子どものスマホトラブル、通学団指導・・・これって教員がやること?
皆さん、日々のお仕事、お疲れ様です!
初めましての方は、記事を開いてくださりありがとうございます。
いつも見ていただいている方、励みにさせてもらっています!
共育LIBRARYというブログを運営しているりょーやん、元教師です。
日本はかつては、地域のみんなで子どもたちを教育していこうという風土がありました。
例え自分の子どもではなくても、悪いことをしていたら叱る。時にはお菓子を渡したり、一緒に遊んだり・・・と周囲に顔見知りが多くいて、たくさんの大人たちに見守ってもらえる雰囲気であったはずです。
教師の仕事は、そのような時代に合わせて設計されました。だから、地域と密接に関わるような仕事もこなしていましたし、地域の人たちからも慕われて、お互いをリスペクトし合い、心の充足感があったのです。
だからこそ、授業という教師の本分とは少し違う、人間教育といった部分の仕事に熱い気持ちをもって取り組むことができたのだと思います。
対して現代。教師は尊敬される存在ではなくなりました。地域のつながりは薄れ、家庭は個の存在となり、学校は地域のクレーム対処の場所となっています。
親切心をもって本分以外の仕事を行えば、より過剰な要求をされたり、クレームを入れられたりすることが日常茶飯事になっている現状です。
この状況であれば、若い教師を中心に「なぜこんな誰からも感謝されない余分な仕事をするのか」という声があがってしまうのも当然だと思います。
そこで今回は、古きよき日本から受け継がれてきた「これは教師の仕事なのか」と思えてしまう業務を元教師の視点から解説していきたいと思います。
この記事を読めば、これからの日本の学校教育はどう変化していくのかを考察する、1つの材料が手に入るのではないかと思います。是非、最後までご覧ください。
揺れている日本の公教育
公教育が時代の過渡期となり、これまで当たり前とされてきた制度が「本当に必要なのか」検討され始めています。
この記事では、以下の4つについて詳しく見ていきます。
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❶通学団指導
❷スマホトラブル
❸不登校支援
❹宿題
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❶通学団指導
最も疑問の声があがっているのが「通学団」の仕事でしょう。
筆者の地域では、安全に登校するために、通学の班が決まっており、住所が近い子ども同士で並んで登校するという制度があります。
5~6年生の高学年が中心となり、下級生を安全に学校に連れていくのです。
通学団指導とは、この通学の班を管理する仕事のことをいいます。
各先生に担当の通学団・班が割り当てられており、その班でトラブルがあったときは、担当の先生を中心に問題解決を図ることになります。
ここで、もし、
・トラブルを起こしやすいメンバーが集まっている班
・複数の上級生が見ていないと走り回ってしまう1年生
などの班だった場合はどうなるのでしょうか。
子どもたちで制御できなかった場合は、担当者の先生が朝に通学団の様子を見に行き、指導するということが起こります。
筆者の地域では、教員の勤務開始は8時15分です。対して、朝に通学団の指導に行くには、7時45分ごろに現地いなければいけません。
よって、学校に7時30分に来なければならない日が発生するようになります。それも場合によっては頻繁に、です。
ただでさえ、8時15分勤務なのに、8時には子どもが登校しているという謎の勤務形態をもつ登校システム。
現在の部活動改革が一区切りすれば、次はこの通学団の問題がクローズアップされるのではないかと思っています。
❷スマホトラブル
学校外で起こったトラブルは、基本的に教員が行う仕事の管轄ではありません。
しかし、喧嘩したままの雰囲気を教室にまで持ち込むようになれば、他の子どもも険悪な雰囲気になってしまうため、授業や学校生活に支障をきたすようであれば、教師は介入していきます。
喧嘩の仲裁程度だったらよいのですが、最も困るのがSNSトラブルです。
これは、5・6年生であれば、毎年1件は必ず起こるといってもよいトラブルです。
要するに、「LINEで悪口を言われた」や「私だけLINEのグループに入っていない」というような内容です。
中には、グループLINEが2こあり、1個は仲良し5人メンバーが入っているのに、もう1個はその中から1人抜いた4人メンバーで構成し、抜いた1人の悪口を言うといった事例も発生します。
とにかく対処が面倒なのがグループLINEです。このトラブルが特に多いのが女子です。
正直、小学生の発達段階でグループLINEを扱うのは無理があります。大人でさえ不快な思いをする人がいるのに、11歳、12歳では制御ができなくて当たり前です。
この仲違いを修復するには、本当に時間が掛かりますし、一歩間違えると、さらに溝が深まってしまうので、非常に気を遣う案件となります。
話を聞くために、休み時間や授業時間を使って、何度も事情聴取を行い、学年で話し合い、子どもたちを集めて話をする必要があります。
これは、どう考えても学校の管轄外の仕事です。しかし放置しておくと、学校内でいじめに発展しかねない問題となるので、対処することが必然となります。
このような問題が起こり得るため、入学説明会等で、「スマホを安易に持たせないこと」「SNSのトラブルは学校は責任をもたないこと」を事前に伝えている学校もあります。
しかし、現在は、親同士のつながりが薄いので、子どもがグループLINEでつながっていても、親同士はつながっていないという状況が発生し、家庭間で解決できない状況が生まれます。だからこそ、学校に電話がかかってくるのです。
1番よいのは、スマホを許可したとしても、親子共用にすることです。もしくは、リビングに置いておき、パスコードも共有し、いつでも親がメッセージの内容を見てよいという条件の元、使用させることです。
そして、親が定期的にチェックします。その状況下なら、滅多な内容を発信することはできませんし、複数グループがあっておかしなことが起こっていたら、真っ先に親が気付くでしょう。
流石にこれらの問題を教員が対処するのは、お門違いなので、上記のようなスマホルールを当たり前とするように、家庭と学校で共有しなければと思います。
❸不登校支援
不登校支援は、学級の子どもの支援なのですから、立派な先生の仕事です。
そして、大切なクラスのメンバーのための仕事ですので、何かしらアクションを起こしている先生ばかりです。
ただ、かつてに比べ、不登校児へのアプローチはどんどん消極的になり、縮小傾向にあると感じています。
不登校児のレベルによりますが、基本的に、学校に来ない場合は、家庭訪問することが優先度の高いアプローチになります。
その頻度は、本人の状況や、担任との相性によりますが、できるだけ高い方が、効果を発揮しやすいとも言えます。
かつては、熱心な先生であれば、夕方に家庭訪問し、許可がもらえれば、その子に勉強を教えたり、一緒にゲームをして他愛のない話をしたりしていたものです。
筆者の尊敬している、20人以上の不登校児を復活させてきた中学校教師は、100日連続で家庭訪問を行うそうです。
朝の勤務前に家庭訪問、授業後に家庭訪問。やり方はそれぞれですが、頻度が高ければ高いほど教員の負担は大きくなります。
しかも若手の教員であれば、保護者とのやりとりの経験値が少ないので、教務主任や学年主任が同行する場合も多いです。
そうなると、ただでさえ忙しい教員の時間を頻繁に割くことになります。それも、自分だけでなく主任を巻き込んで、です。
そうなると、不登校児への登校刺激支援が敬遠されてしまう、もしくは電話だけという形で縮小されてしまうことは仕方のないことなのかもしれません。
現在は、不登校支援センター、家庭支援専門相談員など、頼ることのできる社会サービスがあります。そのような力を借りながら、学校の教員もできる範囲で関わりながら、支援していくのが理想的だと思います。
公教育だけではなく、様々な特色をもった学校が増え、選択できるようになることも、不登校児を減らす1つの道となるでしょう。
❹宿題
働き方改革が進むにつれて、宿題が少しずつ簡素化されている傾向が発生しています。
筆者が最後に勤めていた学校は、市の中で働き方改革の最前線を走っていると言われている学校だったので、とにかく、これまでの仕事をバッサリとなくしてしまっていました。
その1つが宿題指導です。
教師が子どもの課題を評価したり、チェックしたりするのは、授業に関するものに限定しているのが本来の仕事です。
宿題は家庭教育に入ります。しかし、学校が出している課題なので、境界線が難しいものなのです。
そんな中、勤務していた学校は、宿題は教員がスタンプを押すだけとしていました。
出した課題も丸付けまでして提出させる。そのスタンプを押すことが教師の仕事。これならば、宿題を確認する時間が5分~10分で済みます。
20代の頃は、日記を毎日書かせ、それに対してコメントを全員に書いていたので、宿題チェックに1時間ぐらいの時間を要していました。
それに比べて、スタンプを押すだけという形式。筆者も当初は「意味あるの?」と思っていましたが、子育てで大変なママさん先生が助かっている姿を見ると、「このような形もあり得るのか」と思うようになりました。
宿題がしっかり出されれば、子どもの力が付くかもしれないが、教師の負担は増える。
宿題を出さなければ、教師の仕事は減るが、家庭間での格差は広がっていく。
難しいテーマですが、今後、宿題が増えていくということはないと思います。寂しいですが、上手な「落としどころ」を見つけていくことになるのではないでしょうか。
まとめ
働き方改革が日本中で進んでいる中、学校だけに限らず、「ブラック」な労働環境が粛清されていく流れになってきました。
この流れは2030年~2040年までにはある程度完成し、日本のあらゆる企業や学校、公共事業などがホワイト化すると、ある専門家は分析しています。
となると、学校の「ブラック」な業務も少しずつ淘汰されていくでしょう。
学校現場は本当に忙しく、職員室にいる先生たちも、常に動き回って、時間との戦いで必死に仕事をしている状況です。
何らかの家庭の事情があれば、必然性の薄い仕事を頼むのも申し訳ないし、気軽に「助けて」と言いづらい雰囲気があります。
そんな中、「子どものため」「地域のため」と言って新たな仕事を考えたとしても、誰からも褒められることはありません。むしろ非難されます。
そう考えると、今までのことを全て学校に要求し続けることは、いつか無理がたたるでしょう。
ただ、その変化が起こるとしても徐々に、時間をかけて行っていくと思うので、日本のこれからの公教育がどうなっていくか、アンテナを張って見ていきたいところです。
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