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(無料公開中)<第79回> 転職活動は、たくさん応募するのと、1社ずつ着実に進めるの、どちらが良いですか?

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こんにちは、安斎響市です。


今日いただいた質問は、

はじめまして。質問失礼致します。
新卒の就活以来の転職なのですが、転職活動も気になるところは応募して何社も面接を受けるという形の方が良いのでしょうか?
それとも1社ずつ着実に進めた方がよろしいのでしょうか?

 というものです。

※この週刊連載:安斎響市の「転職相談室」(毎週土曜日更新)は、マシュマロというツールで募集した匿名の質問に対して、安斎響市が、徹底的に真面目に答えていくという企画です。

かなり込み入った質問や、人生相談のような投稿も多く、Twitterで140文字だけの回答だと私の意見を説明しきれないため、毎週1問、このnote記事で徹底解説していきます。

質問の投稿は、こちらから



こういった話は、すでに書籍などにも書いていますが…


1社ずつ、着実に進めた方が良いです。間違いないです。


もちろん、ある程度はその人自身の転職活動の進め方や、転職の目的にもよるのですが、ほとんどの場合、同時に5社・10社と応募するより、1社ずつ受けて、丁寧に面接対策をした方が良いと私は考えます。

早く内定が欲しいから、たくさん受けた方がいいのでは… という気持ちは分かりますが、実際には、逆です。

たくさん同時に受ければ受けるほど、内定は遠ざかっていきます。


なぜか?



理由は、主に以下の3つほどです。

  • 転職活動は、「準備」でほぼ決まるから

  • 転職活動の「軸」がブレるから

  • 選考の途中で「迷い」が発生するから


一つずつ、説明していきましょう・


理由① 転職活動は、「準備」でほぼ決まるから


はっきり言って、理由の8割はこれです。

転職活動の勝敗は、どのくらい事前に「準備」をできるかで決まってしまいます。


私が語る転職ノウハウの根幹となっているのも、「準備」です。

転職活動の準備を丁寧に丁寧にした人だけが、勝利を手に入れることができます。これは、絶対に間違いないです。

詳しく知りたい方は、下記のnote記事や、書籍を読んでください。



「いやいや、俺は準備なんて何もしてないけど、内定もらえたけどねぇ」みたいなことを言う人がたまにいますが、単なるバカです。頭が悪いです。

一切準備しないで入れる会社なんて、入ってはいけません。

それは、誰にでも内定を出すブラック企業か、もしくは、自分の実力よりも格下のショボい会社です。そんなレベルの会社で満足してはダメです。あまりにも勿体ないです。


自分が念入りに準備して、準備して、めちゃくちゃ準備して、やっとギリ入れるくらいの「高嶺の花」を果敢に狙っていかない限り、転職でキャリアアップなんて絶対にできません。


適当に入れそうな会社に入るなら、誰でもできます。

そんなの、自分にとって何のプラスにもなりません。



だから、自分にとって「格上」の会社に入るために、準備が必要なんです。それが、転職で自分の人生を切り拓くための必勝法です。


この意味で、同時にたくさんの会社に応募するのは、明らかに悪手です。

同時に受ければ受けるほど、「準備」のための時間が分散されていきます。これでは、とても内定はもらえません。


転職活動の結果は、ほぼ「準備」次第で決まってしまいます。だからこそ、その「準備」のための時間は、1社だけに全部注ぎ込まないといけません。




理由② 転職活動の「軸」がブレるから


続いての理由。

多くの場合、同時に何社も受けると、転職活動の「軸」がブレます。


転職活動の「軸」とは、自分の本音としての転職動機ではなく、面接で語るべき「軸」です。

  • 自分は過去にどんな会社でどんな仕事をしてきたのか?

  • その経験を、次の会社でどのように活かせるのか?

  • 5年後・10年後にどんな人材になりたいのか?

  • その方向性と、転職先の会社の特性は合致しているのか?

などといった、自分の過去と未来をつなぐ「ストーリー」があるからこそ、転職は成功します。


これは、本音ではなくても構いません。

1社1社、テーラーメイドで丁寧に作り上げるものです。そう簡単に、自分の100%本心の希望に合致する会社なんて見つからないので、志望動機が自然と心の中から生まれることなんて、ありません。

その1社のことだけを考えて、丁寧に、かつ意図的に作るのが大前提です。


応募した企業が、「運命的に出会った唯一無二の会社」なわけがないですからね。当たり前です。志望動機や転職の軸は、恣意的に上手に作らないとダメです。

志望動機は、その会社1社のためだけに文章を紡ぐ、ラブレターのようなものです。同じ文章を別の人に送ってはいけないし、定型文を複数の人にバラまいても失敗するだけです。


そして、よほどの嘘つき・ペテン師でもない限り、この作業を同時に複数の会社向けにやるのは難しいです。

よほど極悪な人じゃない限り、恋人がいるのに浮気をして、二股・三股・四股なんてしても、すぐにバレてしまいますよね。ほとんどの人は、そんなに「表向きの自分」を切り替えて嘘をつくのが上手くはありません。


その会社のためだけの志望動機を作り、転職のストーリーを作り、その会社のことを徹底的に調べ、その会社の未来に自分がどう貢献できるかを語り… なんてことを同時に複数の会社に対して実行するのは、相当無理があります。


ほとんどの場合、強いストーリーが作れなくなるとか、志望理由が定まらないとか、「軸」がブレる結果になり、面接にも落ちると思います。



理由③ 選考の途中で「迷い」が発生するから


そして、もう一つ。

選考の途中で「迷い」が生じてしまう、というのも結構なマイナスポイントです。


転職活動って、面接のスケジュール調整も結構大変だし、最終面接が終わった後に長期間待たされたりすることもあるので、同じ時期に複数の会社から内定が出るということは、ほとんどあり得ません。

例えば、「誰でも簡単に面接1回で内定がもらえる会社」を複数受けている、とかじゃないと、そうそう起こりません。


書面で内定通知書をもらった後、ほとんどの会社は1週間以内などの短期間に「入社承諾」の返事をするように要求してきます。

1週間後などの「期限」までに返事ができなければ、内定辞退と見なされる場合が多いです。


企業側も、採用活動においては、絶対にあなたじゃなきゃいけない理由なんて無いので、あなたが断るなら別の選考途中の人に内定を出すだけの話です。あなたが内定を承諾しないのなら、それはそれで仕方がないです。

絶対に何としてでもこの人には入社してほしい、なんて思われている人は、かなり稀です。



その意味で、複数の会社を同時に受けている場合、

A社は内定が出たが、B社はこれから最終面接。しかし、いま返事をしないとA社の内定はなくなってしまう…… いや、でもB社の方が環境は良いし給料も高そう…… でも、それはB社の内定オファーを見るまでは確証はないし、そもそも最終面接通るかも分からないし、やはり、A社の内定を承諾しておいた方が………

などと、延々と悩む結果になってしまいます。


新卒の就活みたいに、ほぼ同じ時期に内定が出て、「内定式」や「入社日」がどの会社も同じ日程で決まっていて、という話なら良いのですが、中途採用では、内定までのスケジュールも、入社日をいつにするかも、相手企業との交渉次第でバラバラなので、なかなか、複数の会社の内定をキープして、どちらに入社するかをじっくり考えるというわけには行きません。



A社の内定が出たら、選考途中のB社への入社はキッパリあきらめる。


もしくは、

B社に入社できる可能性を捨てたくないので、A社の内定はせっかくもらったけれど辞退する(最悪、共倒れになるリスクも受け入れる)。

といった覚悟が必要になります。



この「覚悟」や「悩み」は、同時に複数の会社を受けていなければ発生しないものです。つまり、無駄な覚悟であり、不必要な悩みです。


本当に本心から絶対に入りたい会社、1社だけを受けて、その企業の選考が終わるまでは1社のために全力を尽くす、落ちたら再度ゼロベースで考え直す、という方がいくらか現実的です。



同時に「複数の会社」に応募するメリット


ここで、あえて、同時に「複数の会社」に応募するメリットについても触れておきます。

簡単に言うと、「交渉材料になる」ことです。


「実は、同時に、競合のあの会社も受けているんです」「最終的に、待遇などを考慮してどちらに入社するか決めようと思っています」などと、好待遇を引き出すためのレバーとして利用する、ということです。

私は、実際これをやったおかげで、32歳のときの4回目の転職では、年収が現職+600万円以上上がりました。信じられないほどの良いオファーでした。


詳しくは、先日発売したばかりの面接対策本に書いています。


このように、同時に「複数の会社」に応募するのには、一部メリットもあります。

しかし、この記事で書いてきたようなデメリットも多いので、相当な転職上級者になるまでは、同時に複数の会社を受けるのはオススメしませんし、受けるとしても、ドンピシャの同時ではなく、少し時期をずらしたほうが良いと思います。


片方は最終面接でもう内定目前というタイミング、一方で、もう一社はまだ書類選考を通過しただけで一次面接を受ける前、という段階で、あえて他社の名前を出して「あっちも受けてるんですけどね」などと交渉材料にする、という高等テクニックです。

ぶっちゃけ、ズルいんですけど(笑)、転職活動は正攻法ばかりでは勝てないですし、企業側も散々ズルい手を使ってくるので、こちらも相応のカウンターは用意しないといけません。



おわりに


以上、転職活動は、たくさん応募するのと、1社ずつ着実に進めるの、どちらが良いですか? という質問に対する答えでした。

1社ずつ着実に進める方が良いです。

絶対に間違いないです。


新卒の就活しか経験していない人は、「たくさん応募しないといけない」と思いがちです。また、転職エージェントの多くは「書類選考の通過率は3割未満なので、たくさん出した方が良いです」などと煽ってくるので、数で勝負しないと!と、不安になったりもします。

しかし、そういった思考は、自分のためになりません。


転職活動においては、マグレ内定はほぼあり得ないですし、数撃てば当たるということもありません。

じっくりターゲットを定め、一直線に狙って、確実に仕留める
という方法でしか、転職はなかなか成功しません。

少なくとも、同じ週に2社、3社の面接を入れるなどは絶対に避けた方が良いです。共倒れになる可能性が高いです。


焦らず、心に余裕を持ちつつ、応募企業は徹底的に絞り込んで、1社ずつ、地道に攻めていきましょう。それが一番、内定への近道になります。


以上、お相手は、安斎響市でした。



転職攻略noteや書籍も、よろしくお願いいたします!!


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