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京都製麦研究開発株式会社(Kyoto Malt R&D Inc.)という会社をしています。 ビールやウイスキーの主原料である麦芽(モルト)の国産化、事業化がミッション。醸造コンサルは「副業」です。 https://kyotomalt.com

マガジン

  • 麦芽(モルト)の地産化活動記録

    地ビールやクラフトウィスキーの原料である麦芽(モルト)を国産化するための活動=会社の本業の記録。

  • 仕事を離れて

    日々の雑感を置いておくところ。 公の場に置く以上は何か、公共性とか共感につながるようなこと。

  • Journal Club

    麦芽(モルト)やビール、ウィスキーに関する学術論文を勉強がてら紹介するシリーズ。

最近の記事

醸造所の設立支援

2023年3月13日 知り合いの会社社長の構想を実現するために、しばらく前から醸造所の設立支援をしています。冒頭の写真は予定地の建物がスケルトンになった際に見に行ったもの。もちろん、中にきちんと食品グレードのスペースを作ります。 オリンピックの年あたりから全国にビールの醸造所がずいぶんできて、最近ではコロナ禍で打撃を受けた事業の転換先としてビール造りが流行っているようですが、ここではビールではなく、ハチミツを原料としたお酒(mead)を造り、飲める場も併設する予定。 醸

    • ゴールデンメロンの製麦

      2023年3月9日 2019年播種から京田辺でゴールデンメロンを栽培してもらっているという話を書いたことがありますが、3年目となる2022年は37 kgほどの収穫があって、これを100 Lほどビールにしてみよう、という話になりました。 初めは滋賀のブルワリーに頼もうか?という話だったので、少し貰って実験だけでもやらせてもらおうと思っていたのですが、打ち合わせの間に次第に「いずれ自分たちで製麦にもチャレンジしよう」という嬉しい展開になってきて、製麦研で「手本を示す」ことにな

      • 1年ぶりの麦汁分析

        2023年1月26日 年末から、ようやく製麦実験を再開しています。必ずしも製麦用でない品種だったり、スペックだったりする大麦を、「使える麦芽」にする、という宿題に取り組んでいるところ。今回は製麦用の大麦を使って、論文で報告のある方法の再現性を取って(同じような結果になるかを確認して)います。 出来上がった麦芽は、決まった方法で粉砕し、決まった分量のお湯に加えて、決まった温度プログラムで加熱し、決まった方法で濾過して、コングレス麦汁(Congress wort)を得ます。タ

        • ゴールデンメロンの播種

          2022年11月27日 晩秋の晴天のなか、京田辺農福観地域づくり協議会の皆さんによるビール麦の種まき会に顔を出してきました。 「地ビール」原料にしようと地元で麦を育てる話は時々耳にしますが、ここでいま年々栽培面積を拡大しているのは「ゴールデンメロン」という品種。明治時代に最初に日本に入ってきたビール麦の一つで、現代の品種ではないところが、他と違うところ。 京田辺市は明治時代、普賢寺村の田宮龍太郎という篤農家がビール大麦の栽培法の確立に取り組み、のちに京都全域でビール大麦生

        醸造所の設立支援

        マガジン

        • 麦芽(モルト)の地産化活動記録
          10本
        • 仕事を離れて
          4本
        • Journal Club
          2本

        記事

          ウイスキーメッセ in Kyoto

          2022年10月16日 今年になってようやく、日本のいわゆるクラフトウィスキーについても少しずつ勉強し始めたのですが、本格的に自社製麦を始めた蒸溜所が増えてきたこともあって、ご挨拶がてら見学に行きました。 前売りは完売だったのですが、現地で運よくその時間帯の当日券の最後の1枚を購入して入場。「京都で国産大麦の製麦について研究しています」と言ったら、雑誌で写真を拝見していたような有名どころの方々に何人もご紹介頂いて、持ちあわせていた名刺はあっさり払底。こりゃ、地ビール業界よ

          ウイスキーメッセ in Kyoto

          母の死

          2022年12月2日 4月に癌が見つかって、半年間入退院を繰り返していた母が、11月9日の朝、亡くなった。最後は自分の家に戻りたいという希望通り、前月の20日に最後に退院してから、わずか20日間。多くは安らかに過ごして、眠りながら息を引き取ったので、それでよかったのだと思いたいが、悔いがなくはない。 退院の日から同じ家に寝起きして、介護する姉と、ことここに及んでなお家父長然と振る舞う父親と共に、一緒に過ごしたけれど、密なコミュニケーションをとるにはあまりにも時間が短くて、

          1年ぶりに製麦を再開

          2022年10月3日 しばらく間が空きましたけれど、9月に何をやっていたかは情報が公開されたら追々書くことにして、もう10月。試験製麦機(MMS)を使った実験を再開することにしました。丸1年のブランクから、ついに復帰です。 昨年9月に、製麦機を置いてある大学の食品開発センターの利用に料金がかかることになって、(製麦には全行程14日間くらいかけているので)「そんなに払えないんですけど…」と諦めていたもの。 でも今年7月に役所の方々と国産麦芽需要開拓ツアーをやった際に、通常

          1年ぶりに製麦を再開

          K100

          2022年8月29日 クラフトモルティング(工芸的製麦)も、もともとはその一環なのですが、モルティング(製麦)とは別に、「京都産原料100%ビールプロジェクト(略称K100)」という取り組みをこの3年ほど(その前身から数えたらもう9年ほど…)やっていて、紆余曲折を経て、ビールの主原料(麦芽、ホップ、酵母)のうちの酵母を地産化(京都で拡大培養する)する取り組みが、少しずつ実を結び始めています。 取組みの詳細はあちらに譲るとして、この日は「(おしゃれな若向きのお店だし)長居を

          1年ぶりに実験を再開

          2022年8月23日 ハケンから「正業」に復帰したこの5か月ほど、具体的に製麦施設を作ろうかという案件(思えば話を頂いたのは、自分で何とかしようとしたものを含めると5件目)にかまけていて、手を動かす実験はストップしていたのですが、7月の長野行きの際にヒントをもらったので、研究を再開することに。 まずは2020年収穫のはるか二条と、2022年収穫のゴールデンメロン、シュンライの発芽勢試験をして、はるか二条がまだ使えるかと、後2者の休眠状態をチェック。 結果は4 ml ge

          1年ぶりに実験を再開

          33年ぶりの来訪

          2022年8月17日 長野へ行ってから「出掛ける」ことを思い出し、しばらく前から注目している俳優さんの舞台があるというので、直前にチケットを取っていそいそと遠出をする。 芝居を観るのは3年ぶりで、いったいそうした日には何を着ていけばいいのか、自分がわからなくなっていることに気が付く。きっと多くの人がこの数年の間に経験した感覚だろう。 東京公演が感染状況を鑑みて全部中止になったそうで、期せずして舞台初日だし、ノゾエ征爾の笑いはトウのたった関西人にはなかなかに難しいところが

          33年ぶりの来訪

          プレオープン日に

          2022年8月17日 ちょうど神戸まで出かける日が海峡蒸溜所さんのビジターセンターのプレオープン日であることに気づいて、閉店間際に少しお邪魔しました。写真奥側のセンターには、「明石鯛」ブランドの日本酒やグッズが陳列されていて、もうすぐウィスキーも出されるとのこと。木をふんだんに使った天井の高い誂えで、試飲スペースでの飲み比べが楽しそう。 明石が「酒どころ」というイメージはなかったですが、酒造組合があって(三木にある1社を含む)5社が加盟。灘ほどの集積地にはならなかったもの

          プレオープン日に

          よろしく、note

          2022年8月14日 business suitesの迷路のような構造とか、「アクセスできます」と言われた次の瞬間に失われた、数年来書いてきたページの唯一の管理者権限とか、かのサイトのUIのセンスにもはや自分がついていけなくなったことを思い知り、こちらに会社用公式/非公式テキストを書き溜めていくことにしました。

          よろしく、note

          長野の醸造所の方々と

          2022年7月26日 この日は午後から、長野県の合同庁舎というところで、県下のブルワリーの皆さん、農水省の皆さん、国税庁の皆さんに交じって、国産麦芽(モルト)の利用について意見交換をさせて頂きました。 国からは、農水省の展開している補助事業の話、国税が推しているGI(産地呼称制度)や補助金の話。ブルワリーの皆さんからは、これまでの取り組みと、そこで感じた課題。こちらは米国事情などをお話ししました。 国税の方が、「長野はワインも日本酒もGIがあるんです!」と押して来られた

          長野の醸造所の方々と

          山の間ブルワリーさん

          2022年7月25日 もう何年もの間、一人で外で飲むことはなくなっていて、もはやどのツラ下げてビアパブに入ったらいいのか忘れてしまっていたのですが、旅先だし折角だからと予備知識なしでその場で検索して、宿泊先から近いところを探して伺ったのがこちら。 自動車部品のエンジニアの方が定年後にご夫婦で立ち上げられたとかで、お店のしつらえのクオリティの高さに驚く。ビールもバランスの取れたもので、アテも美味しく、こういうお店が近くにあったらなぁと心から思えるもの。 地元の方の作る野菜

          山の間ブルワリーさん

          長野へ

          2022年7月25日 翌日の会議に前乗りすることにしたのは、これまで蒸溜所を見たことがなかったので、途中にある、でもクルマでしか行けないところへ寄ってみようと思い立ったため。CO2を出しまくるのはいささか気が引けるんですが、ごめんなさい。 日本のウィスキーと言えば、竹鶴政孝の余市蒸溜所、鳥井信治郎の山崎蒸溜所が思い浮かびますが、このマルス信州蒸溜所 は、竹鶴政孝の最初の就職先の上司で、彼をスコットランドに送り込んだ岩井喜一郎が、彼の娘婿の実家(本坊酒造)で始めたウィスキ

          兵庫県の醸造所を訪ねました

          2022年7月13日 国産麦芽の利用について意見交換の機会を設けて頂けるということで、農水省の方々にお声がけいただいて、以前試験製麦したモルトを提供したことのある兵庫県の醸造所を2か所回りました。国産麦芽について、実需者の方々がどこを重視しておられるのかを直接伺えて、大変勉強になりました。深謝。 兵庫県では、JA兵庫南さんが「シュンライ」(長野農試 1992)という品種の六条大麦を麦茶用に生産しておられて、積極的に新しい用途を開拓しておられます。 これを麦芽に加工(製

          兵庫県の醸造所を訪ねました