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あなたの「ゴマすり」で救える人がいることを意識しよう。

私はいわゆる中間管理職です。
私のチームにはメンバーがいますし、私には直属の上司もいればその上には組織長や役員がいます。
いわゆるピラミッド型組織になっています。

そんな組織において、中間管理職は何をすべきか。
今回は、「ゴマすり」が中間管理職の付加価値の一つである、ということをお伝えしたいと思います。

1.中間管理職のミッションは何だろうか。

私は中間管理職として、チームを預けられています。
そして、チームとして達成すべきミッションがあるわけです。

組織によってミッションは様々でしょう。
決められたことを粛々とこなす、という組織もあると思います。
こういったところでは、「上司には口を出してほしくない」と思っていることも少なくないでしょう。

しかし、です。
何かトラブルが起こったときはどうでしょうか。

そのトラブルの内容によっては、社外や組織外との調整が必要になったり、今後の対応を決定していかねばいけないことがあります。

つまり、チーム内では解決できないことも出てくるのです。

中間管理職は、「チームのミッション」を完遂するために、その時々で起こっていることを「チーム内でできること」「チーム外にお願いしなければいけないこと」の層別をして、スムーズに業務を前に進めること。
そして、その貢献をしっかり認めてもらって評価を得ることが重要なミッションです。

整理すると、
(1)チーム内でできることを着実に進める
(2)チーム内でできないことの支援を取りに行く
(3)チームの出した成果を評価してもらう
の3つになります。

これらを達成するための上司とのかかわり方について考えてみましょう。

2.上司の力を使わねばいけないときがある。

では中間管理職の役割を果たす、と考えたときに上司とどう関わるべきでしょうか。

先ほど述べた中間管理職のミッション。
(1)チーム内でできることを着実に進める
(2)チーム内でできないことの支援を取りに行く
(3)チームの出した成果を評価してもらう

これらのうち(1)チーム内でできることを着実に進めるは中間管理職で完結することに近いと思います。

上司との関りという目線では、
(2)チーム内でできないことの支援を取りに行く
(3)チームの出した成果を評価してもらう
の二つに着目したいと思います。

やはり、会社ではポジションに応じて権力や情報が集まるのが実態であり、そこをどのように使っていくか、ということがポイントになります。

3.チーム外への発信力と権限を使う。

仕事をしていると、チーム外の支援が必要になったり、お願いをすることが多くなります。
特に、新しいチャレンジをしようとすると、どうしても既存の組織の枠組みでは完結せず、それを飛び越えることも増えていきます。

直接他のチームに相談を持って行って支援を得られる組織は理想的ですが、なかなかそうはいかないということも多いでしょう。

各チームにミッションがあって、それを達成するためにリソースをぎりぎりで回していたり、そもそも不足していることもあるでしょう。
そういったところに追加の仕事をお願いするのはそれなりの責任が伴います。

そうすると中間管理職のような実務マネジャー同士で腹決めするのは難しいのです。仮にほかのチームのマネジャーの理解を得られたところで、追加で仕事を進める権限は無かったりします。

そうなるとレベルを上げて、もう一段上の管理職に交渉をしてもらう必要が出てくるのです。

そこで、「よし分かった!俺が隣の部長に話してくるわ!」と言って一肌脱いでくれるリーダーなら何の問題もありません。
なかなかそんなリーダーがいないのが現実で、実際は
「俺は忙しいんだよ」とか
「俺にそんなこと言わせるの?」とか
「うまくやっておいてよ」とか
「本当にそれ必要なの?」
いう人もいるわけです。

こういう上司だと「うるせえなあ」って思っちゃう気持ちもあります。
でもそこをぐっとこらえて、どうするかというと「おだてましょう」ということになります。

私の上司Aさんは自分は偉いと思っているタイプなので、そこをくすぐりに行きます。
「隣のB部長に対してモノをいえるのはAさんしかいないんです」
「私は~と思うのですが、実務的で目線が低いと思うので、Aさんの目線でうまく言い換えていただくこともお願いしたいんです」
「課題形成はすんでいますので資料は私が用意します」

と言って下手に出ておだてまくります。

まあ、相手によるのですが、私の上司Aさんの場合は、
「そうだね~ここは僕のレベルが出ていく場面だねえ」とか
「僕でよければいくらでも担ぎ出してくれれば喋るからね~」とか

言ってくれます。

会議に連れ出してしまえばよく喋る人なのでそこからは進みやすくなります。

ただ、B部長に押し込みっぱなしになるといけませんので、会議後にB部長とそのチームの中間マネジャーのところに個別に会いにいって、
「さっきはお願いばかりですみません、よろしくお願いします、一緒に進めさせてください」
と一言言います。
そこでAさんに対する愚痴や不満が出ることもありますが、そのガス抜きは私が引き受けることにしています。

どちらにしても、組織として然るべき人が会話して決定した、という事実は残りますから、結果として動きやすくなるのです。

4.チームがやるべきことを引き出す。

チームには当然ミッションがあります。
そしてそのミッションの根拠は組織や会社が成果を出すために設定されます。

もちろん中間管理職としては、その目的を理解してチームの業務に落とし込んでいるつもりですし、それが仕事です。

とはいえ、それが外れることもあり得るわけです。
ルーティン業務であったり、計画が確定しており、大きな変化点の生まれない業務なら粛々とやっていれば問題ないでしょう。

しかし、事業を立て直したり、方針を議論するような場面では、まさに正解は無く、日々PDCAが回っています。
朝令暮改というと言葉が悪いですが、高速PDCAで見直されていると思えば常に方針が修正されたり変わることがあるのは理解できると思います。

ただし、このPDCA"プロセス"が共有されないとまずいです。
つねに実務を巻き込んで議論されればいいのですが、役員に近いメンバーだけで議論している密室スタイルだと全く情報が下りてこないわけです。

中間管理職が知っている範囲の情報で業務を進めると結果的にそれが方針と合っていないことが起こりえます。
そうすると手戻りになります。

手戻りになると、時間というリソースを無駄にしますし、頑張ってくれたメンバーの不満もたまります。そして、下手をすると「このチームは無駄な仕事をしている」というマイナス評価が付くことすらあります。良いことは一つもありません。

そこで、役員に近い上司から情報を引き出すことが重要になるわけです。

私は「上司との1on1」を重視しています。

情報を展開してこない上司には2パターンあります。
一つ目は「方針を具体的に理解できず、どう説明していいかわからない」パターン。
二つ目は「自分が情報を持っているという事実で自分のプレゼンス・権力を維持できると思っている」パターン。

上司との1on1は両方に効きます。

5.叩き台を出して情報を引き出す。

一つ目のパターンである「方針を具体的に理解できず、どう説明していいかわからない」上司の場合。

こちらは上司の持っている情報を中間管理職が持っている現場の状況とすり合わせるようにしましょう。

中間管理職は部下という前提の1on1ですから、あくまで中間管理職から話しましょう。注意なのは、「役員方針を教えて下さい、私は何をすればいいですか?」と聞いてはいけません。
だって上司は咀嚼できていないんですから。
ではどうするか。

自分のチームのやっていることを話しましょう。
ただし、具体的な作業や数字だけではなく、「目的」を話すことが大事です。
どういうことかというと、

「いまの方針は~だと思っているので、~~をしています」と言うことで
・今の方針の理解
・それを達成するための具体的な手段

の二つを話すのです。

これを聞いた上司は二つのことができます。
一つ目は
「方針の違いを指摘することができる」
です。
これは上司が聞いたことをそのまま言えばいいわけですからそんなに難易度高くありません。ここで最新の方針を聞き出せます。

二つ目は
「その場で具体策の提案を聞くことができる」
です。
方針の咀嚼ができず、具体的な指示ができなくて困っている上司にとって、その場で現在のアクションを聞けるというのは格好の叩き台になるわけです。
中間管理職は方針の違いを聞いて「ではこういうように軌道修正しましょうか」といった提案をしましょう。その案の良し悪しは問題ではありません。

大事なのは「中間管理職が提案する」という構図に持っていくことで上司はそれにコメントすればいいだけ、指摘すればいいだけになるということ。
これで上司の心理的ハードルはぐっと下がります。

とにかく情報を引き出して、やることをその場で決める。これができればOkです。

6.上司に頭を下げて情報を取る。

二つ目は「自分が情報を持っているという事実で自分のプレゼンス・権力を維持できると思っている」パターン。

これはタチが悪いようで簡単です。
「頭を下げて情報をもらえばいい」んです。

このような上司は、「僕はポジションが高いから役員に近いし、頼られているから何でも知っている」と思っています。

こういう上司には下手に出るしかありません。
ただし、難しいのは、グループのミーティングなど、人数がいるところで「情報を教えてください」と言うと、グループメンバーが「そうだそうだ情報出してくれないと困る~」と同調することがあり、そうすると「情報を出していない上司が悪い」と下から刺している雰囲気になりかねないということです。

そうすると上司は「これは出せない情報だ」とか「部長以上しか知っちゃいけないんだ」とか言って結局出してくれません。自分を正当化したいために、出していないのが当然だ、って言いたくなっちゃうんですね。

そこで1on1の場面を使うのがおすすめです。
ここであれば上司にお願いしている、という構図は維持できます。
そうしたら「君には特別だよ」みたいに情報を出してくれます。
とにかく上司が気持ちよく情報を出せる環境を作ることです

7.プライド<チームメンバー<自分の成し遂げたいこと

それってゴマすりでしょ?そこまで上司に気を遣ってプライドは無いのか?
と言いたくなりますよね。
私もそう思うときがないわけではないですし、言われたこともあります。

でも、自分は何のために仕事をしているのか?何を達成したいのかと考えてみると、上司に頭下げたりおだてることなんて大したことじゃないって思えるようになりました。

私はチームメンバーが能力を発揮して、評価されるようにしたい。
そして、仕事を、世の中を変えたい。新しいものを見たい。そう思っています。

そのために意地を張っている場合ではありません。
自分が成し遂げるべきことに必要ならばいろいろなキャラクターになることも必要と思えるようになりました。

まあ、こちらの計算通りに上司が気持ちよくなってたり、情報が出てきた時の達成感もそれなりにありますしね(笑)

中間管理職は奥深い仕事です。戦略性やコミュニケーション、様々なものが鍛えられます。日々成長、頑張っていこうと思います。

読んでいただきありがとうございました!




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