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青いマグノリア

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少しずつ書いて載せていきます。ミステリーです。完結しました。
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記事一覧

青いマグノリア #1

その庭にはあらゆる種類の草木が植えられているようだった。庭の持ち主さえも一体どれだけの木…

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4年前
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青いマグノリア #2

「少しお話をお伺い出来ますかね。」 刑事らしき男が穏やかな声で咲に話しかけてきた。咲は庭…

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4年前

青いマグノリア #3

その夜がらんとした家に一人でいると咲は言いようのない孤独を感じた。居間に座って廊下の向こ…

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4年前
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青いマグノリア #4

翌朝目覚めた時はほっとした。何だか嫌な夢ばかり見てしまいTシャツはびっしょり濡れている。…

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4年前
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青いマグノリア #5

五十嵐刑事から連絡があったのは咲が東京に戻ってから10日を過ぎた頃だった。仕事を終えて自宅…

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3年前
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青いマグノリア #6

「それでどこまでお話ししてましたっけ。」 週末の夜の丸の内のオフィス街にあるビストロはと…

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3年前
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青いマグノリア #7

「ところで私は来週から東京勤務になるんです。」 「あら、ご栄転ですか。」 「いえ、実はあちらに母が入院していたもので、転勤を願い出ていたんです。それも片付いたというか実は先日他界しまして、それでまた東京勤務を願い出て認められたというわけです。」 「それはお気の毒でしたね。それにしても警察ってそんなに柔軟なことしてくれるんですね。」 「まあ、自分はもともとあまり捜査に踏み込まない仕事だったので融通が効きやすかったんだと思います。」 「本省に戻られるってエリートなんでし

青いマグノリア #8

次の土曜日、咲は早朝から五十嵐に紹介された植木屋に出かけた。都心から1時間もかからずに到…

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3年前
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青いマグノリア #9

家に帰ると咲はすぐに五十嵐に電話した。確認してもらわなければならないことがあったのだ。 …

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3年前
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青いマグノリア #10

翌週は仕事が立て込んでいて咲はあまり気を散らすこともなく過ごしていたが、夜中にふとあの庭…

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3年前
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青いマグノリア #11

「妹ですか。」 「そうです。20年前に捜索願いが出され、7年後に失踪宣告、つまり死亡認定さ…

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3年前
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青いマグノリア #12

その日の午後、咲は五十嵐と横山が入院している長岡市内の病院のロビーで待ち合わせた。 「横…

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3年前
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青いマグノリア #13

横山は60を回ったばかりのはずだが目の前にいる人物はやつれてもっと高齢に見えた。だがそれが…

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3年前
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青いマグノリア #14

「あの子の両親がスイスで事故で死んだと聞いた時は胸が痛んだ。ただ、それと同時にどこかでほっとしたような気持ちだった。これで自分さえ黙って入れば秘密は永遠に知られない。鬼だね。だからこそ、あの子の成長を見守らなければって気持ちが強かった。楠木の旦那様は全く気がついていないようだった。まさに溺愛してたよ。俺は時々庭仕事に入るくらいだったけど、小さな蓮子はすぐに俺にも懐いてくれて可愛くて仕方がなかった。でも、あの子は成長するに連れて大人を試すようになっていった。自分の言うことをどれ