きょろぽっぽ

2021/12/23、急性骨髄性白血病と診断。 再発を経てドナーさんよ骨髄移植を受け、…

きょろぽっぽ

2021/12/23、急性骨髄性白血病と診断。 再発を経てドナーさんよ骨髄移植を受け、現在は通院治療。 noteは、Twitterでは描ききれない特に闘病記録を、詩やエッセイで残したいと思い登録。 旅行やランニング好き。 その事も書きたい。 人生は病気だけじゃないからさ!

最近の記事

ビビンバ

 7月の3連休の半ば。  空は青空が広がり、という書き出しだと爽やかな感じになるが実際はまだ梅雨明けしてないからだろう、灰色の雲が空一面に広がっていて、いつ雨が降り出してもおかしくない雰囲気を漂わせている。でもそのわりに、いや、だからかな、夏の声を聴く一歩手前まで来ているから仕方ないとは言え、蒸し蒸ししている。きっと、青空が広がっていればこの熱はどこかへ逃げて行ってくれるのだろうが、空を覆う雲が蓋の役割をしているから熱が逃げることなく自然の蒸し器のようなになっている。そのため

    • セカンドバースデー~骨髄移植から1年~

      “なんか、いつになくよく寝たなぁ~。”  目を擦りながら時計を見たら、まだ5時半。 ブラインドの隙間から光が差し込んで来る。そして、その隙間から朝の光に優しく包まれた青い空が見える。聞こえる音は小鳥の鳴き声とお寺の鐘の音だけ。まだぼんやりしている頭は心地良い雰囲気に包まれている。  職場に本格的に復帰して2か月ちょっと。まだ体力が以前の様に戻らないため、居候先に帰ると疲れてしまい動けなくなってしまう。そして午後9時頃には寝てしまう毎日を過ごしている。そんな毎日なので、目が覚

      • ぼくの心を満たすものは?⑧

         最近、X(Twitter)上で本を読もう、とか、出版業界を元気にしようというポスト(ツイート)を見かける。あと、このnote上では読者を増やすために、とか、売れるためには、というような投稿を見かける。  僕の周りでも昔ながらの本屋さんが閉店していたり、本の販売スペースが狭くなったりしているお店もある。  本屋さんて以外と「思い出の出発点」だったり、思い出そのものだったりするんですよね。  旅行に行く時に僕の場合、他の方もそうだと思うが、ガイド本を買ったりしないだろうか。イ

        • ぼくの心を満たすものは?⑦

          「あっ、おいしいなぁ。あ~おちつくぅ~。」 舌に味が染みわたる。そして身体に安心感と幸福感が広がっていく。  今日食べているのは「味噌ぶたもつ煮込み定食」。一口食べた後、箸が止まらない。メインの煮込み以外に副菜も5品ついている。それにご飯とみそ汁。  最近、一人でいる時には外食してしまう事が多い。身体が疲れやすいのもあるが量もあまり食べないので、一人分作るのも手間かな、て感じ。ただ行くお店がマンネリ化してきて外食も飽きていたので久しぶりにネットで検索。すると時々通る道の脇に

          ぼくの心を満たすものは?⑥

           今では飲んでいないが、白血病を患う前は結構お酒が好きだった。ただ、自分でもお酒が「好き」という表現が最近特に違和感を感じる。そうだなあ、お酒に「逃げる」という表現まで行くと少し違う気もするが、この言葉もお酒を飲んでいた頃を振り返ると含まれているように思う。  ほんと、お酒って不思議だなあ、ていつも思いながら飲んでいた事もよくあった。作り方、作る場所、作る人でこんなにたくさんの種類のお酒がこの世に存在する。それにその場を楽しい雰囲気にしてくれる。たまには女性に振られてやけ酒

          ぼくの心を満たすものは?⑥

          ぼくの心を満たすものは?⑤

           どんな人間でも人を心配する気持ちは一緒かな。  今日妻が盲腸の手術をした。時間にして1時間半欠けるくらいで終わった。  周りに盲腸の手術をした事のある人もたくさんいるし、僕も昔胆嚢結石で腹腔鏡手術をした事があるから、余程の事が無ければ1時間か少し過ぎるくらいで終わるかな、と思っていた。心配は全身麻酔で行うという事なのでちゃんと目が覚めるかどうか、てとこだった。それも手術後の説明後しばらくして妻に会い、起きていたので安心した。  まあそれはともかく、ここまでの来るまでに正

          ぼくの心を満たすものは?⑤

          ぼくの心を満たすものは?④

           ふと振り返った時、自分の直観というのは信じたほうがいいのかな、と思った。  今の職場に就職が決まって―もう数十年前の話になるけど―、採用通知の封筒を開け、実際にその通知を見た時に「人生の墓場だな」と思った。周りのみんなは喜んでくれた。それに僕も採用されるために、試験のための勉強や面接対策に論文対策も頑張った。  だけど、実際に採用通知を見て思ったのはこれ。  なんでだろう、本当はもっと嬉しいはずなのに、少しも嬉しくなかった。  就職してからも“何でここに僕はいるんだろう

          ぼくの心を満たすものは?④

          ぼくの心を満たすものは?③

           仕事に復帰してからそろそろ2か月が経とうとしている。といっても最初の1か月は慣らし復帰のため半日勤務だったのでフル勤務での復帰となるとまだ1か月経っていないが。  1日フルで職場にいるようになり、もちろん職場でお昼も過ごすことになるが、お昼休みに毎日職員通用口から出て目の前に広がる山を見ている。気分転換に見ていると思われるかもしれない。  僕の場合は気分転換もあるが本当の理由は「生きてまたこの景色が見られるなんてな」という思い。  急性骨髄性白血病の再発を告げられた後入院ま

          ぼくの心を満たすものは?③

          ぼくの心を満たすものは?②

           骨髄移植からそろそろ1年経とうとしているけど、前回記した腰から足の指にかけての痺れ以外にもう一つ、もう治らないというか、クセのようになってしまった症状がある。それが「器質化肺炎」。  通常骨髄移植の後に免疫反応として出る症状を移植前に教えてもらった。  一つ目は食道が移植された骨髄の免疫に攻撃されてしまい下痢症状が続くという事。水みたいな下痢が1リットルくらい出るらしい。  二つ目は皮膚症状で身体中に発疹が出るとの事。  三つ目は口の中が口内炎だらけになる。  この三つを

          ぼくの心を満たすものは?②

          ぼくの心を満たすものは?①

           休日のショッピングセンター。  色とりどりの店舗が並ぶショーケースを横目に、通路にあるソファに腰かける。腰かけるというより何とかたどり着いた、て感じかな。 昨年退院した頃に比べればだいぶ歩けるようになったけど、まだ足の筋肉が戻らない。少し歩くと辛くなる。足がもつれそうになる。もう骨髄移植から10か月経つのに。  骨髄移植の説明を受けた時に、免疫反応や移植日の前に行われる移植前処置の影響で身体が動かなくなる事の説明は聞いた。また僕も個人的に国立がん研究センターが以前行ってい

          ぼくの心を満たすものは?①

          休日の朝(きょろぽっぽのパーツ集から)

           最近は4時半ごろ目が覚めてしまう。体力がないのか、それとも昨年の入院の時のクセなのか分からないが。  ただ久しぶりに今朝は6時半頃まで寝ていた。夜なかなか寝付けなかったのもあるが。今週の仕事の疲れと寝付けなかったせいのダルさが身体から抜けていないが、それでも僕の周りの雰囲気はいつもの朝となんら変わらない。  最近は朝日が昇るのも早くなってきたのだろう、今から何か月か前はまだ暗かったのに今ではすでに落ち着き始めた日差しが寝ている部屋を穏やかに包み、窓から見える空は澄んで薄い青

          休日の朝(きょろぽっぽのパーツ集から)

          生きている喜び、動ける喜び

           僕は今幸せだ、生きて今を感じられるから。  今はまだ、体力が戻らず足の力もだいぶ弱いが歩くことは出来る。景色を見るにしても窓枠で切り取られた限られた範囲の景色ではなく、360度全方位の景色を見る事が出来る。それに視覚のみではなく、その時降り注ぐ太陽の光を感じ、海から吹いて来る風を感じ、そして海の匂いを感じる事も出来る。そう、身体全体で景色を感じる事が出来る。そうして景色を見ていると肩の力が抜けて、自分の周りに真っ暗な壁を感じる事なくフラットな気持ちでその場の事を感じる事がで

          生きている喜び、動ける喜び

          薄紅色の天の川

          くらやみのなか 光に照らされた 薄紅の花びら達 それが無数に広がり どこまでも続いてる その壮大な光景は 宇宙に煌めく星のようにも見え その元を歩く人々は 不安や恐怖 そんな気持ちは このときばかり 宇宙(そら)の闇夜に混ざり合い 夜空に浮かぶ薄紅色の天の川 その先に見える宇宙(そら)に向けて 星に想いを馳せるように 花びら一枚一枚に 想いを一つ一つのせていき 宇宙(そら)に想いを解き放つ

          薄紅色の天の川

          祝福

          長かった 本当長かった 北かぜにさらされて 時に冷たい雨にうちつけられ わずかな温もりを感じる日差し 冷たい中にも温もりを感じる綿雪に こころ踊らせながらも 身は凍えていた そんな少しの温もりしかない きびしい季節を過ごした今 頭上に広がる 薄紅色の花びらたちが目に映る きびしい季節を終えたこと しずかに祝福するように 足元に 薄紅色の花びらたちは 舞い降りている そして 舞い降りた花びらたちが無数に広がり 薄紅色のじゅうたんを作り 道行く人のこころに 春の彩りを添えて

          耐えた季節のその後に

          夜が明けたら予報は雨 だからなのかな 今はとてもしずかな夜 昨晩のつよい風は 春にむけて色づきはじめた桜並木に おそいかかっていた でもながいふゆを耐えて 満開の桜並木 目指す桜たちには そんな苦難は関係なかった きっと 夜があけて 雨がふりだしても関係ないだろう だって これから先の どんな苦難がおとずれようと それをはね返すだけの そんな季節を耐えてきた だから 今はただ 耐えた季節の疲れをいやし えがおで焦らず 余裕をただよわせながら きたる季節を楽しむのみ そ

          耐えた季節のその後に

          さぁ動き出そう

          夜の風も止み 明け方を迎える 夜の風がうそのように そらはしらじらしく 何もなかったようにあけていく 静かに幕があがるように これからどんな劇がはじまるか そんな少しの期待と 静かにつよくなる日差しに こころを落ち着かせ 穏やかな気持ちで 今日一日の始まりを 今日もまたむかえている きのうまでのふあんのあらしも 明け方をむかえると そのうちよき思い出になるのかな よき経験として このからだに根付き 今日そして明日の力に変わってく さぁ今日も起きよう そして動き出そう

          さぁ動き出そう