春を告げる京都を地元民がソロデート。梅の名所・北野天満宮エリアを歩いて回ったある日曜日の午後。
ポカポカ陽気の日曜日。
午前中みっちり仕事をこなして、午後は解き放たれたようにお出かけしたら楽しいかも。という空想がはたらいた。
ふと、いつもは電車やバスでそそくさと通り過ぎてしまう場所を歩いて巡るのも悪くないんじゃない?ともう一人の私が言う。
さっそく自身の直感に委ねることにした。
この日は3月初旬と言えど、気温がやや高かったこともあってお出かけには最適な日だった。
自宅から片道1時間ほどの距離を歩いて巡る京都市内は、何だか新鮮。
あ、こんなところに昔ながらの和菓子屋さんがある。とか、
いい匂いがするな〜と思ったら、民家を改装したたこ焼き屋さんだったとか。
住宅街に突如隠れた名店なんかが飛び込んできたりして、歩いているだけでただただ楽しい。
一度でも歩いた道は次回以降馴染みの道として自分のものになり、何気ない風景でさえ自分の足で歩くという行為を通して、特別な景色として脳内に刻み込まれるのだ。
お金をたくさんかけずとも、こんな風に小さな幸せを噛みしめられる自分でいつまでもいたいな。
ソロデートって知ってる?
近年、海外のTikTokで爆発的に人気のソロデートというのをご存知でしょうか?
ひとり時間を過ごす中で、自分の心をつぶさに見つめ、自己理解の機会を増やしていくというシンプルな行為が海外を中心に流行っているというではありませんか。
この記事の中で取り上げられている、
“ソロ活をやればやるほど、自分自身との結びつきが深まり、どんどん自信がついた”
“自分を知る唯一の方法は自分と時間を過ごし、自分が本当は何が好きなのかを考えてみること”
“ソロデートを通してより深いところで自分を認め、理解していくことによって、自分が必要とするものや思うことを他者に投影するのではなく、他者をありのままに受け入れられるようになる”
というコメントが目に飛び込んできた瞬間、これ分かる!と一匹狼の筆者は猛烈に共感してしまった。
価値観の合う好きな人たちと過ごす時間はもちろん楽しい。彼らと心の奥底で分かり合い、温かなつながりが強化される瞬間は何度重ねても非常に価値あるものだと思う。
だけど、語弊を恐れずに言うと、ひとり時間には、他者と接続している時間の中では醸成されないもっとコアな自分との繋がりが形成されるように思えてならないのだ。
そんな時間をどれだけ重ねることができるか。
そうすることが、逆説的にも自身とは異なる他者とより良くつながり、異なる価値観を受け入れ、上手に付き合っていくためには欠かせない時間であると私は思う。
梅の名所、北野天満宮へ
日頃TikTokは全く見ない私ですが、今日は自身と過ごす時間を「ソロデート」と呼んで特別な響きを持たせてみようと思いまして。
自宅から片道1時間の距離を闊歩して辿り着いたのは、
古来より「北野の天神さま」と親しまれる北野天満宮。
菅原道真公を御祭神としておまつりする全国約1万2000社の天満宮・天神社の総本社です。
入試合格・学業成就・文化芸能・災難厄除祈願のお社として信仰されている。
梅の名所として知られているだけあって、境内には菅公ゆかりの梅50種約1,500本(!)があり、見頃の時期には約2万坪の境内一円に紅白の梅が咲き競うとのこと。
境内には、たくさんの牛像も見かける。気になって調べてみると牛は“天神さんの使い”とされていることから大切に扱われているのだそう。
つぶらな瞳をしている牛さんの背はつい撫でたくなってしまうような愛嬌を感じる。
多くの参拝者が触るからか、近くには除菌アルコールが設置されていて何だかそこだけ昨今の時代背景を象徴しているようだった……。
江戸時代から続く甘味処・粟餅所・澤屋へ
おやつ時だったこともあり、少し小腹が空いたので、北野天満宮と目と鼻の先にある老舗人気店・粟餅所・澤屋さんへ。
“栗(くり)”とよく似た字なのでパッと見で勘違いしてしまう人もいるかもしれないので、念の為にお伝えしておくと雑穀の“粟(あわ)”です。
澤屋さんは、北野天満宮を訪れる人のほとんどが訪れるほどの名店ということに加えて訪れたのが日曜日だったので、ものすごい行列覚悟で行ったのですが、
到着してみると、店先に行列が出来ていなかったことから、ひょっとして臨時休業?と疑ってしまいましたが、店先の提灯から営業していることが確認できてホッとしました。
思いの外あっさり入店できて拍子抜け。
昔ながらの引き戸を開けて入店すると、そこには早速お餅をこねるたくさんの女性の姿が。
まずはその光景に圧倒されてしまいましたが、間髪入れずに「いくつですか?」と尋ねられます。
ここは入店と同時に3つ入りと5つ入りのどちらかを選んで、着席する仕組み。「まぁ、無難に3つかなぁ…(!)」と女将に3ピースして伝えました。
ネット上には、訪れる人々がお餅の美味しさに感動するレビューをたくさん上がっていて、待っている間も期待値はすこぶる高まる。
店先で手際よく粟餅をちぎり、あんこときな粉をまぶしてすぐに提供できるオペレーションが組まれていました。効率化オタクの私は、うまい仕組みに興味津々でつい観察眼がはたらいてしまう(ピクピクッ
そうこうしているうちに、ものの数分で出来立ての粟餅が運ばれてきました。
待ち切れず、サッと写真に収めて早速出来立てを口に運んでみた。
つきたてのお餅の柔らかいこと。
出来立ての粟餅はほんのり温かく、粟特有のぷちぷちとした食感がお餅に混ざりもちもちの中にアクセントを感じる。
サラリとした舌触りの風味豊かなこしあんと甘さ控えめの香ばしいきな粉がとてもよくマッチしていて思わず童心に返って、口のまわりに目いっぱいきなこをつけていただいてしまった。
甘党ではない筆者は、最初は3つも食べれるかな……?と心配に思っていたが、そんな心配は杞憂に終わるほど食べ終える頃には「もうちょっと食べたいな…」とおかわりを所望している自分がいてびっくり。
甘すぎないあんこと風味豊かなきなこの絶妙なコラボレーションは、素朴ながらもおばあちゃんの手作りおやつを彷彿とさせる滋味深い味わいでした。
テイクアウトも出来ますが、当日中にお召し上がり必須とのことなので、今回は現地のみに留めておきました。
また、きっと来る。ブックマークしとこ。
お店を出るとそこにはものすごい行列が・・・。
澤屋さんの前はバス停であり、バスの到着と同時に行列をなすという仕組みということが分かり、ほんの僅かな入店時間の違いでえらい違いだった…とおったまげたのでした。
北野天満宮の真横に佇む、ポルトガル菓子店『Castella do Paulo カステラ ド パウロ』
もう一軒、ご紹介したい場所がありまして。
それが北野天満宮大鳥居の真横という迷うはずのない立地にひっそりとある、ポルトガル菓子店『Castella do Paulo カステラ ド パウロ』。
酒屋の蔵を改装したレトロモダンで趣のある店内にカフェとショップを併設する店内は、カステラなどのポルトガル菓子の他、ランチやおつまみ、そしてワインも提供されています。
以前、オンラインで大切な友人への贈り物で使わせてもらって以来、現地を訪れてみたいと密かに思っていた場所です。
今回テイクアウトした半熟カステラは、やさしい味わいながら過日のポルトガルをハッキリと思い起こすなつかしいお味。
添加物を一切使わない手作りのお菓子づくりにこだわり、子どもからお年寄りまで安心して食べられる素晴らしいお菓子づくりをされていることがひしひしと伝わってきました。
筆者は、2019年12月のクリスマスの時期にポルトガルを縦断するソロ旅をしていました。ヨーロッパそしてユーラシア大陸の最終目的地だったポルトガルの思い出は、苦いものも含めて今でも鮮明に覚えています。
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