な収入源の一つとして観光業があります。ベンアリ政権の時代よりチュニジアはリゾート地として有名で、欧州などから多くの人が訪れていました。
ですが2010年から2011年の混乱に続き、数年前にはISISが台頭。チュニジアからも過激な思想を持つ若者が排出されました。
(過激な思想は必ずしも経済的要因とリンクしていないという研究もあり、この点には注意が必要そうです)
首都チュニスでは2015年、日本人も犠牲となるテロ事件が発生。みなさまの記憶にも残っているかもしれません。
こうした背景のもと、海外からの観光客が大きく減少しています。
民主化自体も道半ば。
今でも政府に国民の声が届いていない、と感じている人も少なくないそう。
現地で会った友人も「まだまだ課題はたくさんある」と話していました。
現在(2019年時点)の治安ですが、当局による警備もかなり強化されているとのこと。
日本のJTBやHISも、2017年頃よりツアーを再開しています。
現地の友人には「スリにだけ気をつけて」と言われましたが、滞在を通して危険な目に遭うことは全くありませんでした。
チュニジアの行き方
日本からチュニジアへの直行便はありません。
わたしはエミレーツ航空を利用して、ドバイ経由で行きました。
エミレーツ航空はお財布にも優しく、サービスもすごく良かったです。
ですが同航空は、UAEの国営会社。普段、リビアをはじめ中東北アフリカの情勢を追いながら、同国による人権侵害を多く見ている手前、あまり大きな声でおすすめしたくない気持ちがあります。
(今回の旅行は、リビアにUAEが大きく介入する前のことでした。今なら違う航空会社を選ぶと思います。)
乗ってみた感想自体は以前のブログに書いています。ご興味のある方はご覧ください。
エミレーツ航空以外であれば、ターキッシュエアラインズやカタールエアのほか、欧州系の航空会社を利用して行くことができるようです。
チュニジア、入国に関しては特に留意事項はありません。
機内でもらえる入国カードに記入すれば大丈夫です。
チュニス国際空港のイミグレは、なぜかチュニジア人と外国人、全員並ぶ場所が同じです。人の流れについて行って並べば大丈夫です。
到着したのは15時頃。多少混雑はしていたものの、入国審査自体はすぐに通過することができました。
お隣の日本人らしき方はいくつか質問を受けていたので、入国審査官次第なのかもしれません。
入国スタンプは、モロッコと仲良く最後のページに押されていました。
アラビア語は右から書くからでしょうか。
預け荷物もあまり待つことなく、無事に来たので一安心です。
チュニジアに来る外国人をおそらく最も苦しめるもの。
それは、ぼったくりタクシーの存在です。
ガイドブックやインターネットなど、どこを見ても書いてあることなのですが、空港で出待ちしているタクシーはとにかくふっかけてきます。
空港から中心部へ行く手段はタクシーかバスのみ。バスはいつ来るのかが明確でなく、かつ空港から少し歩くため、実質タクシーの一択です。
それをいいことに、本来ならばメーター制なのに交渉してぼったくってきたり、メーターに細工をするタクシーがとても多いとのこと。
普通のメーターであれば、中心部まで行く場合の相場は3〜6TND (約100-216円) 程度。ですがぼったくりタクシーに遭遇すると、その10倍近くを取られることもあるといいます。
そこで今回は、ホテルの送迎タクシーをあらかじめお願いしてみることにしました。
わたしが滞在したホテルの場合、送迎は30TND (=約1,000円) でした。
先述した相場と比較しても、かなり高いのは事実。ですが長旅で疲れているなか、交渉をしたりメーターを気にするのに比べたら、かなりストレスフリーです。
女性一人という自覚もあったため (チュニジアはセクハラの無法地帯) 、送迎タクシーの判断は良かったのではないかと思います。
15分程度で、無事に宿に到着。
最初の宿はチュニス中心の目抜き通りである、ハビブ・ブルギバ通り(以下ブルギバ通り)沿いの超好立地。
この日は夕方、ブルギバ通りとその周辺をお散歩してみることに。
チュニスをお散歩してみた
奥に見えるのは、ブルギバ通り沿いの大聖堂です。
チュニスの街をゆっくり歩くのは始めて。
厳密にはリビアに住んでいた頃に何度か来ているので、「第一印象」ではないのですが、お散歩して感じたことをまとめてみます。
歩いたのはこの辺りです。
☞通りが広い! 何となくパリみたい?
ブルギバ通りは片側三車線。中心には三車線分くらいの幅の歩道があります。
左右にはたくさんのベンチが置かれており、チュニスっ子たちがのんびりしています。ちょっとした公園のようです。
この地区はフランス植民地支配時代に作られたというだけあって、どことなくパリのシャンゼリゼ通りを彷彿とさせる通りです。
さらに通りには、たくさんのカフェが軒を連ねています。
おそらくフランスから来た文化なのでしょう。どこもテラスがあり、人でたくさん。
チュニジアで使われているのは、アラビア語とフランス語。
ブルギバ通り沿いのお店のメニューはフランス語で書かれていることが多く、パリに来たのかな? と錯覚してしまいそうです。
☞若い人が多い!
歩いていると、自分と同じくらいの年の人がたくさんいる印象がします。
チュニジアの人口の年齢中央値は32歳。日本は47.7歳だそうです。
ちなみに若者たち、わたしに対してとにかく声をかけてきます。
アジア人が珍しいからだと思います。
「ジャポネ(=日本人)」、「シノワ(=中国人)」と国籍で呼んでくる人たちのほか、「コニチハ」、「ニーハオ」と挨拶してくる人たちなど。
差別的な意図があるわけではなく、とにかく声をかけずにいられないというような雰囲気。急に街の人気者です。
チュニジアに旅行された方の日本語のブログ記事でも目にしていたことですし、リビアでもよくあったこと。
ですが改めて街の人びとの注目を受けると、よく知らない人に声かけるなあ、と感心すらしてしまいます。
文字通り前任が声をかけてくるので、お前もか! という気分にはなりますが、半日歩けば慣れます。
レストランのおじちゃんが、残り物のお肉とお水をあげている光景に遭遇。
ちなみに、そこら中にねこちゃんがいます。
☞警備は思ったほどではない
多くの人があつまるブルギバ通りでは、テロへの強い警戒状態が続いています。実際に2018年10月や2019年6月には、自爆テロ事件も起きています。
ですが歩いてみると感じるのは、警備の適当さ。
一般人らしき人とご歓談している警察のおじさん (上の写真参照) のほか、タバコを吸っていたり、勤務中にも関わらずスマホを見ているなど、見る限りでは警察の人たちからはまるで危機感が感じられません。
通りには警察車両があり、ブルギバ通りの一部は封鎖されているなど、ややものものしい雰囲気も出ていました。
基本的には警察が数人車両付近に常駐し、きちんと警備もされている模様。
中心部のショッピングモールでは、全ての入り口に警察が三人組で銃を持って立っているなど、何も悪いことはしていなくてもちょっと通るのが怖い感のある場所もありました。
ですが街自体、歩いていてとても平和な雰囲気。当たり前ですが、人びとの日常が流れています。
警察ものんびりしてしまうだろうなあと、なんだか納得でした。
初日は疲れていたこともあり、早めに引き上げることに。
晩ご飯を調達してホテルに戻りました。
チュニジア版ファーストフードのお店で、シュワルマを注文。中東北アフリカで親しまれているサンドイッチです。
日本でもよく見かけるケバブ屋さんにあるような機械からお店の人が削いでくれたお肉に、玉ねぎなどのお野菜と、マヨネーズやハリッサ (唐辛子のペースト) を一緒に挟んでいただきます。
中にどの具を入れるか、嫌いな野菜はないかなど、おじちゃんがカウンターで聞いてくれます。サブウェイのようなイメージです。
とっても親切なおじちゃんでした。
こちらがシュワルマ。
一般的に主悪魔は薄い生地のパン具を巻いたものを指すことが多いですが、
チュニジアで「シュワルマサンドイッチ」と言うと、このように丸いパンに挟んだものが出てきます。
中東北アフリカの定番ご飯を食べながら、本当にチュニジアに来たんだなあ、と実感が湧いてきます。
参考
以上がわたしのチュニジア初日でした。
いかがでしたでしょうか。
次回はチュニス随一の見どころ、バルドー美術館に行った時のことを書ければと思っています。
また一緒にチュニジアへの旅を楽しんでいただければ、嬉しいです☺️
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