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大豆田とわ子と三人の元夫 10話 最終回 感想

初回から欠かさず感想を書きました。

最終回を観て失望して録画を消すことが多いですが、このドラマは消せません♥️
何年後かに再びゆっくり観たいと思います。

コミカルで独特な世界観があり行間を読ませる大人の素敵なドラマです。

三人の元夫とわちゃわちゃして終わるだろうと前回まで見てわかっていましたが、どっちなんだろうと考えていました。

とわ子と三人の元夫たちの関係性はずっと続いていくんでしょうか?
だとすれば共依存のような関係性かもしれません。
それとも今は新学期前の夏休みのような感じで、いつかそれぞれ飛び立つんでしょうか?

その答えは?
脚本家の坂元さんの視点は自由で温かく、そして厳しいものでした。

ハワイの仕事から帰ってきたしんしん(岡田将生)と、初恋の彼を牽制してとわ子の家に乗り込んてきたはっさく(松田龍平)とかたろう(東京03角田)


三人の元夫たちに囲まれて、しんしんのお土産のお揃いの英字新聞シャツを四人で着て、とわ子は寝落ちします。

とわ子の優しい夢の中。

はっさく「僕ともう一回結婚しようか」
かたろう「僕と一緒になってください」
しんしん「僕たち夫婦になろうよ」
とわ子「やめてやめて。喧嘩しないで。私のために」

とわ子の寝顔にかぶせて、

はっさくの声「まあこういう感じってずっと続くわけじゃないでしょうし」
かたろうの声「そうだよね。そのうちね。そうだろうね」

とわ子は目覚めます。

三人の元夫たちはワイングラスを持ちながら、とわ子を見守っています。


しんしんが夢の中で「パーティーの後片付けは大変なほうがいいよ」と言った演出の一つ、意味なく並べられたワインの3つのコルクは、三人の元夫たちのようにメガネを書かれて並んています。



3つのコルクを見つめながら、とわ子は言います。
「私の好きはその人が笑っててくれること。笑っててくれたら後はもう何でもいい。そーいう感じ」


三人の元夫たちはみんなでキャンプに行く話で盛り上がります♥️

でも「こういう感じってずっと続くわけじゃないでしょうし」
「そうだよね。そのうちね。そうだろうね。」
わかっているのです。

かごめを忘れられずにいながらも再びとわ子と一緒になりたかったはっさくも。
とわ子を追いかけているかたろうも。
とわ子を想うばかりに切なくて泣いてしまったしんしんも否定しません。

三人の元夫たちはすっかり仲良くなり、ずっと前から三人でとわ子のそばにいるように錯覚するけど、ドラマの初回でとわ子の母のパスワードを知るために彼らは数年ぶりにとわ子の元に来たのです。
しんしんもとわ子と仕事の付き合いはあるけど、それまでとわ子の家は出禁でした。

短い期間の濃密な四人の関係性。


ほんの少し何かがあれば関係性は変わり、また会わなくなる世界になっていくかもしれません。

彼らは(脚本家は)そんなふうに厳しく、そして開かれた自由な関係性を想って、今の仲の良さを味わっているのだと思います。

初回の詐欺師の船長(斎藤工)が最終回で逮捕され、とわ子の初恋の相手、甘勝(竹財輝之助)が現れます。

とわ子はあの時騙されかけたのに、


また甘勝(ヘリコプターの操縦士)に言われてパイロットの帽子をかぶって「しゅっぱーつ!」と笑顔で写真を撮られます。
船長の時と同じ🙃
デートっぽい食事にもウキウキ出かけます。


とわ子は懲りない女です。
ラジオ体操も上手くできない。自転車に乗れない。パスタの保管も雑で頭の上から落ちてくる。どんくさい。意外とガサツ。
出来すぎじゃないスキがある感じが可愛いんだと思います。
初恋詐欺が流行っているとかたろうが言ったけど、甘勝もきっと。
とわ子のことは騙せなかったんでしょうね。

そして、とわ子の母の好きな人マーさん(風吹ジュン)に娘の唄(豊嶋花)と会いに行くとわ子。
マーさんは女性でした。


マーさんはコロッケ食べながらドアを開けましたね❗
かごめ(市川実日子)を想像させます。
奇抜なファッションセンスも含めて、かごめの未来のイメージです。

8話でとわ子は過去のかごめのような少女とすれ違っています。
少女はケーキの箱を抱えて走り、箱を落とし、箱を拾って走って行きました。
とわ子のバースデーに死んだかごめ。
少女はかごめの回想の少女のように、髪を2つに結いていました。

小鳥遊(オダギリジョー)は時間は過去から未来へと進んでいくわけじゃないと言いました。

マーさんはかごめではないけど、未来のかごめを想像させました。

恋をしないと決めていると言っていたかごめは、とわ子を愛していたのかもしれません。

マーさん「つき子(とわ子の母)と初めて会ったのはね、小学生の頃、近所のバレエ教室で。お互いの持ってないところを嫉妬しあって喧嘩もしたし、そのぶん距離も近くなって何でも話し合えた。」
唄に「恋人だったの?」と聞かれ、「そこだけで私たちを語られるのは嫌だったけど、そうだね」と言います。

これはとわ子とかごめの関係性とよく似ています。
違うのはかごめにもし恋愛感情があったとしても、とわ子はそんなふうに思っていなかったことです。
玄関で出迎えた女性が「マーは私だけど」と答えたのを聞いたとわ子の表情から、母つき子の恋人が女であった可能性を全く考えていなかったことがわかります。


とわ子「どうしてあなたの元に行かず、どうして結婚して、どうして私を産んだんですか?」
マーさん「そりゃあ、あの頃は私を選ぶのは」と言いかけ、不安そうなとわ子の表情に気づいて、自分の想いを語るより、とわ子の立場になって語ろうと切り替えます。
とても聡明な女性だと思います。

マーさん「あなた不安だったんだよね。大丈夫だよ。つき子はあなたのことを愛してた。夫のことだってもちろん。愚痴は言ってたけどちゃんと大事に思ってた。あなたのお母さんは家族を愛してる人だった」
とわ子「じゃ、どうして」
マーさん「家族を愛していたのも事実。自由になれたらと思ってたのも事実。矛盾してる。でも誰だって心に穴を持って産まれてきてさ。それ埋めるためにジタバタして生きてんだもん。愛を守りたい。恋に溺れたい。一人の中に幾つもあってどれも嘘じゃない。どれもつき子。結果はさ、家族を選んだってだけだし。選んだほうで正解だったんだよ。そっちを選んだからこんな素敵な娘が生まれて孫も生まれて夫にも愛されて生涯幸せな家族に恵まれたわけでしょ。良かったんだよ、私を選ばなくて(笑顔)」

2つの感情があって揺れることは多くの人が経験していると思います。
この人のこんなところが好き。こんなところが嫌い。この人を好きで嫌い。
Aさんが好き。同時にBさんが好き。
AとBの会社から内定を貰った。どちらも好き。

感情は決して一つだけではありません。

でも感情では選べなくても、時には理性を使ったりして選択しなければなりません。
特別な場合を除いて一つしか選択できないのです。

とわ子の母、つき子は手紙を書くほど悩んだけど、とわ子の家庭を選択しました。
マーさんと映画を見ていろんなことを語らったけど、映画が苦手で5分で寝ちゃうとわ子の父を選びました。

そして、ぷつりとマーさんとの縁を切って、手紙を出さずに連絡を断ったのです。

マーさんを選んでいたら別の幸せがあったのか?それは誰にもわかりません。
マーさんは今でも二人分のバレエシューズを飾っています。
リンゴの飾り切りを出してくるような素敵な人で、あまり裕福ではなくても裕福な心を持って暮らしていると思います。
つき子と別れた後、恋をしたかどうかもわかりません。
恋が燃え上がったから、つき子と永遠に会えなくなった。それは事実です。

「僕が好きな人は恋はしないと決めている人だった」とはっさくは親友の恋人(石橋静河)に言いました。

かごめは言いました。
「恋が素敵なのは知ってる。キラキラッとした瞬間があるのは知ってる。ただただ恋愛は邪魔。私の人生にはいらないの。そういう考え方が淋しいことは知ってるよ。私さ、たまに淋しい。ただただそれが私なんだよ」

恋ができないんじゃなく、しないと決めているのです。
もしかしたら、とわ子との縁を途切れさせたくなかったから、自分の気持ちを隠そうって決めたのかもしれません。


純文学的で行間を読ませるドラマなので、人それぞれいろんな見方があると思います。
もちろん脚本家の坂元裕二さんの頭の中には答えがあるのでしょうが、あえて提示しません。
それぞれの受けとめ方で、どれも間違っていないのだと思います。

かごめは最後の晩餐にコロッケを食べたいととわ子に言い、コロッケを食べながら街を歩きました。

最終回でキーパーソンとしてマーさんをコロッケを食べながら登場させ、とわ子の母とは小学生の頃からという関係性に一致があることで、私はそんなふうに感じました。

最終回でドラマのキーパーソンであるかごめのことをとわ子にいっさい語らせず、かごめのことを想像させた脚本家のテクニックだと思います。


16歳の唄は賢そうに見えて、かなり危なっかしいですね。
「西園寺くんの方が医大に入りやすいでしょ。出世だってしやすいでしょ。それが私たちの現実じゃん。西園寺くんを支える人になったほうが生きやすいでしょ」
合理的に考えようとして、非合理的な考えで突っ走っています。

西園寺くんの性格の悪さはひとまず置いといて、西園寺くんと今現在結婚したいと二人が本気で思っていたとして、医大6年出てインターンも終えて結婚できるのが二十六歳位、あと十年位先なのです。
そんな長い間、お互いに絶対気持ちが変わらないと思っているのでしょうか?
付き合っている人に裸の写真を撮らせて、別れた後困っている人のように、人の気持ちや関係性は変わるということを客観視できていないのです。

憧れの女性医師が病院の中で苛められて辞めちゃったこと、とわ子が社長として生きづらそうにしていることなどを見て、唄は関係性が不安定な人に尽くして依存して生きる選択をしてしまったんだと思います。

一人で明るくたくましく生きているマーさんと会ったことをきっかけに、唄は自分の人生を切り開く選択に挑戦することを決めました。
良かったと思います。

とわ子は西園寺くんに謝る必要ないと思ったけど、かたろうの謝罪レッスンはめちゃくちゃ面白かったです❗


東京03角田さんの面白さが生きましたね😙
言われて習うとわ子も素直な人だと思います。
コメディパートですが、こういうの入れてくるから好きです。

上の画像も面白かったコメディパートです♥

船長(斎藤工)が逮捕されたニュースに、被害者の出航ポーズした顔モザイク画像が載っていて、「こんな船長ルックに騙される人いるんだねー」
「この人(とわ子)なんてなんの疑いも無さそう。」「調子乗っちゃって」とみんなで笑っています。
六坊さん(近藤芳正)は気づいてかばってくれてさすがですね!
とわ子の表情が面白かったです。


とわ子とお父さん(岩松了)のシーンはじーんときました。
能天気に見えていた父はいろんな感情を抱えながら生きてきたんですね。深みを感じさせました。

とわ子の母が映画好きな人に気持ちがあることを知って一人で苦手な映画を見に行ったり、精神的な余裕がなくとわ子に自転車を教えてあげることができなかったことを今でも悔やんでいるのです。

「自転車自転車うるさいな。だったら教えてよ。今さらだっていいよ。教えてよ」

四十過ぎて父親に自転車を教わるなんて相当恥ずかしいけど、それで父の気持ちが楽になるなら、とわ子は本当に教わりたいのでしょう。
そういうところがとわ子の魅力だと思います。

「父親してもらった記憶ないんですよね」と毒舌を吐いたり、
「言いたかないけど、お父さんだって支えになってるよ」
とわ子の父に対する相反した気持ちで、どちらも本当の気持ちです。

自転車をこれから教わるかどうかは知りませんが、網戸の直し方は小鳥遊(オダギリジョー)も無理だったのにお父さんに教わって、とわ子はできるようになりました🙂

三人の元夫たちにつきまとって人生の短い彩りを創った三人の女たちも登場しましたね。
ほんの一瞬の登場でセンスが良い脚本だと思います。
しんしんにつきまとった小谷翼(石橋菜津美)は
トランペットの路上ライブをやっていて、故郷の旅館を継ぐという話は、自分の存在をしんしんの記憶に鮮やかに残すための嘘だったんですね。

しんしんは笑顔で雑談できるようになりました。

雑談できるしんしんの魅了は最強ですね♥️


初回からずっと感想を書いています。

何年か経ったらまたこのドラマを観て、どんなふうに感じながら見ていたか感想を読み直したいと思っています。

何度も観たくなるほど価値のある素晴らしいドラマでした♥️


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