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フォーティネット:Q4決算直前 前期決算の振り返りと骨太戦略について


 この記事投稿から約1週間後となる2024年2月6日(火)、米国株式市場のクローズ後に、フォーティネットの2023年第4四半期(2023年10月~12月)の決算発表が予定されています。現時点の株価は、前回Q3決算後の暴落を受けての底値44ドル付近から順調に切り上げて、70ドル手前まで値を伸ばしており、2023年7月につけた上場以来の最高値を狙える(かもしれない)位置につけています。前回、前々回と四半期決算の度に暴落を経験しているこの銘柄ですが、今回のQ4決算はどうでしょうか。どちらに転んでも楽しみです。

 この記事では、前回Q3の決算結果や決算説明会の内容を参考に、Q4以降、2024年以降を見据えたフォーティネットの経営指針や様々な施策について、ファンダメンタルの観点から整理して紹介します。 



1. フォーティネットについて

 フォーティネット(Fortinet Inc.)は、サイバーセキュリティおよびネットワーキング製品の設計、製造、販売を手掛ける企業です。創業当初は中小企業向けのファイアウォール製品「FortiGate」を主軸に事業を展開し、その後セキュリティソリューションの範囲と製品ラインナップを拡げてきました。チャネルパートナーやシステムインテグレーターを通じて、アメリカ、ヨーロッパ、アジア、中東、アフリカの100カ国以上でプロダクトやサービスの販売を展開しています。顧客基盤は中小企業から大企業まで多岐にわたり、金融、政府、製造、小売、通信、テクノロジー、ヘルスケア、教育など幅広い業界にソリューションを提供。全世界で63万社以上の顧客企業を有している企業です。

フォーティネットの企業概要

2. 2023年度 Q3決算の振り返り

 2023年11月2日に発表された前回のQ3決算を振り返ると、増収増益を達成しながらも、市場予想には届かない結果となりました。その結果、翌日の株価は、前日終値57.59ドルから。最安値43.00ドルまで一旦大きく下落して50.48ドル(-12.35%)で終値となりした。その後、この価格を底値として約3ヶ月の間に徐々に上昇し、直近の株価は、Q3決算の底値から+53.77%上昇した66.45ドル付近で推移しています(1/30現在)。
 また、その前のQ2決算でも増収増益を記録しましたが、1株当たり利益では市場予想をクリアしましたが、売上と純利益が市場予想に達しなかったため、株価が暴落(▲25.07%)。
 このようにQ2決算に続いてのQ3決算後の株価暴落は、「またか。。。」というこの悪い印象をこの銘柄に与えてしまっているかもしれない状況で、Q4決算に向けての期待と不安が高まっています。 

(a)Q3決算:主要指標

※ アナリスト予想の平均値としてのコンセンサスは、FactSetコンセンサスを利用

(b)2023年度累積(9ヶ月):主要指標

(参考)
現在のフォーティネットの株価は以下をクリックして確認できます。


(1)Q3決算ヘッドライン

 Q3の決算では、人件費およびその他のコストを効率的に管理し、営業利益率が市場予想を上回る27.8%を達成しました。また、フリーキャッシュフローのマージンが36%に達し、金額ベースでは4.8億ドルと顕著な伸びを示しました。しかしながら、セキュアネットワーキング市場のプロダクト需要が高成長から通常レベルへと戻るにつれ、成長率が鈍化し、営業活動とマーケティングの効率が低下しました。これは、顧客との契約期間の短縮とアプライアンス需要の伸び悩みが原因で、プロダクト売上が予想を下回る結果となりました。
 プロダクト販売の売上総利益率は在庫の影響を受けて低下したものの、サービス販売の売上総利益率が上昇し、トータルの売上総利益率は76.9%まで上昇しました。サービス収益は28%増の8.6億ドルで、3年間の年平均成長率が27%と好調に推移しています。特に利益率の高いセキュリティサブスクリプションが34%増加し、サービス収益全体の57%を占めています。
 中小企業向け売上とソフトウェアの売上は好調で、6,400社以上の新規中小企業顧客を獲得し(19%増)、特に教育機関および官公庁での成果が目立ちました。しかし、サービスプロバイダーや小売業は低調で、大企業全体としては期待外れの結果に終わりました。一方で、SASE分野では競合他社に勝利し、50,000ユーザー規模の金融サービス顧客案件を獲得した他、既存のSD-WAN顧客に対して2,000ユーザー規模のSASEソリューションのアップセルに成功しました。これにより、SASEビジネスへの期待を高めています。
 セキュアネットワーキング市場の減速に対しては、マーケティングと営業チームのスコープをSAS市場とSecOps市場にシフトをかけており、既存顧客にSASEサービスをアップセルし、EDR(エンドポイント検出と対応)やSIM(セキュリティ情報管理)などとの統合ソリューションを提供することで、新規顧客を惹きつける戦略を進めています。また、セキュアネットワーキング市場は引き続き重要なマーケットであり、フォーティネットはソリューションの統合力と自動化能力を強みとして、引き続き年間2桁成長を目指しています。自社株買いに関しては、Q3までの9ヵ月間に6.0億ドル、2023年10月末までに4.4億ドルの自社株買いを実施し、10月末時点での残枠は約9.8億ドルとなっています。

(2)業績概観

 次に、Q3で発表された売上・利益、地域別の売上推移、セグメント別の売上推移について見て行きます。 

(a)売上と利益の推移

 過去27ヶ月に渡っての売上と利益に関する主要指標の推移です。 2021年から2023年Q2にかけて、前年度比の売上成長率が20%後半から30%前半を維持して成長していたのに比べ、直近の過去12か月を均してみると、売上も利益も総じて横ばいで推移していることが伺えます。 

Q3決算:売上と利益

(b)地域別売上

 地域別の売上データからは、アメリカ大陸、EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)、およびAPAC(アジア太平洋地域)の各リージョンで収益が増加していることが明確に確認できます。
 具体的には、米国内の売上は前年同期の3.4億ドルから4.0億ドルへと16.4%増加し、米国外のアメリカ大陸地域では1.44億ドルを記録しています。この米国市場での顕著な売上増は、同社の強固な市場地位を反映しています。
 EMEA地域では、5.1億ドルの売上を達成し、これは前年同期の4.4億ドルから15.3%の増加を示しています。APAC地域も同様に、前年同期の2.3億ドルから2.7億ドルへと16.3%増加し、堅調な成長を続けています。
 また、2023年度の9ヶ月累積売上に関しては、APACを除く他の全リージョンで前年同期比25%以上の成長を達成しており、フォーティネットが世界の様々な市場で持続的な成長を遂げていることを示しています。

Q3&FY2023累積:地域別売上

(c)セグメント別・地域別売上

 プロダクト収益は4.6億ドルで、全体収益の約35%を占めていますが、前年同期比では1%の減少を見せています。この減少は、過去数年間にわたるプロダクト需要の高まりの後、需要が平常化したことによるものとされています。一方で、サービス収益は前年同期比28%増の8.6億ドルを記録し、全体収益の約65%を占める大きな貢献をしています。特に、セキュリティサブスクリプションの収益は前年同期比34%増、技術サポートおよびその他のサービス収益は前年同期比20%増と、サービスは強く成長を続けています。

 今後については、プロダクト収益の成長が鈍化している状況の中、ネットワーキングとSASEソリューションの統合提案や統合SecOpsプラットフォームのホステッドサービスによって顧客を訴求する戦略を進め、サービス収益の増加傾向を維持することを見込んでいます。

Q3決算:セグメント別・地域別売上

(3)Q4に向けてのガイダンスとコンセンサス

 フォーティネットは、Q4および本決算に向けてのガイダンスを発表しています。このガイダンスは、セキュアネットワーキング市場の成長鈍化、セールスサイクルの長期化、および企業の予算審査の厳格化といった市場環境の変化を反映したものとされており、これらを考慮した上で、Q4の業績について慎重な予測をしているとのことです。

(a)Q4ガイダンスとコンセンサス

(b)FY2023通期ガイダンスとコンセンサス


3. Q4決算への布石、将来に向けた施策

 Q3決算発表時に提供された株主向けレターやカンファレンスコールの内容を基に、Q4決算に向けた戦略や長期的な企業戦略に関連する主要なポイントを要約して以下に紹介します。 

(1)骨太方針について

 以下の骨太方針を掲げ、Q4決算および2024年に向けた戦略を展開するとしています。

  • 販売サイクルの延長と企業の厳格な予算管理に伴い、短期的な業績への制約が予想される。

  • Q4の注目点として、新規顧客数の増加、中小企業向けの良好なパフォーマンス、ソフトウェアビジネスの成果が期待されている。

  • 2024年は過去の急成長期からの転換期に当たり、収益性の更なる向上に注力していく。

  • 2023年上半期の逆風と受注減を踏まえ、2024年を通じて売上を徐々に伸ばし、年後半には2桁成長に近づく見込みである。

  • 2024年のプロダクト販売における粗利益率は低下するものの、2024年と2025年の営業利益率は25%を超える健全な水準を維持する見通しである。

  • サービス契約期間は2022年の高水準を下回る見込みであり、サービス収入はプロダクト収入の増加に後れを取ると予想される。

  • フリーキャッシュフローが強く、積極的な自社株買いとM&Aの機会を模索している。

  • SASEとSecOpsへの投資を拡大し、市場シェアの獲得を目指し、バランスの取れた成長と収益性の回復を計画している。

  • 収益性を重視し続け、特にSASEとSecOpsへの移行に伴い、成長と収益率のバランスの重要性が高まっている。

(2)市場認識

 Q3の決算報告会で、経営陣は以下のような市場トレンドと外部環境に関する認識を示しています。

  • フォーティネットは、ファイアウォールの売上高と出荷台数において市場リーダーを担っており、セキュアネットワーキング市場の規模が現在の620億ドルから、2027年には860億ドルにまで拡大すると予測している。

  • 急速に成長しているSecOpsとSASEの分野では、460億ドル規模のSecOps市場が2027年には780億ドルに達すると見込まれている。また、170億ドル規模のSASE市場は、2027年までに年平均成長率(CAGR)20%で拡大し、360億ドル規模に成長すると予想されている。

  • 2025年までにSASEの新規導入の約1/3が、シングルベンダーで提供されるSASEソリューションになると見込まれている。GartnerのMagic Quadrantで9つのカテゴリにおいて評価を受けるフォーティネットは、この分野で非常に有利な位置にいると認識している。

(3.1)主要施策:セキュアネットワーキング市場

 セキュアネットワーキング市場における主要施策について、次のような方針を示しています。

  • セキュアネットワーキング分野は、現在の事業の70%を占め、堅実な成長を遂げているが、今後、成長率は落ち着いて行くと見ている。

  • 短期的には、ゆるやかな成長ながらも、安定した収益性を保持できると考えている。

  • 今後数四半期にわたる事業変革の影響を考慮に入れると、成長は小幅にとどまる見込みながら、2024年後半には2桁成長への回復を目指している。

  • 包括的かつ統合されたソリューションを提供するフォーティネットは、技術革新の先駆者としてセキュアネットワーキング市場でのリーダー的地位を維持していく方針である。

(3.2)主要施策:SASE、SecOpsへの取り組み

 SASEとSecOps市場への取り組みに関して、フォーティネットは以下のような主要施策を展開しています。

  • 従来のファイアウォール市場が変化し、企業の投資がOpExにシフトする中、サービスベースのSASEは市場に好感されている。

  • 成長著しいSASEとSecOpsの市場においても、フォーティネットのプロダクトの高い投資対効果が認知されており、競争力を持っている。

  • 既存顧客には、SASEのアップセルを推進し、新規顧客に対しては統合SASEソリューションを訴求していく。

  • 研究開発と市場開拓への投資をSASEとSecOpsに集中させることが将来の市場機会への近道であると考え、投資を拡大している。

  • SASEとSecOpsへの持続投資により、25%以上の営業利益率を維持し、売上成長を10%台後半に回復できると確信している。

  • 2023年10月に発表したGoogle CloudとのSASEに関するパートナーシップは、顧客から好評を博しており、SASE市場におけるプレゼンスの拡大に期待している。

  • 大企業顧客との共同開発を進めることで、エンタープライズレベルでの統合SASEソリューションの改善を加速する。

  • セキュアネットワーキング市場の成長が鈍化する中、セールスとマーケティングの効率を向上させることが求められており、今後数四半期にわたってSASE分野の開拓に向け、マーケティングとセールスチームの強化を図って行く。但し、これら過渡期における営業パフォーマンスの低下による業績への影響の可能性については認識している。

  • SecOpsソリューションの認定営業を数千人規模で増やし、チャネルパートナー向けのSASEとSecOps特化トレーニングを実施。また、販売インセンティブプログラムを開始することで、チャネルパートナーを強化している。

  • SASE市場の競争が激化する中、他社との差別化戦略が成功の鍵となり、競争環境の変化に適応することが重要と考えている。

※ これまで何度も取り上げられたSASEとSecOpsについては、その概念やイメージを捉えにくい方のために、下方に簡潔に説明を加えていますので、ぜひご参照ください。

(3.3)主要施策:研究開発やプロダクト開発について

  • 新しいASICとプロダクトを市場に投入し、コストパフォーマンスをさらに高めることで、セキュアネットワーキング、SASE、SecOpsの分野における技術的リーダーシップを維持します。

  • SecOps分野では、AI技術を取り入れ、EDR(エンドポイント検出・対応)、SIEM(セキュリティ情報・イベント管理)、SOAR(セキュリティオーケストレーション・自動化・対応)といったプロダクト機能の強化と拡張に注力します。


4. フォーティネットのソリューションについて

 フォーティネットの収益源は、広範囲に及ぶセキュリティ脅威に対応するハードウェアプロダクト、ソフトウェアプロダクト、およびサービスプロダクトから構成されています。 彼らは、多岐にわたるソリューションを提供しており、この場で全てを紹介することはできませんが、上記で述べた今後の施策を理解する上で役立つ基本レベルの情報について紹介してみようと思います。

(1)フォーティネットのプロダクトラインナップについて

 フォーティネットのプロダクトソリューションは、ファイアウォール、侵入防止、アンチマルウェア、仮想プライベートネットワーク、アプリケーションコントロール、ウェブフィルタリング、アンチスパム、広域ネットワークアクセラレーションといった多岐にわたるセキュリティ機能およびネットワーキング機能を提供するFortiGateのハードウェアとソフトウェアライセンスを中心に構成されています。 

 下図に示すのは、フォーティネットが「Fortinet Security Fabric」と称しているソリューションのコンセプトの図で、これは企業の多様なセキュリティの課題に対し、エンドポイントからクラウドまでを包括的かつ統合的に保護することを可能にするセキュリティアーキテクチャを示しています。この「Fortinet Security Fabric」は、数十種類にも及ぶ異なるプロダクトカテゴリから構成されており、サイズや性能、機能に応じて、更に多様なモデルへと分岐して行きますので、フォーティネットが顧客ニーズにきめ細かく対応するために、如何に幅広いプロダクトをラインナップとして用意しているか、容易に想像頂けるのではないかと思います。

Fortinet Security Fabricを構成するセキュリティ機能やプロダクト (出典:Fortinet)


主力のハードウェアプロダクト「FortiGate」の概観 (出典:Fortinet)


(2)サービスプロダクトについて

 フォーティネットは、前述のハードウェアとソフトウェアによるプロダクト群に加え、同社のサービス収益を支える多様なサービスプロダクトを提供しています。これらのサービスは、顧客の具体的なセキュリティ要求に基づき、個別にもしくは組み合わせで提供され、顧客システムの包括的なセキュリティ保護を可能としています。フォーティネットは、市場のニーズと技術進化に応じて、プロダクト販売とサービス販売のバランスを保ちつつ、両方のセグメントでの成長を目指しています。以下は、フォーティネットが展開している主要なサービスプロダクトの概要になります。

フォーティネットの主なサービスプロダクト

(3)フォーティネットのソリューションの差別化要素

 フォーティネットが提供するソリューションの特徴として、その差別化要素を簡潔に説明いたします。

(a)ASIC(特定用途集積回路)

 フォーティネットのASICは、独自のセキュリティアプリケーション機能の処理ロジックを専用のハードウェアチップに焼き付けることで、処理のパフォーマンスを大幅に向上させることを可能としています。ASICは特定の用途に特化して利用する集積回路であり、汎用のCPUに比べて処理速度や電力効率において優れた性能を発揮します。フォーティネットは、セキュリティの脆弱性に対応する様々なアプリケーションのロジックをASICに組み込むことで、高度かつ複雑なセキュリティ機能を高速且つ省電力で実行することが可能なフォーティネットならではのソリューションを実現することができます。
 尚、他のサイバーセキュリティ関連プロダクトメーカーもASICやFPGA(Field-Programmable Gate Array)などの特化型ハードウェアチップを採用し、機能や性能の強化を行っていますが、他のほとんどのメーカーは、依然として汎用的なCPUを利用しており、フォーティネットほど広範囲にわたって、独自のASICをプロダクトラインに統合しているメーカーは珍しいというのが現状です。
 その結果、フォーティネットのプロダクトは、独自ASICによって実現される高速なパフォーマンスと優れたセキュリティ処理能力が競合他社に対する優位性となって、フォーティネットが市場競争力を高める重要な要素となっています。

(b)FortiOS

 フォーティネットのソリューションの中核となるオペレーティングシステム「FortiOS」は、同社のプロダクト群を支える基盤技術です。このFortiOSのでは、ファイアウォール、VPN、アンチウイルス、侵入防御、ウェブフィルタリング、アプリケーションコントロールといった多岐にわたるセキュリティ機能が統合的に動作・管理され、安定したパフォーマンスと一貫性のあるセキュリティポリシーの実現を支えています。また「FortiOS」は、セキュリティファブリックとしても機能し、ネットワーク内の様々なセキュリティプロダクトの間での情報共有を可能とし、継続的なアップデートを通じて常に最新の脅威に対応可能な統合された脅威対策を実現するフレームワークとして機能します。

(4)SASEとSecOpsについて

 現在のクラウド利用やリモートワークの普及したビジネス環境では、サイバーセキュリティとネットワーキングは非常に重要な領域となっています。SASEとSecOpsは、企業のネットワーク環境をより安全かつ効率的にするための重要なソリューションとして注目されており、これら技術を導入することで、高度化の進むサイバー攻撃のリスクを大幅に低減し、ビジネスを保護することが可能になります。

(a)SASEについて

 SASE(Secure Access Service Edge)は、SD-WAN(Software-Defined Wide Area Network)技術と多様なセキュリティサービス(ファイアウォール、侵入検知、データ損失防止等々)を統合したクラウドベースのアーキテクチャを持つソリューションです。 SASEは、スケーラブルかつ柔軟で、最適化されたネットワーク接続機能と強化されたセキュリティ機能を保護対象の地理的な場所に依存せず、オフィス環境やクラウド上のワークスペース、そして、ホームオフィスやリモートワーカーに提供することができます。 フォーティネットは、このSASEの概念を拡張した「ユニバーサルSASE」を提唱しており、更に幅広いセキュリティ機能やアクセス制御機能を統合したクラウドネイティブな柔軟性とスケーラビリティを兼ね備えたソリューションを提供しています。

フォーティネットの「ユニバーサルSASE」のイメージ(出典:Fortinet)

(b)SecOpsについて

 SecOpsとは、Security Operationsの略ですが、フォーティネットは、このSecOpsを企業組織のセキュリティを継続的に監視・管理するためのプラットフォームとしてサービス提供しています。このサービスには、脅威インテリジェンス、インシデントレスポンス、セキュリティオートメーション、及びそれらを統合するオーケストレーション機能が含まれており、顧客企業は、このプラットフォームを利用し、ネットワークやシステムをリアルタイムで監視することができ、異常な動きや潜在的なセキュリティ侵害を即座に検出、また、セキュリティ侵害が発生した際の迅速な対応やその影響を最小化することも可能になります。また、ソフトウェアやシステムの脆弱性を定期的に評価し、必要なセキュリティパッチやアップデートを実施することで、企業の複雑なセキュリティ環境を効率的に管理することができ、企業の内外で発生するセキュリティリスクを最小限に抑えることのできるサービスです。 

フォーティネットのSecOpsサービスを構成する機能群の概念図(出典:Fortinet)

5. フォーティネットを構成銘柄とする米国ETF

 最後に、フォーティネットを個別株として購入するのはちょっと、という方には、ETFという選択肢があります。 フォーティネットを構成銘柄とする米国ETFの数は、270以上ありますが下表には、国内主要な証券会社で購入できる時価総額のそこそこ大きなETFをピックアップしています。 

フォーティネットを構成銘柄とする主要な米国ETF

 これらの他、組入比率が5.24%と高いBUG(Global X Cybersecurity ETF)も国内で購入が可能ですが、時価総額が3,932万ドルと小さいETFとなるため、その流動性が少し懸念されるところです。



御礼

 最後までお読み頂きまして誠に有難うございます。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 
 
だうじょん


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