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バラバラパラノイア

幾ツに成り得ましょうか、数え折った指々の尖端には生花を束ねる女が棘に愛された証と酷似した浅切傷が居わします。塵籠より螻蛄螻蛄、影も寄越さず汚さぬ彼(カ)の深い深アい口が、からから、ならざらざら、嗤う、攫う、嘲笑う。

此処に殊に在りますはブラウン管が抱擁する粗い砂粒が黒を負い乍、耳障りな嗚咽を散かしつ吹き荒ぶさま。アンテナが捕まえた虚像は何を想う。摘みが隠したチャンネルは何を薙ぐ。

乳飲み子が愚ンと剥いちゃあ今に溢れましょう眼球、さあさ炊けて間も置かぬ白飯の湯気を包装がてらに巻いて演りましょう。箸に絡む視神経は蕎麦と同様の手順で啜り、汁を迸らせつ、我が血肉の一部分として葬いとしましょうか。

足取軽く上機嫌な宵が、次第とやつがれの靴に絡み吐く陰影、其の背丈を成長させゆきます。嗚呼、アゝ、憎い憎い、然れど難い憎い。

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