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【考察】ゲームも勉強も好きな私が、ゲームの良さについて考えてみた。「知的隠し要素」に気づけたら楽しい。

こんにちは、ゆうです。

「ゲームばかりしていないで、勉強しなさい!」

世のお母さん方は、あたかもゲームが勉強の敵であるかのように言います。でも本当は違うんです。勉強はゲームを支えていて、ゲームも勉強を支えているんです。そんな2者のあるべき姿を3つのポイントに絞ってお話していきます。

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1.教養があれば、ゲームの知的隠し要素を味わえる。

建築物、日用品、ゲーム、これら全ては創作物なわけですが、知識が無ければ創作活動はできません。ということは、創作物の裏側を見れば、創作過程に必要だった知識が見えてくるということになります。

例えば、家を観察すれば、力学や材料学などの知識が、鍋を1つ手に取ってもその裏側には、金属加工の知識や、人間工学、金属の熱伝導率などの知識があるわけです。何気なく使っている身の回りの物1つ1つは人類が築き上げて来た知識の結晶に他なりません。

ではゲームの場合は?


全てのゲームには「世界観」があります。ゲームの舞台がが中世なら、世界史が。舞台が古代ならギリシア神話があるでしょう。そのキャラクターの名前はどこから来ているのですか?大体神話からでしょう。その技の名前はどこから来ているのですか?物質名化学反応名などではありませんか?

世界観を構成するのに必要な人文科学の知識がベースにあり、その世界観に合うように理系の知識をブレンドして作られているゲームの多いこと!そのブレンド術は作者の教養の量に比例しますので、

もしプレイヤーがゲームの世界観を因数分解できる教養力を持ち合わせていれば、「ああ、このゲームのこの部分は、この知識とこの知識の掛け合わせなのか」とクスリと愉しめるはずです。

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ゲームを作るのにも教養が必要です。そして世界観に溶け込まされた教養を見抜くのにもまた教養が必要です。


このようにゲームの世界観に溶け込んでいてすぐには見抜けない教養のことを私は「知的隠し要素」と呼んでいます。そんな要素が美しく詰まったゲームを1つ具体例として下に紹介したいと思います。



  ・例:冷戦を隠し要素に持つゲーム『Mother 3』


隠し要素が深~い名作ゲームを例に見ていきましょう。

14年前のGamebody Advanceの名作で、一見すると子どもたちが悪の組織と戦っているだけのゲームですが、共産主義と資本主義の戦いを隠し要素として持つ大人びたゲームなのです。世界の支配構造や社会構造の変化が子供じみたキャラクター、ストーリーの裏で渦巻いています。

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『Mother 3』 = 共産主義×資本主義の戦い

主人公 (子供)の村は、貨幣が必要無いほど平和で人々はのんびり暮らしています。でも実はこれ、共産主義の理想形なんです。なぜかと言うと共産主義は「お金が必要なくて幸せ=みんな平等で満足している」状態を目指しているから。このことから、主人公たち及び資本主義侵略以前の世界観は共産国家ロシアの比喩だと言えます。これだけでも、レーニン、マルクス、スターリンなどへの扉が開きますよ!?

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しかし!ポーキーというデブデブに太った大金持ちの悪役が、ブタのマスクをかぶった軍隊を引き連れて主人公の町や近隣諸国を滅ぼし、支配下に置いていきます。そして、格差がガンガン開いていく...これは、資本主義国アメリカによる世界征服の比喩なのです。

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だからゲーム全体の隠し要素として、「冷戦」という東側諸国と西側諸国の間の対立があると言えます。

ゲームの進行につれて町並みが下のように変わっていきます。

・左側が貨幣なんて必要なかった共産主義時代の平和な街
・右側が貨幣まみれで格差が開いた資本主義の街並み

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こういうのに気づいて、「ああ、作者の知識量半端ねぇ!」と感動するのです。

考えに考え抜かれて作成されたゲームは美しいのです。

勉強をやめてゲームをすれば楽しいかもしれません。でも、勉強をして教養を身に着けてからゲームをすれば、何十倍も楽しいのです。



2.ゲームの世界観は作者の教養の産物であることを知れば、教養を身に着けたくなる。

誰しも、子供のうちから強度の高い教養を身に着けているわけではありません。私自身、中学生の頃に『Mother 3』をプレイしていましたが、上で述べたような知的隠し要素にはほとんど気づかず只の娯楽として遊んでいたため時間の浪費にしかなりませんでした。

しかし、中学生ながら、このゲームの裏側には何かがあるということには感づいていたものです。

・なんでBGMがロシアっぽいんだろう?
・なんでこのゲーム中のブタはアメリカっぽいんだろう?


そんな疑問を心の奥で持っていたわけですが、一歩踏み込んで調べようとは特に思いませんでした。今になって思えば、もったいなかったなぁと!もしあの時調べていれば、冷戦のことや、資本主義、共産主義についてもっと早く知ることができ、今頃更に深い理解が身についていたと思います。


ゲームを遊んでいて、「何か臭うな!」とか「これは何の比喩だろう?」と思ったらすかさず調べてみましょう。私が子供の頃はインターネットがまだ世に出始めた頃だったので情報量は乏しく、例え検索に掛けても大した情報は得られなかったはずです。しかし2020年の今は違います。ネットが発達した今や、検索すれば大抵の事柄は一発でわかります。しかもこのような個人ブログも多く、専門用語を使わず優しく解説しているページも多いので小中学生でも、ゲームを入り口にして簡単に教養を身につけることができます。

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世界観の元になっている知識×ゲーム作者の教養=ゲームの世界観


全てのゲームの裏側には、その世界観を形作っている何かしらの教養があると考え、プレイしながらそれを解き明かしてみましょう。それが大好きなゲームであればあるほど、その知的パズルにハマることでしょう。

勉強なんて「好き」を原点に突き進んだほうが学習効果が高いのです。学校で強制されるよりも、自分の好きなゲームを出発点に知識を獲得し、自身のレベルアップもしていきましょう。


3.ゲームは語学の勉強にもなる

この内容は以前記事にしたので詳しくはコチラの記事を参照いただくとして、本記事では1つ例を挙げておくに留めます。


例えば、「プルート (Pluto)」という単語。ゲームでは地名にもキャラ名にも技名にも使われがちな単語です。もともと、Plutoはギリシア神話で冥界の神と言われているのですが、放射性物質で悪名高い「プルトニウム(Plutonium)」は被爆することから死ぬので、そう名付けられました。

なんでそうなのか?プルトニウムって具体的にどんな物質なの?と思って調べていけば、神話という人文科学の勉強にもなりますし、自然科学の勉強にもなります。こんな風に理科の勉強に繋がります。

英語に「plutocrat (金権政治家)」という単語があるという所に辿り着ければ、語学の勉強になります。金持ちによる支配は地獄ですからね!

それだけではありません。先程の『Mother 3』の資本主義の豚「ポーキー」と結び付けられれば、一周まわってゲーム&資本主義・共産主義の勉強に戻ってこれます。

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さらに深めて、Plutocratは古代ギリシア語「πλουτοκρατία (富裕層の支配)」であることに留意すれば、2000年以上前の古代ギリシア人が富裕層の支配を嫌っていたことが見えてきて当時の社会情勢はどうだったのだろう...と、古代ギリシア史への扉も開きます。

全部つながっているんです。


おわりに

シリーズ物のゲームには前作をプレイしたことがある人だけが分かる隠し要素がありますよね。それを見て心の底で密かに愉しみに耽けるような感覚で、そのゲームの世界観の柱を支えている数々の教養を楽しむことができたなら、ゲームの時間はどれだけ知的な時間になることでしょう!

ゲームばかりしていると目が悪くなると言われますが、勉強をして教養を身に着けてからゲームをすると、他の人には見えない知的快楽の花園ができるのです。

勉強はゲームを面白くして、ゲームは勉強を面白くする。

ゲームは勉強の敵ではありません。ゲームと勉強、2つそろってはじめて素敵になるのです。


【もっと読みたい人のための参考記事】

1.ゲームで英語を学ぶ

先ほど紹介した、映画よりもゲームで英語を勉強しようという趣旨の記事です。ゲームで勉強すると没入感が半端ないです。


2.英語力の不足じゃない、背景知識の不足だ!

英会話が進まない...単語をいくら覚えても文法をいくら詰め込んでも会話が続かない!

という場合もしかしたら、そもそも話すネタが無いから会話が続かないのではないのでしょうか?


3.知識って繋げると楽しいよ!というお話。

丸暗記ほど好奇心を殺すものはない。知識は繋げて有機的に育てましょう。


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