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休日の朝(きょろぽっぽのパーツ集から)

 最近は4時半ごろ目が覚めてしまう。体力がないのか、それとも昨年の入院の時のクセなのか分からないが。
 ただ久しぶりに今朝は6時半頃まで寝ていた。夜なかなか寝付けなかったのもあるが。今週の仕事の疲れと寝付けなかったせいのダルさが身体から抜けていないが、それでも僕の周りの雰囲気はいつもの朝となんら変わらない。
 最近は朝日が昇るのも早くなってきたのだろう、今から何か月か前はまだ暗かったのに今ではすでに落ち着き始めた日差しが寝ている部屋を穏やかに包み、窓から見える空は澄んで薄い青色がどこまでも高く、そしてどこまでも果てしなく広がっている。
 そんな空の下、周りの雰囲気もいつもの朝では徐々に動き始めている音や空気の流れが、まだ動き始める気配を見せない。全てがゆっくり進み、そしていつも以上に穏やかに流れているこの時間。こんな時に邪な気持ちは自己嫌悪に陥ってしまうので、なにか考える位ならあえて何も考えないでいた方が、この朝の雰囲気を楽しむ事が出来る。

“たまには朝から外食もいいかな”
 そんな気持ちの赴くまま、久しぶりにファミレスのモーニングに来ようと思った。
 早速着替えて必要な物を鞄に詰めて、車に乗り出発。
 通勤で毎日通る道も今日は休日という事もあり車の数もだいぶ少ない。もちろん朝から通勤サーキットのように車を飛ばす人もいない。朝の穏やかな雰囲気にみなが合わせるかのように、制限速度の範囲内でゆったりと車は流れている。いつもより余裕があるせいだろうか、目線にはいつも以上に道路両脇にただずむ新緑という言葉をそろそろ終えようかとしている銀杏の並木たちが目に映る。ただこの並木たちもいつも以上に穏やかに見せるのはやはり休日のせいだろうか、先を急ぐ人の気持ちが今この場には存在しないため、それを反映しているのだろう。
 こんな雰囲気の中車の運転をしていると、いつも車の中で気持ちの拠り所として聞いている好きな音楽も、朝のこの雰囲気を壊してしまう。音楽を消して窓を開けて、少し冷たい空気に当たりながら車を走らせるのが心地よく感じる。BGMは車が空気を切る音と今この瞬間に流れている社会をわずかに動かしている音、そして小鳥や緑が発する声のみ。

 そんな周りに包まれながらお店に到着。
 店内に入り席に案内される。
 最近ではコロナの影響だろうか、スタッフにオーダーするシステムではなくタブレット端末やQRコードをスマホに読み込んでオーダーする方式が主流のようだ。いつまであれば人の温かさがここでも失われていると思うが、休日の身体も心も休めたい時などはこの方式が逆に心地良い。わがままなものだ、僕は。
 席に備え付けられているタブレットで料理を注文。
 10分くらいで運ばれてきた。
 ご飯とみそ汁、焼き鮭と焼き海苔、そして納豆。もう家でも食べられそうな和の定食。他にもスクランブルエッグやパンケーキなどのセットもあったが、最近ではこんな食事が落ち着いて食べられる。それに美味しい。それにいつもの朝食と違うこの雰囲気。朝から少なからず聞きなれた声以外が聞こえてくるが、耳障りになるものではない。ほんと全てが今この時に存在する空間を作り出し、そしてこの瞬間でしか感じる事が出来ない。
 人の味覚なんて、時にはなんていい加減なんだろうと思う。
 いつも食べているご飯もみそ汁も焼き鮭や焼き海苔、そして納豆もいつも以上に美味しいというより落ち着いた味、心を穏やかにしてくれる。こんな時にいつも思う、大事なのは環境だという事を。そして環境も料理の味の大事なスパイスだという事を。
 ゆっくり食べたいと思ったが、すぐに完食。やはり美味しかったのだ、この雰囲気のスパイスが足されたご飯は。
 そしてドリンクバーからホットコーヒーを持って来て一口含んでみる。身体の緊張感が解れていく。そして窓の外に目を向けると、まだ来た時と変わらない車の流れ。ただ太陽が上がって来たせいだろうか、だいぶ日差しは強く感じる。

 そんな中、パソコンを広げてこれを書いている。
 いつもであれば、必ず入院中苦しかった事を書くのに今日はほとんど触れていない。
 そんな事を思いながら時間を見たら、そろそろ出発する時間だ。そう今日は大切な用事が一つだけある。この用事をすっぽかしたら妻に怒られてしまう、しかもいつも温厚な妻に。

 さて、動いてみようかな。
 その前にこれもたまにはnoteに投稿してしてみようかな。こんな何気ない休日の朝に実はいくつもの奇跡と偶然、そして平和が詰まっているのだから。

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