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【sについて】なぜplayがplaysに、friendがfriendsになるか?「s」は寂しさを埋めてくれるパートナー説

名詞は複数形になるとsがつきます。
動詞は三単現の時sがつきます。
でも何で?

こんにちは、語学の裏設定のゆうです!今日は「Sの謎」についてお話しです。

・friend→friends
・play→plays

名詞の複数形のsと三単現のsは実は共通の意識があるかもしれないということについて、解説していきます。

具体的な解説抜きではちょっとイメージは湧きにくいかもしれませんが、当記事で伝えたい内容を3つにまとめると以下のようになります。

・sをつけると、1個が複数になる
・だからsをつけると寂しくない
・heやsheは会話の部外者だから、寂しさを埋めるために動詞にsをつける

最初に1つことわっておかないといけないのですが、本記事の内容は語源学的には正しくないですが、心理学的には楽しい内容ですので、「なるほど!」と納得はしていただけると思います。

普段は授業スライドを公開しながら記事を書き進めることはしないのですが、今回は特別に、2016年に作った昔の授業スライドを一般公開しながらこの3点について解説して参ります!(過去の受講生の多くが、なるほど!!!と感動していたのと同じ気持ちにみなさんがなってもらえたらなと良いなと思うからです。)

投稿するのが久しぶりすぎてブログを書くのが些か新鮮に感じますが、それでは参りましょう。


1.Sは寂しさを埋めてくれるパートナー

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みなさん、一人ぼっちの時間が続くと寂しくなりませんか?

癒やしを求めて誰かにラインしたくなったり、相手が人間じゃなくてもペットの猫や犬を探したくなったり、孤独を解消したいと思うことでしょう。

誰か居てほしい。

その「誰か」が「S」なのです。

「S」を付けると、同類の相手が出現します。

・A chocolate→chocolatesになると2つ以上に!
・A dog→ dogsになると2匹以上に!
・A friend→friendsになるとみんなでワイワイ状態に!

人は本能的に、孤独には強くありません。社会的な動物ですからね。「S」がつくと寂しさが埋まるのです。

私の好きな著者に瀬戸内寂聴さんというお坊さんが居るのですが彼女は著書でこのようなことを言っていました。

人間は生まれた時から一人で生まれ、
死ぬ時も一人で死んでゆきます。
孤独は人間の本性なのです。
だからこそ、人は他の人を求め、
愛し、肌であたため合いたいのです。

これこそが、人が体温ほどの温度を最も心地よいと感じ、
・毛布に入っている時
・お風呂でお湯に使っている時
・抱かれている時

が快感なわけですが、どれも自分の身体1つではできない事です。必ず相手が居ます。それは人かもしれません、ペットかもしれません、はたまた毛布のようなものかもしれません。どんなものであるにしろ、「相手」が居るわけです。

そういった相手を「S」は召喚する。

だから名詞が一人ぼっちのときにSをつけて仲間を増やしてあげるのは、思いやりの心なのです。

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Sは寂しさ(Sa mi shi sa)のS。SadのS。

名詞にSを付けて複数形にしてあげるのって、思いやりの心なんですね。


2.動詞につくSの話の前に、内野と外野の話をしよう

英語の文法の授業の時、
1人称、2人称、3人称という用語を習いませんでしたか?

聞いていて意味がわからないという方、

多かったと思います。

しかし、会話の「内野」と会話の「外野」という概念を取り入れて考えてみれば案外簡単だと気づくはずです。

さてさて、

日本人は集団主義なので協調性を尊びますが、英語は個人主義なので「オレオレ主義」です。つまり、「我こそは世界の中心なり!」というメンタリティーを有しています。

そのことは、英文で「I」が大文字で書かれていることから簡単に分かります。「I」、わたしの存在感を絶大に出したい。だから大文字なのです。そんなわけですから、英語の世界観では「わたし」こそが世界の中心であり、内野なのです。

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そんな王様気取りの俺様の目の前に会話相手が現れました。
Youの登場です。
どういう位置づけで登場させるか?

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内野扱いなので、ウェルカムなのです。
ちょうど日本人が台湾にビザなし行けるように、「You」であれば「I」王国にビザ無しでサクッと入れるわけです。

ところが、ところがです。

HeやSheやTheyは、比較にならないほどひ・ど・い扱いを受けます。

外野扱いされるので、こんな感じです。

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「You & I」、私達2人だけの世界にはお呼びじゃありません。完全なる門前払い。会話に入れなくって寂しいのです。

この寂しい人達を、軽蔑の意味を込めて3人称と呼びます。

なぜ3なのか?

日本語でも赤の他人のことを「第三者」といいますよね?
それと同じです。

「I」は王様なので、もちろんナンバーワン。
「一人称」です。

「You」はナンバーツーなので
「二人称」です。

ここまでをまとめると

ナンバーワンの「I」を一人称と言う。
ナンバーツーの「You」を二人称と言う。
第三者の部外者共を軽蔑を込めて三人称と言う。


3.寂しい三人称たちの心を埋めるためにSを付ける

ここまでの話を聞いたらもう察しが付くかもしれません。

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先程の、会話の内野・外野図を見ると、HeやSheなどのボッチ組(別名、単数組)はなんだか寂しそうですね?

だからSを付けるのです。
こういう動詞につけるSのことを私は「Sの癒やし」と呼んで教えています。

He play basketball→He plays .
She play basketball→She plays basketball.

ところがTheyにはSがつきません。
なんでかはもう分かりますよね?

ロンはレナと居るので寂しくないですし、レナもロンと居るので寂しくないです。だから寂しさを埋めるためのSは必要ないのです。

昔のスライド感満載ですが、ここまでをまとめるとこうなります。

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さて、
ところでどうして動詞の現在形にだけSが付くのでしょうか?
なぜ過去形にはつかないのでしょうか?

それは、昨日のどが渇いていたから今水を飲みたいと思わないように、人間は現在の問題だけに関心があるからです。

寂しい、と今感じる。

だから、手っ取り早くそれを埋めたい。

しかし、一昨日寂しいと感じていたから今それを埋めたい、
とは思わないはずです。なぜなら過去は過去のこと、過去の寂しさは現在は基本的に問題にならないのです。

だからSの癒やしを使って、埋めたい寂しさは現在の寂しさだけであると。

それゆえに、動詞の過去形にはSはつかないで、動詞の現在形だけSがつくと。会話の外野に居る単数に限る。

こんなことをまとめて、文法用語ではこのSのことを「三単現のS」だなんて呼んでいたりします。

【三単現とは】
三人称・・・会話の外野に居て
単数・・・・ひとりぼっちで
現在・・・・現在寂しいと思っている

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このように、英文法を見てみると案外納得しませんか?

英文法とは英語圏の人の心の産物だと考えたら、他の英文法も心の裏の動きに着目したら分かりやすいかもしれませんね。

まとめ

・sをつけると、1個が複数になる
→同類のものを召喚する

・だからsをつけると寂しくない
→相手がいるから寂しくない

・heやsheは会話の部外者だから、寂しさを埋めるために動詞にsをつける
→Sの癒やしは、外野+孤独+現在、の三要素が揃ったときに付けられる

ある人はこう言います。

チョコレートで癒せない悲しみはない、と。

ならば、

三単現のSで癒せない寂しさはない。

少なくとも文法的には。



それではまた別の記事でお会いしましょう!


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