邑咲 a.k.a 椎葉
元・物書き趣味の自分語り
セクシュアル・マイノリティ関係
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ミキは、花がとても好きらしい。ロの字状校舎に護られて植物が我が家と宣うだろう中庭のレンガ造り花壇の前へ、昼食後だとか休憩時間に其処へ訪れては屈んでしげしげと微風に揺れている咲き誇りを眺めている様子だった。 植物を眺める視線、横顔、少し猫に似た目付き、半袖のセーラー服から伸びる華奢な腕、それが下された屈み膝。決まり事みたいに、今にものぼせそうな花への恋心を今日も傍目から感じられた。ミキを盗み見ている私が、ショートボブカットに整えられた髪の揺れを追い掛けたい心を恥じらいと躊躇
ずっと、それはもう生涯に寄り添うかの如く、或いは呪いのたぐい宛らに。病、が連れてくるのであろう、自罰欲・劣等感・希死念慮。其等、蝕まれていたくはない感情から、成る可く早く逃げられるよう、忘れて仕舞えるよう、試み、心掛け。目に映せるでもない脳の暗所は、避けてきた。ずっと、それはもう、二十年以上。習慣じみてもいた。 今夜僕は不意に気が付く。 憂いや鬱屈辺りの俯いた感情に流されたり、漂っていたり、自身の携える精神に抗い無き時間を惜しまぬ人々の選択は、我がごとの生む闇と真摯に向き合
八咫烏の尾を追い潜った鳥居に刻まれた相合傘傷、を塗潰す罰印墨。 小指で傷を辿りますれば爪の先端が燃殻に擬態を始めた。 焦臭さに顔を顰める奥歯を噛み、振返る先には寂しそうな手鞠。彼女のあるじの呼吸は随分前に霞に喰らわれたのだという。 曇天は益々に機嫌を傾けてゆくらしい。肌寒く、然し蒸れた、窒素の大群は籠女籠女と輪になり囃す。 風物詩、交尾乞います絶叫。真昼間に鼓膜を掴んで爪を立てていた蝉鳴の外郭は、歩を進める毎に置き去りとされて。 己の影にちうちうと吸付いて革靴踵より正気を
如何したって精液の匂いが憑キ回りますので、切開いた手首辺りの骨から花が咲きませんかと号哭を散らした、 降り切った夜の帳は見て見ぬ振りと態度で、尚も受け容れぬ聞かん坊には、軈て立つ陽にも知らぬ存ぜぬと今度は言葉で背を向けられて終い。 詰襟を拒み、淡いクリーム色の毛編みと、街で買ってみた意に反した位置に釦が住いますブレザーと。 彩度を加工、にたりにたりと、わたくしを取巻きます影とおんなじ面をしてやりました。 この、ピアスは、どうして開けましたか。 女の美容師に問われ、すこうし迷
どうかどうか、御慕いください どうかどうか、御辞退くださいますよう 生き渋ります足に、行き渋りますまなこに 嘆きはまだétude おやすみなさいはまだ早い 切る前に 吊る前に 飛ぶ前に 口遊むのは幼児期のでたらめなはしゃぎ声 もういいかい、まあだだよ もういいかい、まあだだよ 純白色のエレクトロニクス・ドレス 菜花色のスカリフィケーション まあだだよ、まあだだよ、 まだ、まだ、なんだ、ねぇ どうかどうか、押しあいください どうかどうか、圧し合いください 拝啓モノク
現在、Twitterを拠点に自作楽曲を投稿している。此処で知り合った同じ趣味を持つ方の作品に含まれたワンフレーズに僕は、ひどく胸を打たれた。 「気が狂う才能」無かった 彼(toypero氏)が織る楽曲は普段、温柔で心触りもなめらかな物が殆どであるが故も含まれリンク先を御覧の如くである荒んだ空気に、そして上記の一節に、錆び付いた刃物で抉り込まれるかの心持ちを得た。 なにしろ僕は嘗て、恥知らずな形で詩人ごっこを行っていた身。中原中也だとか、今風で挙げるならば大槻ケンヂであ
あたまの なか ぐるりぐるぐる ランドリー 洗剤の香りをしたホワイトノイズ 500円玉を 鼓膜に寄せて 宙に舞う 直ぐに舞う 憂鬱も 美しく ぱりりと糊をきかせましょう 無かったことに 無かったことに 染み抜きを飲み干しましょう 見なかったことに 見なかったことに 錆びついた効果投入口に 飾る 輪状の耳飾り あたまの なか ふわりふわふわ 洗いたての わたしの不幸は なかったことに 知らなかったことに
幾ツに成り得ましょうか、数え折った指々の尖端には生花を束ねる女が棘に愛された証と酷似した浅切傷が居わします。塵籠より螻蛄螻蛄、影も寄越さず汚さぬ彼(カ)の深い深アい口が、からから、ならざらざら、嗤う、攫う、嘲笑う。 此処に殊に在りますはブラウン管が抱擁する粗い砂粒が黒を負い乍、耳障りな嗚咽を散かしつ吹き荒ぶさま。アンテナが捕まえた虚像は何を想う。摘みが隠したチャンネルは何を薙ぐ。 乳飲み子が愚ンと剥いちゃあ今に溢れましょう眼球、さあさ炊けて間も置かぬ白飯の湯気を包装がてら
枕元には開いたままのアンデルセン わたしのお靴はあなたの舌が とびきり綺麗に磨いてくれるから いつまでも わたし 部屋から出られない 調律を忘れたままのオルゴール わたしのお耳はあなたの声が いやらしく優しくなぞってくれるから いつまでも わたし 部屋に隠されてる
思い出したかの如く、記憶のアヤ取り。 << 前記事/Q.01〜10 11.題名の決め方 殆どの場合、閃いた一節を題名に、或いは文中に使いたいが為だけに物を書いてきた。其の中心。話の筋など有って無いかの軽薄さにて、如何にして小洒落た顔をしたワン・センテンス飾るに相応しい道筋を立て、軈ては終止符へと歩ませてゆくのか。此ればかりは癖付きやもしれない。未だ、帳面に鉛筆で物語を書く真似事をしていた頃。あの一頁目と云う新雪に踏み込む一文を悩む時間は、楽しい物だった。 現在の僕は、物
すずむしさんが、りんりんりん。 でんわをかけてる、りんりんりん。 いつまでも、なりやまない——。 薄手リネンの羽織が吸い切った汗、其れと仲睦まじく微塵切りを恐れた証拠である無数の乾き切った躊躇い傷とが求愛を互いに重ねている。観客も失せ切った深夜、袖の中で濃密な恋愛映画。誰一人ときめきやしないラヴ・シーン。規則的に並んだ傷と、手触りで惚れ込んだ布、彼女達の橋渡し役・或いは当て馬である僕とて、ぼうやりと宛てもなく、ふうわりと風も無く、そんな路の湿度の高さへ寄せる鬱陶しい
過去、眼鏡店で視力検査を受けた際、 「あなたは、左目でしかものを見ない癖があるようです」 と、言わたことが忘れられない。 なら僕は右目で何を見ていて、何を見てきたのだろう。 過去か、未来か、希死か、薬か。
錆ブリキのタービンは何処ぞの悪趣味孕む手が拵えたらしい。風力の代替には重油雨天を欲す姿よ、憐れに遭われる無様、醒む狭間。 燃料を喰わせればキイキイと歓喜の泣きを携え其れは次第に円を描く。我身に縁無き差出す手は、嘸や甘かろう、旨かろう。 靴裏を喰らおうと虎視眈々、泥濘は風車とは補色関係に在り。黙した目視を此方に寄せては孵す残像。 過去の梯子を遡る如き所作。手首から二の腕へ向かい徐々に薄み消え掛かる傷、ふた指を足に見立てて僅かずつ、登る、昂る。 だが決して忘却に暴虐を記憶鍋にて蒸
嗚呼! 美しいひとよ、わたくしの差出す花束を刹那の息遣りで朽ちさせるひとよ。如何様に此の胸に芽吹く醜く濁する欲を貴方の頬に打ち撒けられましょう。 嗚呼! 麗しいひとよ、わたくしの晒した喉首を刹那の火点けで煤へと還すひとよ。如何様に我が爪の蛆這う汚れ落つ割れを貴方の背に食込ませられましょう。 貴方が口渇も物ともせぬまま、星々に合わせ指を、満月に伏し瞳を渡して嘆願する愛とは何を指しておられましょうか。此の手で、其の影、尻尾程であれば捕らえられましょうか。わたくしの脳漿は愛と云う感
皆、どうして〝本当の自分〟とやらに拘るのだろうか。何故其の〝本当の自分〟を見せられる相手や環境を欲するのだろうか。僕は隠し事や世辞の類、愛想笑いがあまり得意でない。したがって、此方が振り撒く態度は何をも隠しておらず、人間関係を過剰に乱すような言動を少々気を付けて避ける試みを続けている程度のもの。昔からこうであるからして、周囲の〝本当の自分を見せられる対象が欲しい〟との願望を見聞きする場面では疑問符が並ぶばかりだ。 憶測の域は出ないが、屹度其の人達の深層には意地悪な性根が