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40年ぶりのピアノが教えてくれたこと/LDB出版部#7

40年ぶりに始めたピアノ


5年前に私はピアノのレッスンに通い始めた。小学校以来の40年ぶりのピアノである。
知人がピアノのレッスンを始めラフマニノフだのベートーベンソナタを弾いている姿を羨ましく思い、私はといえば好きなショパンすら子供の頃には弾かせてもらえず、5年前の私には何一つまともに弾ける曲はなかった。
せめてショパンのノクターンを弾けるようになりたい。その思いで一念発起し、教室探しを始めご縁から今の師である先生に巡り合った。

子供の頃のピアノレッスンといえは、練習あるのみ! 弾けないのは練習不足!と先生にキレられながらのスパルタ指導であった。しかし、今の先生は全然違う。
弾けないところは弾けるように指使いや練習方法を工夫して教えてくれる。その楽曲に一緒に向き合い、一緒に音楽を作っていく感覚がある。
 (子供の頃のピアノの先生が悪いのではなく、その当時の教育が、ピアノに限らずスポーツにしろ、スパルタであったと思う)

先生が弾けるように弾けるように指導してくれるので、どんどん弾けるようになった(音楽性を追求できたものは少ないのかもしれないが)。
5年前にショパンの「別れのワルツ」から始まり、7番、3番「華麗なる円舞曲」、ノクターン2番、15番、19番、20番遺作、前奏曲「雨だれ」、「幻想即興曲」、マズルカ13番。ショパン以外にもシベリウス「樅の木」、シューマン「トロイメライ」、バッハ「アリア」、モーツアルト「幻想曲」、ベートーヴェンソナタ「悲愴」2楽章、3楽章、ショスタコーヴィチ、ドビュッシー「月の光」など、古典からロマン、近現代まで、1曲3か月のペースで憧れの曲を総ナメに習っています。 う、選曲がミーハーな私。

自分を肯定してくれた


50代半ばを過ぎ、頭も身体も衰えていくなか、視力はますます衰え譜面の指使い数字などこれっぽっちも見えず、音符の隣に大きく書き込んでいる始末。譜面がA4サイズでなくA3サイズにして欲しいものです。

そんな私にとってピアノを練習することは、憧れていた曲を弾けるようになる嬉しさだけでなく、自分の可能性に目覚めさせてくれた。
自分はまだまだ進化していけるのだと自信を持たせてくれた。その思いはピアノに限らず、日々の生活においても自分を肯定してくれたのです。

ピアノを始めた際に一つだけ自分に課したのは、
「15分でも毎日練習する」こと。
今日はアポで疲れたから練習パス!と思っても、この今日の15分を怠ると、取り戻しに倍以上の時間を要することが分かっている身としては、睡魔に襲われながらも、老体にむち打ちピアノに向かうのです。そんな日々が5年経過しました。

生きることは日々の積み重ね


ピアノで何かを目指しているわけでもなく、目の前のことにただただ向き合い、やり続ける。
日々練習していることがいつしか習慣となり、習慣が挑む気持ちを支え、いつしか「推進する力」をつけてくれたと感じでいます。まさに“継続するは力なり”です。

ショパン「幻想即興曲」は、私にとっては脳トレの極致のような曲で、思うように動かない自分の指と脳に、イラつく毎日でした。が、はたと弾ける日が来るのです。その瞬間はどの曲にも訪れてくれています。
ただただ練習を続けることが、報われる瞬間の喜びに出会えると、その後もその瞬間を信じて、続けることができるのです。
そうやって40年ぶりのピアノは、私に自信を付けてくれました。

仕事では努力が丸々実ることはなく、クライアント仕事においては報われないことの方が多いです。
そんなストレスな日々のなか、ピアノは私に確かなものを与えてくれます。ピアノがメンタルにも良いバランスをもたらせているのだと感じています。

目の前のことに自分を尽くす。
このことを適度なストレスを感じつつも、楽しみながら努力を続けることが出来れば。努力が少し報われる喜びを感じながら、また目の前の新たなことに向き合う。
これからの日々、これからの仕事も人生も、このような日々を積み上げていければと思います。
そんな毎日を積み重ね、年を重ねて、切に生きていければ嬉しいです。

私ピアノ写真

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最後までお読みいただきありがとうございました。
文・長谷川千登勢
株式会社ジャパンライフデザインシステムズ 「ライフデザインブックス」発行書籍の数々の出版をプロデュース、メディアの企画・編集を担う。
他に、経営セミナーの企画・コーディネート、コンセプトワークに関する企業サポートを行う。