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青いマグノリア #11

「妹ですか。」

「そうです。20年前に捜索願いが出され、7年後に失踪宣告、つまり死亡認定されました。」

「20年前ってことはやっぱり。」

「そうですね。楠木の先代が急死し、オークションが開かれ、横山が東京を去ったあの年です。遺骨と横山のDNA鑑定を進めます。」

「遺体が妹さんだとして誰が彼女を殺したんでしょう。もし彼だとして妹を毒殺する理由って。もし宝石を廻る内輪揉めならどうして遺体がブルーマグノリアを身につけていたんでしょう。何があったのか経緯を知りたいです。」

「横山には咲さんのご実家の庭に携わった一人として任意にDNA検査への協力を求めます。ところで、横山の当時の写真を入手したので見てもらえますか。見覚えありますか。」

「うーん。どこかで見たような気もしますが、20年前の記憶があるわけもないし。これ幾つくらいの写真ですか。」

「日付があるので正確に分かります。38歳です。東京で最初に働いた造園業者で同僚だった男性から借りました。横山が東京にいる間は付き合いがあったそうで、一緒に兼六園に行った時の写真だそうです。事件の起こる3年前になりますね。もう事件と言ってもいいでしょう。」

「38歳。あの、楠木蓮子さんて今お幾つですか。」

「楠木さんですか。ええとたしか。ああ、38歳ですね。」

咲はしばらく写真を見つめていた。その後思い詰めたように呟いた。

「見覚えあります。横山さん。」

五十嵐も今一度写真を覗き込んでから呟いた。

「まさかそんな。」

「でも似てますよね。先日お会いした楠木蓮子さんとこの写真の横山さん、同じくらいの年齢でしょう。たしかに似てますよ。」

「ええ、たしかに。」

「横山さんに話を聞くしかないと思います。やっぱり彼が鍵を握っているのは間違いないと思います。私もお会いしたいです。実家の庭に妹の遺体を埋めたかもしれない人に。庭のことで聞きたいことがあるんです。」

「何とかしてみます。」

咲が横山に会えたのは翌週の土曜日だった。


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