Products|Studio Kaksikkoに聞く、LINNEAのデザインと2人のはじまり
コーヒータイムをイメージして作られたリネンアイテム、LINNEA(リンネア)が新発売しました。
デザインしているのは、Salla Luhtasela(サラ・ルータセラ)とWesley Walters(ウェスリー・ウァルタース)によるデザインユニット、Studio Kaksikko(スタジオ・カクシッコ)。2人は2015年の活動開始から現在に至るまで、家具や陶器など様々な分野で活躍しています。ラプアン カンクリへのデザイン提供は今回が初めて。そこで、日本とも縁深いというウェスリーに、LINNEAのデザイン、そして2人の活動について伺いました。
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Kaksikkoのはじまり
--アメリカ出身のウェスリーとフィンランド出身のサラ。2人はどのように出会ったのでしょうか。
「2014年に、私が留学をしていたアアルト大学の陶芸の授業で知り合いました。私は出会ってすぐにサラのシンプルで繊細なデザインに強く惹かれました。他のどの生徒よりも一番上手だと思いましたよ!デザインの思考や方向性に共通点を感じた私たちは、その後2015年からStudio Kaksikkoとして活動をはじめました。」
--フィンランド語で「2人組」を意味する「kaksikko」。このユニット名にはどんな思いが込められていますか?
「この名前には、2つの意味を込めています。まず1つは、“最初から最後まで全てを2人で行う”ということ。Kaksikkoを知っている人の中には、私が木工でサラが陶器というイメージを持っている人も多いかもしれませんが、最初のデザインは必ず2人で行っていますし、基本的に全ての工程を2人で意見を出し合いながら進めています。そして2つ目は、Kaksikkoを基本にしながら、『Kolmikko=3人組』『neljäkko=4人組』とフレキシブルに名前を変えて、“いろいろな人とコラボレーションしていきたいという希望”を込めています。こうすれば、名前を見てすぐにコラボレーションしていることがわかるでしょう?」
デザインができるまで、そのルーツ
--2人のプロダクトは、シンプルで洗練されたデザインながら独特な存在感を感じます。デザインのインスピレーションはどこから得ていますか?
「デザインを考える時、最初はいつも2人で座って自由に絵を描きます。描いたものを互いに見せ合い、いいなと思ったところは掘り下げたりしながら、徐々に絞っていく。2人の意見を合わせることで、それぞれの案や意見にインスパイアされて、どんどん良いものが出来上がっていきます。どこまでも徹底して2人で作り上げていくというというのが、Kaksikkkoのスタイル。それは私たちの信頼関係から生まれるものですよね。」
「絵を描いていても収穫がない時は、散歩に出て、古い建築や博物館で骨董品を見たりすることが多いかな。古い歴史的なものにインスピレーションを受けることが多いです。」
--出会ってすぐに、お互いの目指すデザインに共通点を感じたとのことですが、2人のデザインにルーツはありますか?
「私がデザインに興味を持ったのは、実は日本との交流がきっかけです。私はカリフォルニアの生まれですが、10代の頃にたまたま日本の岡山に交換留学に行く機会がありました。そこでは多くの友人ができ、ホームステイ先の家族とも仲良くなり、日本を第2の母国のように思うようになりました。そんな日本との交流の中で、和風のデザイン、物の作り方、見せ方に刺激を受けてデザインというものに興味を持ちはじめたんです。」
「デザイン全体に興味があり、特に日本のデザインに特化して深めたいということではなかったのですが、偶然にも多摩美術大学で学ぶ機会に恵まれるなど、アメリカと日本を行き来しながら、合わせて5年間を日本で過ごしました。フィンランドデザインに興味を持つようになったのも、多摩美術大学に通っていた頃です。」
「サラは、生まれも育ちもヘルシンキ。もともとはケーキ作りを勉強していて、ケーキ屋さんやパン屋さんで働いていました。その中で、ケーキを盛るための器や飾り方に興味が湧いて、アアルト大学でセラミックを学ぶようになったそうです。」
--日本がはじまりとは、日本人として嬉しい限りです。日本のデザインにどんな印象を持ちましたか?今の活動で日本を意識することはありますか?
「日本は、良い意味でディテールにこだわりますよね。デザインでも料理でも、何に対しても徹底的に細かいところまでやる。その繊細な独特の美しさに惹かれました。」
「私たちは活動の中で、作品に日本名をつけたり、日本のデザインを真似たり、意識的に日本をデザインに取り入れようとはしていませんが、何を作っても『日本らしいところがあるね』『全体的に和風な雰囲気があるね』とよく言われます。普段から日本の物を使ったり見たりしていることで、無意識に日本的なデザインになっているのかもしれないですね。」
「サラは日本のことはあまり知らなかったのですが、2年程前に2ヶ月間のアーティスト・イン・レジデンスに参加して、日本で活動をしました。もともとサラには日本的なデザインセンスを持っているように感じていましたが、実際に行ったことでさらに強まったのかもしれません。」
LINNEAのデザインストーリー
--数々のブランドでデザインを提供していますが、LINNEAはどのように生まれたのでしょうか?
「学校の授業でテキスタイルデザインをしたことはありましたが、Kaksikkoとしてテキスタイルのデザインをするのは初めてでした。サラはお姉さんがテキスタイルデザイナー(ラプアン カンクリでも活躍するReeta Ek)、お母さんは建築家ですし、もともとパターンの素質はあったのかな。」
「LINNEAはコーヒータイムをイメージするものという企画だったので、エプロンやテーブルマット、キッチンタオルといったフィンランドのKahvitauko(カハヴィタウコ=コーヒーブレイク)を思わせるアイテム展開になっています。パターンに関しては、マーケットや用途にとらわれずに、純粋に自分達が好きなデザインにしました。たくさんのイメージモチーフを集めたのですが、最終的にデザインの元になったのは、フィンランドの伝統的なラグ、リュイユの裏面の織り模様なんです。ふと、リュイユの裏面を見た時に、その慎ましくてシンプルなデザインにピンときたんですよね。」
「私たちはこの企画の前からずっと、上質な素材と良いデザイン、高い技術を併せ持ち、国産の製品が少なくなっている中で多くの製品をフィンランドで作り続けるラプアン カンクリが大好きで、憧れていました。ですから、刺激的なカラーやデザインで興味を引かせるものではなく、リネンそのものや織りの美しさが光る、浮き彫りになるデザインにしたかったのです。その結果、シンプルで静かな、最低限の表現に行き着きました。」
「LINNEAに限らず、私たちがデザインするものは、いつもこうなっているような気がします。質素で、目立たなくて。つまらないですよね笑。」
--Kaksikkoのシンプルで無駄のないデザインは、素材や作る人、さらにはそれを楽しむ使う人への思いが詰まっているのですね。最後に、日本のみなさまへLINNEAをどんな風に使って欲しいですか?
「ボロボロになるまで、できるだけたくさん使ってください。宝物のように大切に飾っておくのではなくて、実用的であって欲しい。テキスタイルに限らず、どんなプロダクトであってもそう思っています。私たちは、使うためのものを作っているんです。」
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この後、「まだずっと先になると思うけれど、いつか、全てを1から2人で作ったカフェを開きたいと思っているんです。」と明かしてくれたウェスリーさん。2人の活動は、これからも広がるばかりのようです。
表参道店では9月の間、秋に愉しむコーヒー時間をご提案しています。
LINNEAのリネンアイテムはきっと、毎日のコーヒータイムをワンランクアップしてくれるはず。ぜひ店頭で実際に手にとって、ご覧になってみてください。