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記憶を辿る58

『 黒歴史 』

アメリカ話とは前後するが、私の黒歴史をもう一つ。
63話の最終でも書いたが役者のオーディションがそれだ。

昼職と夜の掛け持ちバイトをしていたリハビリ期間中、自身が考えるポジティブヒーローだった頃の思い出を、一つ一つなぞるように行動しており、それまでにはない事に挑戦し、知らない世界に飛び込むようにしていた。
運が良かったのか面接官の思い違いだったのか(笑)

既に後輩の何人かは東京のコミュニティを目掛けて上京しており、それらの家に転がり込むようにして土地勘のない私をアテンドしてもらった。渋谷に原宿、新宿といった一通りの都心を案内してもらい、当日も会場となるビル前まで送ってもらった記憶がある。

「 頑張ってください! 照れたらアカンすよ!! 」

とタレントを目指して上京した後輩に送り出され会場に入った。

決して大きな会場ではなく、事務所に併設された応接間を利用した会場では、既に何人かの男女が長テーブルに腰かけ、緊張した面持ちで始まりを待っていた。

重役から今日の趣旨と、合格した場合に出演する映画の内容、撮影日などの説明をされた。続いてアシスタントが参加者20人ほどに台本を配り、今から行うオーディション内容を説明した。

参加者でペアになり、芝居をしてくださいという話だった。
初めての経験に面喰らうしかなかったのはいうまでもない(笑)

ペアが組まれた時、相手の女性が京都人だという事が判明した。
こんな縁もあるんだと思い、標準語など話せそうもない私は、

「これ関西弁でやっても良いっすか? 」

と聞いた。
すると彼女は「 良いですよ 」と快諾してくれたので一安心。
標準語で書かれたセリフを関西弁に直して練習し始めた。

小一時間ぐらいだったのだろうか。
本番ですので2組づつ別室に来てくださいと案内される。

いよいよ本番かとペアになった方と意気揚々と「緊張してきたなぁ 」「 ほんまやねぇ 」などと言い合っていたのだが、この後に訪れる”心持ちの違い”に不合格は確実となり、項垂れて後輩の前に現れることになるのであった。


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