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ひねもす

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つれづれなるままに。日々の思うこと。
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2019年9月の記事一覧

『砂の器』(1974・松竹)

『砂の器』(1974・松竹)

「午前10時の映画祭」で鑑賞。さすが橋本忍脚本と見応え大きかった。
難癖轟々の「電車の窓から殺害の証拠品をバラバラにして捨てる」の場面だけど、これ日陰の愛人的存在の人がやったと思うと私は説得力を感じた。相手に有力婚約者がおり、捨てられる感極まってたならなおさら、当時の「電車の窓から物を捨てる人はめずらしくない」という社会通念に合わせつつ、発覚しやすい捨て方をしてもおかしくないのでは。他にも廃

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話は通じないのが普通

話は通じないのが普通

「人の話を聞き疲れてキレた」というタイトルの投稿が、私の過去投稿の中で閲覧数が多いほう。なんか意外だ。私以外にも、言わないだけで人を話を聞いて疲れている人が結構いるのかな。意外、というのは、「聞き役疲れた」という話をあまり聞かないから。
それとも「聞き疲れてキレるなんてわがまま」という狂犬観察に晒されているのだろうか。

しかし「聞き役に疲れている人が多い」という観点で周囲を見回してみると、確かに

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対話は大体一方的な殴打

対話は大体一方的な殴打

 「対話で分かり合う」とよく聞くが、もし共通の「対話ルール」なるものがあってそれを元に対話を進めて分かり合いを目指して分かり合えるかといったら、大抵分かり合えないと思う。原則的には決裂が決定的になり、最悪深い憎悪と禍根を残して終了では。

 何故そんな暗い事を言うかといえば、個々人別々の人間なのに話し合うほどに分かり合えると考える方が無茶苦茶だと私は思うから。話し合うほどに差異が明らかになり、乗り

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テキストは批判的に読んでよい(そしておかしな批判には反証が付き物)

テキストは批判的に読んでよい(そしておかしな批判には反証が付き物)

 読書会課題論文のカント『啓蒙とは何か』、入門書と並行して繰り返し読む内におおよそ書いてあることの概要が掴めて来た。
 次の課題は「テキストを批判的に読む」つまり「批判的に読んで自分なりに批判的意見を出してみる」。
 ひじょうに取り組み甲斐のある面白い作業だ。だってカントだよ。ヘーゲルという、私はよく知らないけど「世界を説明した」と哲学の先生に解説される大物哲学者の成立させたドイツ観念論という大き

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わかったときは自明だと思うもので

わかったときは自明だと思うもので

 もうすぐイマニュエル・カントの短い論文『啓蒙とは何か』の読書会がある。
 なのでせっせと読解に励んでいるのだけども、「カントが普通の言葉で語りだした」「読みやすくなった!」と帯に宣伝される古典新訳文庫でも、読めるからわかるわけではないのだなと思い知らせてくれるのだった……。

 この論文は冒頭に「未成年」という言葉が出てくる。啓蒙と関連のありそうな言葉だというのは察しが付くだろう。そしてこれは前

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女の生き方よしなしごと

女の生き方よしなしごと

 仕事依頼に繋がる経路がはっきりしているということで、noteは他のSNSとは違う印象を受ける。今どきはどのSNSで情報発信するのが届けたい人に話が届くのだろうか。私的にはnoteをきっかけに変な目に会い(高額情報商材の勧誘を受けた)、以来ここに文章を投げる事はごく簡単におかしな誘いを受けることだと印象している。
 そう思うとnoteの存在感が私にとっていささかうさんくさいものになっている。
 自

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読書量で殴っても当たるとは限らない

読書量で殴っても当たるとは限らない

うっかりするとすぐモラハラと自信のない女の生涯みたいな話になってしまう。
 私が書きたかったのは、私は低学歴なので自分の知力に自信がなく、卑屈になりがちという話だった。
 ネットを見ていると稀に、学生というわけでも研究者でも専門家でも小説家でも批評家でもない人が自分の読書量を根拠に「私は教養がある」と発言していて戦慄を覚える。暴力の予感にだ。文系オタクの陰湿さは、自分が大層詳しいことを「あまり知識

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謙虚と卑屈の区別がつかない

自信を持つ根拠がないとつらいけど仕方ない
 大学は出たものの、そこはとある就職情報によれば一般に大卒に期待される学力を満たしていないとみなされる、低偏差値の学校である。驚くほど勉強をしなかったので当然の帰結なのだが、今思えば、私には毎日机に向かって何時間も難問に挑むという苦行が耐え難かった。自分がわからない事ばかりの問題集に取り組むのが苦痛だった。それこそ劣等感で潰れてしまう。具体的に書くが早慶レ

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良かった事、腹立った事

 今日の何ということもない出来事を投稿しようと思っていたら、社会批判になってしまった。
 書き直す。
 今日は前々から行きたかった地元のカフェに初訪問した。先週は大当たりのカフェで、今週もそこに行こうと思いつつ、新しい店の開拓の野望を優先して初訪問を行った。
 私にとっていいカフェとは、読書または書物または勉強の出来るカフェなので、今日はそういうお店ではないようだった。あるいはコーヒーそしてケーキ

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残暑の日に

9月も半ばを過ぎ、ようやく涼しい日が増えて来た。一方で千葉を襲った台風の被害はまだ甚大だ。災害に脆い都市だったのだとも思うが、この救助対応の遅さはどういう事なのだろう。
平成の頃、『サラリーマン金太郎』という漫画で「日本人は殿様が好きだ」という作中人物の台詞を読んだ記憶がある。「お上には逆らえない」といった慣用句に耳馴染みのある人も少なくないのではないか。日本的封建時代の名残りなのだろうか。日本

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