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ウイスキーメッセ in Kyoto

2022年10月16日

今年になってようやく、日本のいわゆるクラフトウィスキーについても少しずつ勉強し始めたのですが、本格的に自社製麦を始めた蒸溜所が増えてきたこともあって、ご挨拶がてら見学に行きました。

前売りは完売だったのですが、現地で運よくその時間帯の当日券の最後の1枚を購入して入場。「京都で国産大麦の製麦について研究しています」と言ったら、雑誌で写真を拝見していたような有名どころの方々に何人もご紹介頂いて、持ちあわせていた名刺はあっさり払底。こりゃ、地ビール業界よりよほど製麦に「前のめり」だぞ!?と驚嘆。今後につながりそうなご案内も頂いたので、引き続きフォローしていきたいと思っています。

ウィスキーを特徴づけるものとしては、蒸溜所の名前や熟成年数、ピートの強さや熟成樽の種類などが主なものだと思いますが、モルティングをやっている身からすると、最近米国で行われているような、モルトを作る麦の品種による味わいの違いに興味があります。

メッセでは、亀田蒸溜所さんが「ゆきはな六条」という国産六条大麦(農研機構 2020)を使ったニューポットを出されていて、同じ造りをした英国産モルト(だったかな?)のものとは明らかに異なる味わいで感動。「これだ!」という気がしました。まだ定量的には明らかになっていないと思いますが、麦は、特に醸造用としての品種改良が進んでいないものほど品種によってタンパク質の組成や製麦した後の酵素の働きに「個性」があり、それが糖化後の糖組成、アミノ酸組成、脂肪酸組成の差を生み、発酵における酵母の反応の差を引き起こし、結果的に蒸溜後の香気成分が変わってくるのだろうと思います。

海外産だと、会場の隅でWestland distilleryというところが造ったクラフトモルトのウィスキーが出品されていてまた感動。

Colere editionというんだそうです
モルティングはSkagit Valley Malting
独創的なドラム式製麦機を開発したところですね

明らかに個性的なフレーバーがして、「シアトルの風土」を感じることができる(想像だけど)。麦を育てる農家や、麦芽を作るモルトスター(製麦業者)を通じて、蒸溜所だけでなく、その先にある土や水、麦の穂を撫でる風を感じることができるのは、ずいぶん魅力的なんじゃないか、と、ニッポンのモルトスターを目指す者としては思うわけです。