京都大学学術出版会

1989年創立、京都大学の教育研究活動を中心とする学術成果を、主に出版活動を通じて普及…

京都大学学術出版会

1989年創立、京都大学の教育研究活動を中心とする学術成果を、主に出版活動を通じて普及しています。国際的出版賞受賞作も含む継続的な英文出版による国際発信です。また、『西洋古典叢書』『学術選書』等多くの一般読者に親しまれているシリーズまで、幅広い出版活動を行っています。

マガジン

  • 京都大学学術出版会 月間ニュースまとめ

    京都大学学術出版会の新刊近刊案内、イベント情報、動画配信お知らせ、色々まとめて発信中!

  • 『歌川広重の声を聴く』【新人読書日記/毎日20頁を】

    新人読書日記シリーズ、5冊目です。

  • 『中国ジェンダー史研究入門』【新人読書日記/毎日20頁を】

    新人読書日記シリーズ、4冊目。

  • 『人間性はどこから来たか』【新人読書日記/毎日20頁を】

    新人読書日記シリーズ、3冊目。

  • 『ブッシュマンの民話』【新人読書日記/毎日20頁を】

    新人読書日記シリーズ、2冊目です。

最近の記事

南海トラフ地震|読んでおくべき防災本3選

昨日、気象庁が「南海トラフ地震臨時情報」を発表しました。約100~150年に一度の「南海トラフ巨大地震」が起きる確率が高まっています。 地震はなぜ起きるのか? 被害を最小限にするために必要な理解と備えとはどのようなものか。 地震・防災関連書を、3冊紹介します。 地震研究者らが過去に起きた大地震を分析、災害発生のメカニズムから防災対応までを論じています。 ① 『教育現場の防災読本』 「防災読本」出版委員会/中井 仁 監修 防災教育の必要性を認識しながら、体系的で継続的

    • 【2024年9月20日発売】ヴィア・ゴードン・チャイルド『ヨーロッパ文明の黎明』 近藤義郎・下垣仁志 訳

      『ヨーロッパ文明の黎明』 ヴィア・ゴードン・チャイルド/近藤義郎・下垣仁志 訳 「20世紀に最も影響力のあった考古学者のひとり」(*1)であり「20世紀最大の先史学者」(*2)と称される考古学者、ヴィア・ゴードン・チャイルド(Vere Gordon Childe 1892~1957)。死後70年近く経つ現在でも、その著作の翻訳や関連書は途絶えることなく刊行され、今も世界中で熱心に読まれ続けています。 『ヨーロッパ文明の黎明』(The Dawn of European C

      • 京都大学学術出版会 月間ニュース No.10 (2024年7月)

        いつもご愛読ありがとうございます。 2024年6月〜2024年7月の新刊、イベント情報をまとめてお届けします。どうぞよろしくお願いいたします。 ・新刊案内『喜劇全集 1』(西洋古典叢書) アリストパネス/戸部 順一 訳 『精神論』(近代社会思想コレクション) エルヴェシウス/森岡 邦泰・菅原 多喜夫 訳 『ヒト心あれば魚心:釣られた魚は忘れない』(新・動物記) 高橋 宏司 著​ 『情報空間と法:表現の自由の衝突とプライバシーの新たな諸相』 東川 玲 著 『惑

        • 【話題の新刊】『変動帯の文化地質学』 文化の基盤としての地質を視る

          本日は夏至ですね。夏至といえば、イングランド南部にあるストーン・ヘンジとのかかわりが有名です。巨石の方向が夏至の日の日の出の方向と一致することから、当日は大勢の人が集います。ヨーロッパの石文化を象徴するような光景ですが、実は日本でも知られざる石の記憶があるのです。 「木の文化」として語られることが多い日本ですが、「石」を通して見るとどんな文化が見えるでしょうか? 人と石の関わりは、石仏や城郭の石垣などのように素材としての利用にとどまりません。自然石を信仰対象とする「岩石信

        南海トラフ地震|読んでおくべき防災本3選

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        • 京都大学学術出版会 月間ニュースまとめ
          10本
        • 『歌川広重の声を聴く』【新人読書日記/毎日20頁を】
          14本
        • 『中国ジェンダー史研究入門』【新人読書日記/毎日20頁を】
          23本
        • 『人間性はどこから来たか』【新人読書日記/毎日20頁を】
          15本
        • 『ブッシュマンの民話』【新人読書日記/毎日20頁を】
          14本
        • 『人生の意味の心理学』【新人読書日記/毎日20頁を】
          14本

        記事

          【著作紹介】鳥類学者・山岸哲

          先週、佐渡北部の大佐渡エリアではじめてトキの放鳥が行われたというニュースがありましたが、国内ではトキ野生復帰にも関わって来られた山岸哲先生が、この春、京都地球環境の殿堂 第15回殿堂入り者になられました。殿堂入りの主要業績につながるマダガスカル島のアカオオハシモズ研究をはじめ、小会でのご著作を紹介します。 山岸 哲(やまぎし さとし) 昭和14(1939)年,長野県須坂市に生まれる。 信州大学教育学部卒業(京都大学理学博士)。大阪市立大学理学部教授,京都大学理学部教授,山階

          【著作紹介】鳥類学者・山岸哲

          京都大学学術出版会 月間ニュース No.9 (2024年6月)

          いつもご愛読ありがとうございます。 2024年5月〜6月の新刊、イベント情報をまとめてお届けします。どうぞよろしくお願いいたします。 ・新刊案内『学問で平和はつくれるか?』 京都大学大学院人間・環境学研究科 編 『物理学者と読む西洋社会思想と科学の歴史』 林 哲介 『民主政アテナイに殉ず:弁論家デモステネスの生涯』 木曽明子 ・増刷出来『科学論文の英語用法百科 第2編 冠詞用法』 『学術書を読む』 『先輩、研究ってどうやるんですか』 『レジリエンス人類史』

          京都大学学術出版会 月間ニュース No.9 (2024年6月)

          【完結】『生態人類学は挑む』——混迷する21世紀に、人類文化の深淵を辿りなおす

          いつもご愛読いただきありがとうございます。 『生態人類学は挑む』シリーズは刊行開始より3年を経て、今年の春、無事完結を迎えました。読者の皆様、編者および著者の皆様に心より感謝申し上げます。 ◉『生態人類学は挑む』シリーズ概要 近代以降の枠組みでは捉えきれない社会へと飛び込み、あらゆる知見を駆使して多様性の根源に迫る……その最新の成果を伝える16巻シリーズ。多彩な研究者たちが一堂に会し、横断的アプローチ6巻(SESSION)と、民族誌10巻(MONOGRAPH)を刊行。文明

          【完結】『生態人類学は挑む』——混迷する21世紀に、人類文化の深淵を辿りなおす

          栄養学も乗り越える、ヒトの適応する力を探る

          「食べ物はサツマイモばっかなのに、体はムキムキだ」と、パプアニューギニア高地人の「筋骨隆々」がSNSで話題になっています。この研究内容について梅崎昌裕先生により書かれた『微生物との共生』です。去年発刊時の編集者からのコメントを再投稿します。  禅寺の日常の食事は非常に質素ながら、修行を積むお坊さんたちはあの細い体でとても体力があるといいます。常住坐臥、修行に勤しむ生活がその体力を養うのでしょうけれど、お粥や沢庵など、おそらく俗世のわれわれはそれだけではヘロヘロになってしまう

          栄養学も乗り越える、ヒトの適応する力を探る

          京都大学学術出版会 月間ニュース No.7 (2024年4月)

          いつもご愛読ありがとうございます。 2024年3月〜4月の新刊、イベント情報をまとめてお届けします。どうぞよろしくお願いいたします。 ・概要新刊8冊、近刊4冊をご案内いたします。動画は2本更新しました。 ・新刊案内『春秋戦国時代の青銅器と鏡』 『海を越える水産知』 『語りの場からの学問創成』 『レジリエンスは動詞である』 『三蘇蜀学の研究』 『ローマ帝国を生きるギリシア都市』 『田辺 元』 『医師の「献身」』 ・近刊予告『民主政アテナイに殉ず』(学術選書)

          京都大学学術出版会 月間ニュース No.7 (2024年4月)

          大学新入生のあなたへ

          この1ヶ月間、新入生は合格発表や入学式を経て、 4月8日から本格的に京都大学での学びがスタートしました。 これを機に京都大学学術出版会より、京大の6人の先生に、学部学生を対象に、学生時代に読んでおくべきと思う本、最近読んで(読み直して)学生にすすめたいと思った本などを教えていただきました。専門にこだわらず、新旧をとわず、広く「読書」という視点から、先生の推し本を紹介させていただきます。 ⚪︎推しメッセージ: 京都大学理学部の元教授であり、世界的に著名な研究者である著者が、

          大学新入生のあなたへ

          京都大学学術出版会 月間ニュース No.6 (2024年3月)

          いつもご愛読ありがとうございます。 2024年2月〜3月の新刊、イベント情報をまとめてお届けします。どうぞよろしくお願いいたします。 ・概要新刊10冊、近刊8冊をご案内いたします。動画は2本更新しました。 ・新刊案内『アエタ 灰の中の未来:大噴火と創造的復興の写真民族誌』 『アンチ・ドムス:熱帯雨林のマルチスピーシーズ歴史生態学』 『INDIGENOUS PEOPLES AND FORESTS』 『哲學研究 第六百十一號』 『作田啓一 生成の社会学』 『変動帯の

          京都大学学術出版会 月間ニュース No.6 (2024年3月)

          浮世絵VS.写真【新人読書日記/毎日20頁を】(80)

          『歌川広重の声を聴く』、読了です。 スマホのシャッターを押すだけで、誰でもいつでも好きな景色を保存することができる時代において、人々が風景に託した思いは、江戸時代とどんなふうに変わったのでしょう。名所を宣伝するための浮世絵には、そのものに取り上げた場所の風景に気づいてほしい情熱と、風景から独立した芸術の美が含まれているからこそ、鑑賞する趣があります。絵師の「目」と「技」を通じて風景の「美」を知るより、今の私たちは自分の「目」と「技」で「美」を発見し、データ化することが日常に

          浮世絵VS.写真【新人読書日記/毎日20頁を】(80)

          名所江戸百景【新人読書日記/毎日20頁を】(79)

          『歌川広重の声を聴く』、241〜260頁、読了です。 最終章で、著者は広重がほぼ同じ時期に描いたもう一冊の名所案内記、「名所江戸百景」を「絵本江戸土産」と対照しています。「百景」は鮮やかな錦絵なので、「土産」より摺り色にもっとこだわりがあるわけです。たくさんの挿絵を堪能することができて、見ていてとても楽しいです。「百景」では多用される近像型構図が目立ちます。馬の足からの構図などを見ると、写真家エリオット・アーウィットの撮った写真が思い浮かびます。もしかしたらアーウィットも広

          名所江戸百景【新人読書日記/毎日20頁を】(79)

          日常風景から美を見出す【新人読書日記/毎日20頁を】(78)

          『歌川広重の声を聴く』、221〜240頁、読了です。 著者にならって、「絵本江戸土産」に広重個人の風景観の「呟き」に耳を澄ましてみましょう。雪化粧をした「深川木場」、白と青のシンプルな色の配置で、身近な日常生活に潜んでいる美を描き出しています。「赤坂桐畑永田馬場山王社」に付けられた紹介文では、人々が見慣れた景色の美しさを称することがあまりないことに対して、広重は「遺憾」の意を表しています。 高校の頃、映画監督アッバス・キアロスタミの詩集を読んだことがあります。詩人としての

          日常風景から美を見出す【新人読書日記/毎日20頁を】(78)

          「賑わい」の風景【新人読書日記/毎日20頁を】(77)

          風邪で一週間ダウンしていました。季節の変わり目に皆さんもぜひお体に気をつけてお過ごしください。 『歌川広重の声を聴く』、201〜220頁、読了です。 四季それぞれの美を持つ江戸から望む山、川と森、そして、賑やかな江戸の街。広告看板が林立する商店街の絵から、当時の街の活気ある声が聞こえてくるような気がします。「王子料理屋河部の宴席」という絵の中に描かれている、料理屋で食事を楽しんでいる客と、川の流れに足を浸して遊んでいる人々を見ると、現在の鴨川沿いの料理屋さんが目に浮かびま

          「賑わい」の風景【新人読書日記/毎日20頁を】(77)

          200年咲き続ける花菖蒲【新人読書日記/毎日20頁を】(76)

          『歌川広重の声を聴く』、181〜200頁、読了です。 「遊観するに良い場所」の節で、今でもよく知られている名所の「堀切の花菖蒲」が取り上げられています。著者の解説によると、絵に添えられている言葉で、広重は次のように菖蒲園をアピールしているそうです。 この文を読んで、頭の中に艶やかな菖蒲園が浮かんできます。ところが、挿絵では、色の表現として、黒と白の菖蒲しか見えないのです。なるほど、つまり、絵で省略した部分を言葉で補完するという宣伝戦略ですね。

          200年咲き続ける花菖蒲【新人読書日記/毎日20頁を】(76)