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No.10 - 凡人のキャリア戦略 ~狭くて鋭い「武器」こそが、キャリアを開花させる~


こんにちは、安斎響市です。


先日、Twitterでチラっと見かけたツイートに、

世間一般的に言う「稼げる職業」って、高学歴じゃないと無理だったり、未経験だと敷居が高かったりして、現実的に就くことは難しい。
「営業職」は未経験でも誰でもなれるし、自分次第で年収1,000万稼げる、チャンスに溢れた仕事だ。

みたいなのがありました。



なんか、ちょっと違和感を持ちました。


「営業職」には、チャンスがある??


確かに、「営業」は、どんな業界のどんな会社にもある職種ですし、常に募集しています。


例えば、Indeedで「営業」と検索をかけると、実に27万件もの求人がヒットします。


一方、私の職種「商品企画」で検索しても、3,500件くらいしかヒットしません。

日本全国で募集中の「営業」の求人は、「商品企画」の77倍くらいの数があります。



確かに、「商品企画」の仕事に就くより、「営業」の仕事に就く方がハードルはかなり低そうです。

そして、「営業」でも人によってはかなりの高年収を得られる、というのは事実です。


私の仲の良い友人で、外資系家電メーカーの営業をやっている人は年収1,500万円以上稼いでいるらしいですし、別の友人で、IT業界スタートアップの法人営業をやっている人は年収2,000万円を軽く超えています。


「営業職」の市場価値は高い?



しかし……

営業職には、大きなチャンスがある?

本当にそうでしょうか?



そういえば、以前、話をした出版社の編集者の方も、「営業職はどこに行っても通用する、市場価値の高い仕事ではないか?」 と言っていました。

「市場価値を高めるなら、無形商材の法人営業が一番の近道だ!」と言い切っている転職エージェントさえいるくらいです。


営業職は、市場価値が高い?
営業職は、転職市場で有利?

本当にそうでしょうか?



私は、ちがうと思います。

そもそも、「営業職にはチャンスがある」「ITエンジニアは市場価値が高い」「マーケティングは食いっぱぐれがない」といった、「特定の人気職種」で人材の価値を語る考え方自体、かなり怪しいのではないかと思います。


なぜかと言えば、「営業」「ITエンジニア」「マーケティング」といった、いかにも価値が高そうに見える職種って、いずれも王道だからです。


あまりにも「王道」過ぎるからです。


王道を狙っても、ほとんどの人は勝てません。

勝ちたければ、できるだけニッチなところを狙って、狭くて鋭い「武器」を手に入れる必要があります。

もう少し説明しましょう。


「王道」で勝てるのは、よほどの実力者だけ


「営業」「ITエンジニア」「マーケティング」は、いずれも王道だと書きました。


「営業職」は、敷居が低く、未経験でも就きやすい仕事ですし、需要は無限にあります。営業は、どこの会社でも常に募集しています。

「ITエンジニア」は、もう随分前から「稼げる仕事」として注目されており、プログラミングスクールなどスキル習得の場もたくさんあります。IT業界は成長を続けており、魅力的な職場だと言えるのかもしれません。

「マーケティング」は、営業と同じくどの業界・どの会社にもある仕事ですし、長年の人気職種です。マーケティング講座やマーケティング関連の書籍はいくらでも見つかりますし、勉強もしやすそうです。


ただ……

これらの職種を目指しても、「どこに行っても通用する人材」「高年収を稼ぐ人材」になるのは、ちょっと厳しいような気がします。


「王道」で勝負して成功するのは、ほんの一部の「実力者」だけです。

いかにも価値が高そうな「王道」だからこそ、その世界でトップ層に食い込むためには、相当な才能と努力が必要です。

「競争が激しい」と言い替えてもいいです。

「スキルが陳腐化している」という言い方もできます。



営業を例にとって、説明しましょう。

「営業職」になるだけなら、恐らく簡単です。先ほどの通り、ちょっとネット検索すれば、求人は27万件あります。どこかの業界のどこかの会社の営業になるのは、難しいことではありません。


しかし、どうすれば、「営業職」として稼げるようになるのか。

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