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【エッセイ】暗闇にて

長崎旅行2泊目の今日はなかなかよく動いた。晩御飯の後、森とプロジェクションマッピングのコラボレーション「ISLAND LUMINA(アイランドルミナ)」へ。

自然の中に映像を映し出し、ライトアップによって神秘的な雰囲気を醸し出していた。多分、何も手を施していなければただの森。自分からは入ろうとも思わない。どこにでもあり、本来なら人を寄せ付けない森をこんなふうにエンターテイメントに変えて地域活性化につなげているのは単純にすごいと思う。

ライトアップされているが、当たり前に森の中は暗い。もし子どもの頃の私だったら、緊張しつつも張り切りながら進んでいっただろうなと思った。

ディズニーランドのシンデレラ城で行われていたミステリーツアーが大好きだった。暗がりの中をどんどん進んで、最後はドラゴンか何かをやっつけるというもの。今思えば、一歩入ると外観とは全く違うミステリアスな感じだった。ストーリーテラー兼案内役が先導して、ラスボスのいる所まで辿り着く。

作ったもの、人の手が加わったものとわかっているのに、息をのんでハラハラしながら進んでいった。一言も発さないけど気合十分で、ツアーを満喫していた。

久々に暗闇のエンターテイメントを体験したが、ハラハラ感はない。よくできた映像だな、うまいこと自然を活用しているなと、冷静な感想しか出てこない。

何よりも感動したのは、こんな遅い時間までスタッフの方々が働いていることだ。

こちらは22:00最終受付、終わるのは23:00。山の中にあって、ここ自体もだが、あたりも真っ暗で家に帰るにも山道は暗く、うねうね道の運転は緊張を伴う。私たちは送迎バスで帰ったが、スタッフの方々は自ら車で行き来しているのだろうか。それとも、スタッフ用バスがあるのか。帰り道が心配になる。私なら怖くて働けない。そもそも運転できない。全てをひっくるめて、尊敬の念を抱いた。

そんなことをあれこれ考えている自分にハッとした。

いつからこんな現実的な感想しか出なくなったんだ。つまらない大人になってしまったな。こうやって人は、夢心地という感覚を忘れていくのかもしれない。

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