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医師への道を選んだ理由、そしてその経緯

イギリスのマンチェスターという都市で家庭医(General Practitioner)として働いている独身アラサーの女医。医師になって7年になるけど、それまでの道が険しくて障害物が多かったので、シェアしていきたいと思っている。


家族からの圧力、そして将来の悩み

アイルランドで医師家庭に生まれ育った、ありきたりの4人の家族。
父は整形外科、母は小児科だった。弟は一人。

子供の頃から医師になる以外の選択肢はないと思っていた。でも、実は医師になろうと決める前に他のキャリアを色々検討したり、見学しに行ったり、大学のオープンデーやキャリアイベントにも参加したりしていた。

なぜかといと、医学部ってめっちゃ高いし、そもそも入学するのがかなり難しい。それに、相当な優等生じゃないと入らないんじゃないかと。成績が平凡な自分にとっては無理だろうと思っていた。

10歳の時から絵を描くのが一番の趣味で一日中に没頭する日も多かったぐらい。遊戯王とかファイナルファンタジー、フルーツバスケットなど好きなアニメやゲームのキャラを描いたり、家族と友達の誕生日の時にカードを自分で作ったりしていた。学校で美術部に入部し、かなり真剣に取り組んでいた。描くことがすごく楽しく、グラフィックデザイナーかゲームデザイナーになろうとも考えていたんだ。

でも、医師ばかり家にとってはアートが大敵。「美術なんか金にならん事を忘れて、科学とか法学などマシな仕事にしろ」みたいなことを父に言われ、デザイン系の仕事を諦めた。

医師以外に何がいいんだろうとめっちゃ悩んでいた。優柔不断だし、なかなか決められなかった。

2008年:受験生

理学療法士、建築家、ファッションモデル、ファッションデザイナー、美容師、パーソナルトレーナーなど色々なキャリアを検討し、最後に建築学に決めて入学を成功した。

2009年:大学生〜建築学から医学部へ〜

建築学の一年目が終わり、やはり合わないなと思うようになってしまった。キャラや花を描くのが好きだったけど、設計図にはあまり興味がなかったんだ。その上、国が不景気に陥ってしまい、50%以上の建築家は失業したというニュースを聞いて猛烈な不安に襲われた。

周りに相談できる人はいなかったから、一応親に相談してみようと考えていたけど、どんな事を言われるか簡単に想像できた。

時間を無駄にせず医学部に入って医師になれ!仕事としては安定しているし、いくら不景気でも失業しないし、給料も高い。。。」という説教を父から受けることになり、やはりそう言うと思った!

その結果、建築部から退学してから一年間猛勉強し、2010年にやっと医学部に入学できた。

医学部はめっちゃ大変だった。普通の大学生のように酔っ払ったりパーティへ行ったりする大学時代ではなく、図書館に棲みつくぐらい勉強ばかりの毎日だった。死にたいと何度も思ったし、医学部なんか選ばなければ良かったことも。

2017年〜2024年:研修医から家庭医へ

2017年の夏に無事に卒業し、アイルランドから脱出したくてイギリスへ逃げ込んできた。。。じゃくて引っ越してきたんだ。研修医(レジデント、もしくはJunior Doctor)として2年間ぐらい働いてから家庭医という専門になろうと決めた。夜勤や当直、週末の呼び出しがないので、ワークライフバランスは専門医より良いし、家族を持ちたい女性の中にはかなり人気。
コロナの間に一年間ぐらい仕事を休み、2020年8月に家庭医療専門研修プログラムに入った。

家庭医とは、病院ではなく診療所で様々ば病気を診たりする一般内科に近い専門なんだけど、地域住民の健康のために働く総合診療医。予防医療、心理社会的問題や多疾患併存などを含めて、家族との関係性も重視しつつ、包括的に対応できる。それに、介護や福祉などのリソースと連携して最適なサービスを患者さんに提供していく能力も重要。

イギリスとオーストラリアではGeneral Practitioner(GP)だと言われているけど、アメリカやカナダではFamily Medicine・Family Doctorだと呼ばれている。イギリスの医療費は無料なので、病院の混雑を防ぐためにGPが大半な病気を対応し、専門的な治療や検査が必要な時だけに病院の紹介状を書く。心臓麻痺などの命に関わる疾患ではない限り、患者さんの判断だけで直接病院へ行けない。

2024年:晴れて家庭医に

2024年2月20日に専門研修を終えて、やっと自律した家庭医になった!すべてが2010年9月に始まり、2024年2月に終わった。なんと14年間、本当に長い道だったな〜

振り返ってみると、医師になったことは本当に良かったのかなと時々思ってしまう。めっちゃ忙しくて助けられない命は数多く、時には精神的に来る。それでも、いいこともたくさんある。

後悔していないとは断言できないが、もし違う道を選んだら私の人生はどうなったかは想像できない。

イギリスにいないかもしれないし、結婚もしているかもしれない。勉強や研修、仕事などに没頭しすぎて恋愛どころじゃなかったから。まあ家庭を持っている医師が多いから、言い訳に過ぎないけどね。

ここまで来ちゃったし、腹を括って開業でもしよっか。。。なんてね。

いつか、この仕事をもっと好きになれたらいいな〜

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