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檸檬読書記録 『むすぶと本』

今日の本は
野村美月『むすぶと本。 『外科室』の一途』

野村さんといえば『文学少女』(全7巻)シリーズが有名で、どちらともラノベだ。
『文学少女』は、物語を食べてしまうくらい本を愛している文学少女の先輩と、平穏に暮らしたいけどなにかと振り回されてしまう後輩の、本が絡む学園ミステリー。
このシリーズは本の知識もさることながら、本への愛が凄い作品なのだ。本愛に溢れている。
ただ紹介するだけでなく、小説を食べ物に例える。これは甘いマカロンだとか、一流料亭の豆腐料理とか、とおもえば魚の生き血を啜るような味だとか…。
美味しそうなものもあれば、どんな味かも想像つかないものまで、様々。あまりにも美味しそうに紹介するものだから、その本をちぎって食べたくなる衝動に駆られるくらいだ。

『文学少女』シリーズは、個人的に一二を争うくらい好きな作品で、近代文学や古典を読むきっかけになった大切な作品だ。
昔は現代文学や児童書しか読んでなかったのだけど、あまりに魅力的に紹介するものだから、読んでみたくなる。そして知る、日本文学と海外文学の素晴らしさ!
読みにくいからと、勝手な固定概念で食わず嫌いをしていた。まあ確かに慣れていないから読みにくいのも多々あるのだけど…。
だけどこの本を読んだ後だと、少し取っ付きにくさをなくしてくれる。
そして紹介していた部分、味に例えていた部分を探しながら読むから、面白さをプラスしてくれる。何より『文学少女』はラノベながらラノベにあらず。なのでラノベをあまり読まない人にも是非読んでほしい作品だ。

『むすぶと本』に戻って、この本は『文学少女』シリーズと同じ高校が舞台になっている。けれど文学少女を読んでなくとも、問題はない。
こっちは、本の声を聞くことが出来る主人公が、本の声を聞きながら本と人の問題を解決していく話。
『文学少女』はどこか影があり、少しほろ苦いビターチョコのようだとしたら『むすぶと本』は、コミカルでふわふわのパンみたいな感じ。
個人的に『むすぶと本』は、3話が1番良かった。野村さんの書くものは影があるのが好きなのだが、3話にはそれが1番あった。けれど全体的にもそこかしこに影が潜んでいて、これから影が深まっていきそうな雰囲気。先が楽しみだ。

そういえば『むすぶと本』に『長くつ下のピッピ』が登場し、ジンジャークッキーが出てきた。
それで思い出すのが
令丈ヒロ子『病院図書館の青と空』
こちらは児童書。
体調を崩してしまったことで、入院することになった小学5年生の女の子が、ある日病院に設置されてる「あおぞら図書館」を見つけて入る。
そこで本を見ていたら、突然本の中に引っ張られ、本の世界に入ってしまう。
のだが、それで最初に入った本が『長くつ下のピッピ』で、入った場面はピッピがジンジャークッキーを作っているところだった。
自分は『長くつ下のピッピ』は読んだことがないから知らなかったけど、ピッピといえばジンジャークッキーなんだなと思ってしまった。
何度も出てくるものだから、クッキー好きとしてはジンジャークッキーが無性に食べたくなった。

クッキーといえば、個人的に
ノワ・ドゥ・ブールの「サブレ・アマンド」がベストクッキーだと思っている。
素朴ながら優しい甘さとアーモンドの香ばしさが堪らなく美味しい!値段もそれなりだが、昔ながらの味わいの中にもリッチな感じもあって、パクパク食べれてしまう危険クッキー。(サブレだからどちらかといえば危険ビスケットだけど…。どちらにしても)おすすめです。

脱線ついでに『病院図書館』の話をもう少々。
この本では他にも『赤毛のアン』の世界に入ってカシス酒を飲んだり『風にのってきたメアリー・ポピンズ』で謎の薬を飲んでみたりと、楽しいことが起きる。自分も好きな本の好きな場面に入れたらなと、思ってしまう。
だがただ本の世界に入るだけではない。本の世界に引き入れてくる活発な少女にも、引き込まれる少女にもそれぞれに悩みがあり、いつまでも楽しい本の世界にいたままではいられない。
葛藤しつつ、2人で出口へと向かっていく。
大人でも共感でき、結構楽しめる作品だ。


今回もまた大分蛇行運転気味になってしまったが、ジンジャークッキーの味を想像しつつ、今回は閉じようと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
ではでは。



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