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企画書は「前段」がカナメ


✓プレゼンは「提案する」ことではない
✓「計画書」を読み上げることでもない
✓「アイデア」を披露することでもない


商品開発について提案する、ブランドの再構築について提案する、マーケティングプランを提案する、プロモーション施策を提案する。私たちのような企画、制作、コンサルティングの仕事には、常にプレゼンテーションというプロセスがあります。

そうした仕事以外でも、社内、社外、様々なプレゼンテーションの機会があると思います。

こちらのnoteでは、そうしたプレゼンテーションにおいて、気をつけたい「前段」づくりをシェアしたいと思います。

”前段がカナメ”と言いつつ、内容は8ページで完結するシンプルな構成です。その組み立て方を3ステップでご紹介します。


ステップ(1)

1. 相手の事業課題を明確にする。
2. その課題を放置した場合、どうしたリスクがあるか、どうした損失が発
 生しえるか、具体的に提示する。

まずは課題設定です。相手が1と2をしっかり認識できるよう与件を組み立て、課題意識(または危機感)を共有します。

冒頭でこれをしっかりやり、「では、どうすればよいのか?」課題解決モードにスイッチを入れることができれば、聞き手の集中力が高まります。

もし帰ろうとしたら止められるくらいの、プレゼンテーションはそうした「場づくり」から始めるという意識が大切です。

そして「提案(proposal)」ではなく「提言(suggestion)」を積み上げていきます。このマインドセットは大切で、「ご提案差し上げる」という上下関係ではなく、課題解決に一緒に取り組んでいく、プレゼンテーションではそうしたスタンスを意識するといいと思います。
プレゼンは「提案する」ことではない


ステップ(2)

次に基本戦略です。人により使うフレームワークは異なると思いますが、私は「STP分析」をベースに組み立てることが多いです。

3. 市場(Segmentation)
4. ポジショニング(Positioning)
5. ターゲット(Targeting)

市場を見渡しながら、テーマである商品やサービスが持つ特徴、市場の中で光る「強み」にアタリをつけます。また競合を見渡しながら、どういった部分に訴求のポイントをおいてるかを調べます。

そこから、どういった差別化が可能か、いくつかの選択肢から取るべき「ポジション」が浮かび上がってきます。ポジションが明確になれば、そのポジションと親和性の高い「ユーザー像」も浮かび上がってきます。

商品やサービスの「強み」を起点に、マーケティングのシナリオを描くことで、戦略の輪郭がはっきりしてきます。
→「計画書」を読み上げることでもない


ステップ(3)

前段の締め括りは方向性です。ここでは徹底的なユーザー視点が重要になります。「自分がそのターゲットなら・・・」と、ユーザーの身になって考えます。これは案外と簡単で、イチ生活者として考えれば良いだけです。

6. ブランドコンセプト
7.ブランドのトーン&マナー
8.ブランドのコミュニケーション戦略

まず、ユーザーが共感できるコンセプトを立てます。ブランドコンセプトについては、以下の記事を書いますので、よろしければご参照ください。

ブランドのトーン&マナーはまさにユーザーが好みそうな世界観をベンチマークにすればいいでしょう。そして、ユーザーと効果的に関係を生み出すことのできるチャネルを設定します。店頭やイベント、またはSNSや映像プラットフォームなど。

前段としては、ユーザーにどういった態度変容を生み出したいのか、目標を定めることがゴールになります。


まとめ

以上8枚で企画書の前段は完成です。マーケティングプランであれば、ここから具体的な施策案に、またウェブサイトのリニューアルであれば具体的なデザイン案などに続いていきます。

いきなり施策案やデザイン案をプレゼンテーションすることは少ないと思いますが、「前段」のシナリオがしっかりしていないと、結局思いつきアイデアの羅列にしか見えず、狙いの定まったプレゼンテーションになりません。
→「アイデア」を披露することでもない


1. 課題
2. 課題解決の方向性
3. 市場と自社の強み
4. 取るべき差別化戦略
5. ターゲットイメージ
6. ブランドコンセプト(≒プロジェクトの旗印)
7. トーン&マナー
8. 顧客接点と顧客体験シナリオ


「前段」をまとめ始める際は、まず3を見渡し4を固める。逆引き的に1と2のシナリオを描く。5以降は必然的に選択肢は絞られていきます。

今回は以上となります。企画書をつくる際に、何かしらお役立ていただければ幸いです。


[筆者プロフィール]
川内 祥克 Yoshikatsu Kawauchi
株式会社TCD https://tcd.jp クリエイティブ・ディレクター
企業ブランド、事業ブランドやサービス・ブランドの立ち上げ、プロモーション企画、UX, UIデザイン業務に従事。『ブランドのウェブ活用』などのセミナーも開催。

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