詩 「Candle Life」
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くるくると
らせんを描くように
加速度を増して
時間が回転をしている
フワフワと
眠りにつく夢の中
意識だけが酩酊しながら
独り歩きしている
時折見る夢は
実体を失くした意識だけとなり
眩ゆい蝋燭台が並ぶフロアを中を
練り歩くようにダンスをする
夢の中の
キャンドルの燈は
ひとつふたつと指折り数えるように
そのライフを遣い果たし
消えゆく運命にある
最後のキャンドルが消える頃
薄明かりに照らし出された
君が現れる__
ほどなく君の姿が千々に散ったかと思うと
その欠片たちは蝶の姿へと変身する
キャンドルの燈の周りで
ひらひらと揺らめく蝶の群れが
白く輝いて眩ゆい円弧を描く
幻想的にアップデートされた
メリーゴーラウンドのように
蝶の影は僕の周りを
虚しく回り続ける
・
・
・
・
これはうたかたの夢だったのか__
夜明け前のまどろみの中
横を見れば
可愛らしい顔をした君が
静かな寝息を立てている
君と僕はここに在って
同じ世界線と時間軸を共にして
生命の燈を灯している
君の居ない人生は悪夢
どうか夢であってほしい__
或る夜のこと
またもや蝋燭台のフロアに佇んでいた
夢の中で僕は意を決する
この世界の全てを灼き尽くすように
秩序立つ蝋燭台を薙ぎ倒していくのだ
燃え盛る炎で
蝶の姿を灼き払おうと
取り憑かれた狩人のように
執着が止まらない
この命の燈も
この世界も全て灼き尽くす
悪魔となった僕が現れたのだった
真夜中の扉に影が映る
何者かが訪れ
ノブに手が掛かる
ほどなく鍵は解かれ
扉は放たれた
横をみれば
部屋の中は蝋燭の燈が揺らめいて
壁に掛かった蝶の標本が
冷たく羽を広げて嗤っている
これはうたかたの夢なのか?
あゝ神様お願いだ
どうか夢であってほしい__
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