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実はない!?日本の「組織」「守備」

スポーツや文化やいろいろな面で、日本と世界を否が応でも比較せざるを得ない場面があります。その中で特に感じるのが「組織」「守備」への意識の違いです。

かつては、サッカー日本代表を務めたトルシエ監督が「日本には守備の文化がない」と発言したことがありました。

「日本には守備の文化がない」と言ったのは02年W杯で日本を率いたトルシエ監督。
 〜日刊スポーツ「大和魂起因?日本に守備文化あればベルギー戦金星も」より引用

私はにわかサッカーファンですが、かつてアトランタオリンピックで「マイアミの奇跡」と称される、日本五輪代表がブラジル五輪代表を下した試合が印象的でした。

ブラジルの猛攻を耐え忍ぶ日本代表。この試合を見ててっきり私は「日本は守備が堅い」と勘違いしていたんです。組織的な守備で相手をシャットアウトしたというよりは、相手の猛攻を個々の力でなんとか「耐え忍ぶ」という表現がまさにピッタリの状況だったわけですね。

「攻撃は最大の防御」とは、いろいろなシーンでよく聞くワードです。私はこの言葉を少し違って解釈していたのですが、西日本新聞にはこのことが言及されています。

兵法書には<勝つべからざるは守なり、勝つべきは攻なり>。勝てないときは守り、勝てそうなら攻める。守りが基本で、好機が来れば攻めに転じる、ということだ
〜西日本新聞「春秋」より

この言葉が言わんとすることは「攻めだるま」ということではなく、適宜攻守を切り替える必要性を説いているんですね。

「まず自分から攻める」「自分の卓球をする」というのは、私の好きな卓球界でもよく言われるワードです。しかし、全日本選手権を10度制覇した日本の第一人者、水谷隼選手は「攻めだるま」になりがちな日本のトップ選手に対して、警鐘を鳴らしています。

高いレベルで勝とうとするなら、「守っても勝てるけど、ここは攻めるタイミングだから攻める」という戦い方をしていかないといけません。仮に、僕が「守れないから攻めるしかない」という選手と対戦したら、手のひらの上で転がすことができると思います。
 〜卓球レポート「水谷隼、全日本決勝を語る⑧」より引用

ドイツやロシアなど、世界で活躍してきた水谷選手の言葉だけに、重みがある言葉です。

世界に対して日本人が武器とすべきは「組織力」というのは、いろいろな分野で言われているように感じます。一方で、それは幻想ではないか、というのがバスケ界からの指摘です。

「日本は個の力がないから組織的に戦う」とは、昔から日本代表を率いる指揮官が必ず言うセリフだ。 しかし、組織的に戦っているのは日本ではなく相手のほうだった。
 〜Web Sportiva「バスケW杯で課題が露呈。日本は世界の戦術のトレンドに追いつけるか」より引用

世界の技術トレンドに遅れを見せている日本のバスケ。「世界に遅れている」というのは、どの分野の方も心に刺さるワードではないでしょうか。

「日本には守備の文化がない」とトルシエに言われてから20年近く。それでも、日本の守備に対する意識というのは、サッカー界においてもあまり変わっていないようです。

すでに20年近く少年サッカーの指導をしていますが、キーパーをやりたがる子はほとんどいないので、だいたいは“やらせる”という形になります。
 〜日刊サイゾー「なんでうちの子がキーパーなの!?」川島永嗣ショックで、少年サッカー“キーパー不足”深刻化! より引用

そう、守備を担当すると「失敗すると槍玉に挙げられる」割には、チームが勝利しても守備がクローズアップされることはあまり多くないです。だから日本では、あまり守備を担当したがらない面もあるのでしょう。

「守備」をしたがらない、というのは、何もスポーツ界だけに限りません。

マイクロソフトは2020年1月14日、Windows7へのサポートを終了した。(中略)
にもかかわらず、同社によると、1月時点で、日本には1391万(官公庁や地方自治体で753万、家庭内で638万)ものWindows7を利用するコンピューターが存在した。これは日本でWindowsを活発に使用している全コンピューターのほぼ2割にあたる。つまり、全般に日本人のサイバーセキュリティへの意識は低いと考えられる。
 〜論座「遅れる日本企業のサイバーセキュリティ対策」より引用

「いまだにWindows 7を使っている」と指摘されて、私も「ウッ」と思ってしまうところはありますが。

こうしてみると、日本には「組織」や「守備」といったものは幻想で、「ひたすら攻撃」「個々が集まってなんとかする」といったことが現状なのかもしれません。

逆に言えば「組織的な守備」という点で、まだまだ日本にも「伸びしろ」があるのかもしれませんね。


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