見出し画像

想いのリーダーシップか、知識のリーダーシップか。

何らかの形でその大小を問わず、チームやプロジェクトをリードしなければいけない場面に遭遇したことのある方は多いと思います。

そう言った時に、リーダーシップを発揮しなければいけないと思っても、なかなか難しいと思います。

私自身、仕事をしている中で、様々な形でリーダーシップを発揮する人に出会ってきました。
それを振り返ってみて、ある分類ができると気づきましたので、本日はそれをシェアさせていただきます。

想いで牽引するか、知識で牽引するか。

リーダーシップの定義はいろいろあると思いますが、本稿ではそれを「メンバーへの伝え方」で分けてみます。

まず一つ目が「想いを伝えるタイプ」です。

メンバーに対し、伝えるのは自分の想いです。例えば、
・なぜこのプロジェクトは重要なのか。
・このプロジェクトによって実現したいことは何か。
・このプロジェクトによって、関係者がどのようになると思っているか。
・このプロジェクトにおいて、メンバーにどのような期待をしているか。
といったことを自分の言葉で伝えていきます

この思いを伝えるときに重要なことは、自分の想いでありながら、自分本位ではなく、メンバーに対するメッセージが含まれているということです。

プロジェクトによって、メンバーが所属する関係部署がどのようになると思っているのか。仕事が楽になったり、より成果の出やすい環境になったり、競争力が上がることで安定してビジネスが確保できるようになったり。
メンバーが自分事としてイメージしやすいことを伝えます

そうすると、メンバーが自ら課題を具体化して進めてくれるようになります。与えられたビジョンではなく、リーダーのビジョンに共感して自ら考えるようになるからです。

そもそも共感してもらう想いであったり、ビジョンを伝える必要があるのは当然ですが、それはそれで難しいことです。
しかし、一方で、共感してもらうためには「相手の立場に対する自分の想い」を伝えることが第一歩になります。
これができていないと共感に至ることはあり得ないと考えています。その意味で、自走してもらうための入り口は自分の想いだと考えます。

そして、想いベースでチームをマネジメントできると、リーダー自身の負荷も下がります。この後述べるような、知識ベースのマネジメントだと、リーダーにおんぶに抱っこになりますから、リーダーの負荷が大きくなります。
しかし、メンバーが共感して自走してくれれば、リーダーの負荷も下がりますし、各分野が得意な人がその役割を果たせば最終的にアウトプットが最大化されると考えています。


もう一つのタイプが「知識を伝えるタイプ」です。

メンバーに対し伝えるのは知識であり、方法です。例えば、
・このプロジェクトは役員が~~という会議で宣言したものです
・このプロジェクトは利益を~%増やすためのものです
・このプロジェクトではまず~~のデータが必要です
・~~のデータを~~のように整理してください
といった、極めて具体的かつ、主体性のない知識を伝えます。

これは、プロジェクトメンバー不在の説明です。
プロジェクトメンバーがどう思うかは関係なく、リーダーが自分で必要だと思う作業を説明しているだけです。

こうすると、メンバーは自走できません。知識はすべてリーダーの頭の中にあり、それをベースに指示が飛んできますが、メンバーがリーダーより知識が少なければ、それに対抗することはできません

そうすると、すべてリーダー次第という状況が作られますから、メンバーはただただリーダーの指示に従うだけです。

私が今まで仕事をした中では、このような知識ベースのリーダーが非常に多かったです。そして、このようなリーダーがなぜこうなるのか、経験上3つに分けられます。

①自分自身がそもそも作業ベースでしか上司から指示を受けておらず、そのプロジェクトに対する想いがない
②自分はそのプロジェクトに想いを持っているが、伝え方がわからない
③常にメンバーより知識が多い状況を作り、自分が指示をすることで、自分がプロジェクトを支配している構図を作りたい

①と②は単純に実力が無いということでしょう。リーダーに必要な人間性やスキルがないということだと思います。それなりにいますが…

そして最近意外と多いと思うのが③です。
自分のポジションを守りたいために、あえて自分が支配している構図を作るタイプです。このようなリーダーは情報を展開することはせず、常にリーダーは常にメンバーより知識や情報量が多い状況を維持します。

そうすると、リーダーの指示が無ければメンバーは動けませんから、自分が指示をするという構図は守られます。このようなリーダーはメンバーが自走するのを嫌います。

このようなリーダーは自分が指示しなければプロジェクトが進みませんから、仕事量が多くなりがちです。とんでもない深夜にも指示メールが飛んできますし、土日も然りです。

とはいえ、このようなリーダーは自分で好き好んで仕事を増やしているのですから自業自得だとしましょう(残業代が発生しない前提で)。
問題なのは、こういったリーダーは知識や情報を増やすために、やたらと会議に顔を出すのを好みますから、昼間は席にいないことが多くなることです。そうすると、メンバーはこのリーダーに指示を仰ぐため、遅くまで残業して待ちぼうけを食らうということがあります。

これは残業代という意味で経営を圧迫しますし、メンバーのワークライフバランス上も無駄に会社にいる時間を長くしますから適切とは言えません。

そして何より、リーダーの指示の範囲でしか仕事をしませんから、リーダーの実力以上の結果が出ることがないということが問題です。

このようなリーダーは、自分が指示をして動かしたことを「自分の存在価値」として自己評価しがちですが、ある個人がいないと出ない成果は本当の意味でのその組織の成果とは言えません。

このようなリーダーは、得てして発信力が強いものです。強引に関係部署を動かしていく、ということもままありました。しかし、関係部署を納得させず、腹落ちさせず無理やり動かすだけでは、組織力は上がりません

短期的に一定の成果が出たとしても長続きしません。
長続きしないような、組織力が上がらないようなマネジメントは組織にとっては悪であると言えると考えています。

業績が厳しいと、短期的な成果を求めて強引なマネジメントをするリーダーを重用することもあるかと思います。
会社の状況によってはやむを得ないでしょうが、それは短期的なものとして、中長期的に組織力を上げるマネジメントができるリーダーを育て、活かすことのできる組織になっていかねば生き残れないと思います。

私の会社生活では後者のリーダーに多く遭遇しました。
しかし、今後は変わっていかねばいけないと思います。
強引なリーダーの下で働いた人は強引なリーダーになりがちですが、そうならないよう、私は中間管理職という立場で、部下やメンバーに想いを伝えていきたいと思っています。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?