問いかけ、時間、労力、優しさのかけら。
今回は前回の続きでも洋服に関することでもなく、あくまでも僕が感じたことをただただ書いているので悪しからず。
……………
それは今年に入って立て続けに起きた2つの同じような内容のことで、どうしても一方に対して
「うーん…」となってしまった。
気にしなければ決して大そうなことではない。そんなことを書き記そうと思う。
1つ
まだ日本にいたときに仕事でご一緒したことのある方が1月の頭にニューヨークに遊びに来ていた。
僕はそれを彼女のインスタの投稿から知り、懐かしくもあり彼女に久しぶりにメッセージを送った。
何度かやり取りを続けていけば当然出てくる質問というか投げかけの言葉。
「オススメの場所あったら教えてください」
自分もきっと旅行先に友人が住んでいたら問いかけてしまうであろうこのフレーズだ。これを読んでいるあなたにも少なからず身に覚えがあるのではないだろうか?
問いかけをもらった僕は、彼女のインスタから彼女がニューヨークのどういうところに足を運んでいたか、なにを食べたかなどの情報を既に得ていたし、もともと仕事でご一緒した縁もあって(彼女も洋服関係のお仕事です)なんとなくひととなりも知っていたし、好きそうなものや興味のありそうなものもなんとなくわかっていたこともあって僕自身が割と『いいな』と思っているモノやコトをおすすめしても問題ないだろうと思っていたから答えは簡単に導き出せた。
その答えは、
-当然旅行で来ているからこれからいくであろうメジャーな場所は避ける。
-インスタで上げているような食べ物以外を紹介しよう。
-僕が今いいと思っているニューヨークの素敵な洋服のお店を紹介しよう。
この3つ。まぁ、簡単っちゃ簡単な答え。それでも、彼女に対してなんの情報もなかったら当然考えることに時間を要することになるだろうから一筋縄ではいかない。
そして、僕は彼女にグーグルマップの情報(お店の名前、住所など)と自分がオススメする場所の何が好きで、何がおいしくて、どうしてオススメなのかということと周辺の豆情報的なものを手短に書いてメッセージを送ったのだ。
どうして僕が手短でもあれこれ書いたかは言うまでもないと思うが、場所だけお知らせされてもよく分からないだろうし、折角ならその場所に興味を持ってもらえたら嬉しいなと思ったわけだ。
しかしながら、大概ヒトはそういう場所をオススメされても本気でいきたい場所でなければ行かない。というか、行けないと言った方が正しいのか。
それはそれで仕方のないことなのは当然で、元々の予定で行く場所があれば時間の都合もある。一緒に来ている友達に気を遣わせる又は気を遣いたくないからなど、とまあいろいろ推測できる。
しかし彼女は僕がオススメした場所にわざわざ足を運んでくれた。その知らせは彼女のインスタのストーリーから受け取ることになった。
彼女たちが僕のお薦めの1つに行くなんてことは毛頭思ってもなかったものだから、実際そういう知らせを受け取ればやはりうれしい、というか「オススメして良かった」となる。
わざわざ脚を運んでくれてありがとう。
素直にこう思えるのだ。
……………
2つ
それとは又別の話で、同じ頃に中学の時の同級生からのメッセージがあった。
彼は今カナダに住んでいる。何度かニューヨークにも来たことがあるらしく彼にとっても好きな街らしい。
彼はもしかしたら1月末にニューヨークに行くかもしれないから
「その時に是非会おう!」
と申し出てくれた。僕自身も中学卒業以来ぶりの再会となるので喜んで返事をした。
しかし彼に諸事情できてしまったためにその再会は果たされず終わってしまったのだ。
これはとても残念だった。何せ数十年ぶりかでしかも海外で中学の同級生と会えたかもしれない又とないチャンスだったからだ。
ここまではよかった。しかし、ここからが僕を悩ませた。というのも、彼から受け取ったメッセージには、
当初の予定ではニューヨークに来る予定は彼ひとりではなく、「彼の友人と」ということが記されていた。
ちなみに僕はその友人のことを微塵も知らない。
彼が友人と一緒に旅をしようがしなかろうが正直僕には関係のないことで、楽しんでくれたらそれでいいと思う。
そして、もし彼らの旅の途中で僕たちが出会えたとしたら、彼はその友人を僕に紹介してくれるだろうし、彼の近況やその友人のことについていろいろ聞かせてもらうと思うのだ。
そうすれば、その友人のひととなりや雰囲気、何が好きなのかなど何となくでも知りうることができるから。
しかし、メッセージ上だけの話だとしたらどうだろうか?
彼は続けてこう問いかけてきた、
「結局友達が一人でニューヨークにいきます。ほぼノープランらしいからオススメの場所あったら教えてください」
先にも書いたように僕はその友人を微塵も知らない、前のターンで初めて登場した人物なのだ。しかもノープラン。
それだからなのかオススメを教えてほしい。と。
僕はノープランで微塵も知らないその友人に何をオススメすればいいのか?
悩んでしまった。
1で書いたようにその人の多少でもひととなりや好みを知っていたら、何か縁のつながりがある人だったらオススメを考えることもできる。
しかし、全くそれがない。縁もゆかりさえも。
そのことを彼にもやんわり伝えた。
すると彼は、僕に『オレはここが好きで、ここをオススメしたけどね。』と言ってわざわざ丁寧にURLまで添付してメッセージをくれたのだ。
……?
どういうことなのか?
彼自身のオススメがあるならばそれでいいのではないか?
わざわざ僕に聞く必要があったのだろうか?
しかも僕とは趣味嗜好がまるで異なるような場所だったから、もし仮に僕が何かをオススメしたら彼のその友人はきっと行かないという選択をするだろうことは察しがついた。
要はこの何者かもわからないヒトに対してあれやこれや考えさせられる時間を割かなければいけない状況に僕は「うーん…」となってしまったのだ。
ノープランのその友人がオススメとして何を求めていて、どういうところに行ってみたいのか、どういうことをしたいのかなどの情報が全くなければそれを導き出さなければいけない僕の時間と労力はかなり浪費されることになる。
「いやいや、あなたから好みなどがなんなのかを質問してあげればいいじゃないか。」
と言われそうだが、はっきり言って顔も名前も知らないヒトに対して質問なんてする気になれない。
現時点では興味がないからだ。
誰だって自分の立場になって考えてみたら、きっとそういう思いになるのではなかろうか。(たぶん)
きっと誰にだってそういう経験は双方の状況からあり得ると思っている。もちろん、僕自身にも過去に身に覚えがある。
だからこそ思うのは、もし自分が次にそういう状況になったとしたら
「僕は〇〇に興味があって〇〇に行ってみたいのだけど、もし自分が知り得ないような現地に住んでいる〇〇さんならではのオススメの場所があったらおしえてください!」
と聞くだろう。
それで、返事が返ってきたら有難く思えばよくて、もし返事がなくても悲しく思う必要なんてない。きっとそれに対して答えを導き出せないだけなのだから。
ただそれだけのことなのだ。
結局何が言いたかったかというと、
漠然としすぎている問いかけは相手の時間と労力を限りなく浪費させる可能性があるのだということ。
他人の時間は無駄にしていいものではない。
だから、もし僕やあなたが問いかけに優しさのかけらを忍ばせることができたら、きっとお互いが余計な時間や労力を割くことなくすんなりとやり取りできるのかなと思うのだ。
賛否両論あると思うが、これを読んでくれたあなたはどう感じるのだろうか。
改めて考えさせられる一件だった。
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