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女子高生退魔師 夏芽 ~第一章 支倉~
嚆矢駅を中心とした、繁華街・歓楽街・オフィス街などで形成される副都心の一つ、葛木街の中心部からやや東に位置するオフィス街を、紺のスーツに身を包みグレーのカバンを持ったサラリーマン風の男が歩いている。
男は退社直前に上司に言われた急な残業を終え、やや足早に家路についているところだった。
不気味なほど紅く輝く満月が照らす中、彼は翌日に使う会議の資料を完成させた高揚感に満たされ、これから自身の身
女子高生退魔師 夏芽~第三章 鬼頭家の過去~
↓ 前回のお話はこちら
葛木街から車で二時間弱ほど進んだ山の奥に、鬼頭家の本家が住んでいた家が建っている。
純和風家屋も所々破壊されたあとが見受けられ、かつて起こった事件の凄惨さを感じさせる。
屋根の一部には大きな穴がいくつも開き、壁も崩れている場所がいくつかあった。
また苔や蔦などが絡み付いた壁もある。
「凄いね」
この凄惨な現状には不釣り合いな格好をした少女と一匹の動物が屋敷を歩いていた