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【今日の短歌】新緑とレトロモダンなその駅は 時計も微笑む つばめアパート

六甲ケーブルの六甲山上駅は、昭和7年開業。古さを感じさせない、レトロでかわいい駅舎です。

その天井に今、数世帯のつばめ家族が巣を作っています。駅員さんが据え付けたであろう木製の巣台。その上に作られた巣が、あちらにも、こちらにも。きっと駅員さんは毎年、ツバメの滞在を心待ちにしているのでしょう。フンのお掃除、ご苦労さまです。

おや。お客たちのざわめきをすり抜けて、賑やかなヒナのさえずりが聴こえてきました。親はせっせとえさを運びます。「もっとちょうだい!」ヒナは一層はげしくせがみます。

つばめの存在に気づいたお客たちは皆、一様におしゃべりをやめ、天井を見上げます。
しばしの静寂に、時間も止まり…。ヒナのさえずりと、初夏の風だけが、駅舎内を通り抜けていきます。

ヒナのおなかは満たされて、ようやく静かになりました。お客は何ごともなかったかのように、またおしゃべりを始めます。ヒナの成長を見守るあの時計だけが、ふふ、と笑ったのでした。

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