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レントよりゆったりと〔随想録〕

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2020年7月の記事一覧

「誰か」と「誰かの評価」を隠して読んでみませんか?【俳句エッセイ】

「誰か」と「誰かの評価」を隠して読んでみませんか?【俳句エッセイ】

先日、夕食時に某人気俳句番組を観ていたところ、隣で家人がカレーうどんを啜りながら

「この芸人さん好きじゃない。この句もまさに彼っぽくてイヤ」

と漏らした。
僕はその句をすごく気に入っていたので、残念な気持ちになった。
確かに作者であるその芸人さんの個性は垣間見えるものの、句自体は読者の想像を掻き立て、読み手(もしくは書き手)を変えてもしっかり成立する作品だったからだ。

僕たちが文芸作品を鑑賞

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生きにくいあなたへ、古代インドの水を

生きにくいあなたへ、古代インドの水を

知人がとある仏教教典をはじめて読んで、こう綴っていた。

「所有する」ということに対する恐れにも似た意志を感じた。人間は欲しいから所有するのではなく、所有しているから欲しくなるのだろう

彼が雑感のように記した「所有しているから欲しくなるのだろう」は慧眼だと思う。たとえば、金銭や物品を、恋人や伴侶を欲しいと思うとき、私たちはすでにそのイメージを所有している。過去に持っていたものや、他人が持っている

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