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2020年、読んだ本リスト(随時更新)(ウサギノヴィッチ)

伊藤なむあひさんがやっているのを見て、堂々とパクらせてもらいます。
ごめんなさい、伊藤さん。
ありがとう、伊藤さん。

誰も教えてくれなかった死の哲学入門 内藤理恵子

今書いている小説のテーマが「死」についてで、ざっくりでもいいから「死」についての哲学を学ぼうと思って買った一冊。めちゃくちゃわかりやすかった。表紙の図にも出ているように、キルケゴールの死は新しい生への通過点、ニーチェは永劫回帰、サルトルの死は人生との因果関係がない、死は生という世界の中に組み込まれている、みたいなことが書かれていた。(もう実際はうろ覚え)でも、勉強になった一冊には間違いない。なにかしら、ここからインスパイアされて、小説にいかせたらと思っている。(1/5)

こんにちはレモンちゃん 中原昌也

ちょっと前のnoteにイカれている小説が読みたいと書いたが、中原昌也ならその夢を叶えてくれるのではないだろうか? と思って読んだ一冊。確かにイカれていた。狂っていた。ただ、やっぱりどこか文学的な狂い方で、ぼくが求めているのは、演劇的な狂い方であって、結局それは平行線のまま思いは届かないでいるのかななんて思ってしまう。カフカ的な不条理で笑いのあるもの。そんなものは文学では存在しないのかもしれない。(1/12)

カッコウが鳴くあの一瞬 残雪

中国文学というとマジックリアリズムが挙げられるが、ぼくが鈍感なのかそんなにそういうものが感じられなかった。むしろ、不条理的な話が多くて、読んでいて終わりが悲しいような気持ちなるものがあった。
と、書いているがもう読んでから数日経っている、内容もそんなに覚えていない。メンタルが沈んているときに読んだのであんまり刺さるようなものはなかったのは覚えている。今度は長編を読んでみたいと思った。(1/19)

嘘と正典 小川哲

今回の直木賞の候補作。メッタ斬りで大森望が面白そうにあらすじを話しているからKindleで即購入。
読んでみて、ちょっとネタが偏りすぎているかなとは思う。あるギミックというか、仕掛けというかネタか。面白いのだけれども、「またこれかぁ〜」とちょっと食べ過ぎな感じがする。その中で『最後の不良』はネタとしては変わっていたので際立っていた。あと、世界史に詳しいと、「この人はもしかして、あの人では?」とか思える話があったりして楽しめた。SFというジャンルかもしれないが、その中では収まり切れてない部分があったりして、例えば、ミステリーやサスペンスみたいな要素もある、非常に今後が楽しみな人である。ちなみに『ゲームの王国』は読み始めて三十ページくらいで挫折しました。(1/21)

マリ&フィフィの虐殺ソングブック  中原昌也

抑うつ状態の中必死に今書いている小説の文体のための肥やしにならないかと思って読んでいた。でも、文字を追うだけで必死だったし、案外、自分の求めているもの、出鱈目やナンセンスなところはなく、「最後は綺麗に着地している」イメージがある話が多かったイメージがある。(1/?)

氷 アンナ・カヴァン

先日、本屋でアンナ・カヴァンの中短編集が新しく出ていて勢いで買ったが、そもそも代表作を読まずに買うとは何事とだと思い買って読んだ。それに、そろそろ短編集も飽きたのそろそろ長編でも読んでみようと思ったのがきっかけ。文体が綺麗で読みやすく、所々に突然出てくる「氷」という実態のあるワード。ディストピア小説感があるが、どこかでこの話の展開は読んだことあるなぁと思わせるような感じがした。(2/13)

青が破れる 町屋良平

新人賞の携行と対策と人に勧めるためにと、色々な理由が相まって読むことになった。序盤はポップな感じなを醸し出すが、そこはかとなくあるにおいは漂わす。そして、ラスト二十ページに怒涛の失望をつきつける出来事を主人公に与える。えっ、今までとちゃいますやん、そんなんちゃいますやん。って、気持ちになった。文体が独特で、特に漢字の開き方やオノマトペが象徴的だと思う。真似して書いたら、あかんやつだと思う。(2/14)


限りなく透明に近いブルー 村上龍

 入院があったり、その他身辺に色々あってまともに読書ができていなかったが、やっと薄い本だけれでも、濃厚な本を一冊読めた気がする。
 怠惰な毎日を送る若者たちのなんも変てつもない日常を書いた小説。文体が変わっていて、地の文に会話文が唐突に乗っかってきていて非常に読みにくい部分もあった。昔に一回読んで脱落したことがあったが、今回はそれをクリアできた。
 主人公は日常に間接的に関わろうと努力している感じして、ビッチな女の友人に誘われてもあんまり積極的ではなかった。そして、最後にタイトルの通りの「限りなく透明に近いブルー」になりたいと思い立って住んでいたアパートを出ていくのだった。(4/16)


一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書 山崎圭一

 緊急事態宣言下、家でやることもなく、近くのTSUTAYAで本売り場を流して見ていたら、見つけた一冊。そういえば、いつかは世界史をもう一回勉強してみたかったなぁと思っていた。ちょうどいいから、今から世界史を勉強してみようと思い買った一冊。
 この教科書は、普通の世界史の教科書と違っていて、まずは四大文明縦の歴史から勉強する。だから、まどろっこしいところ、ヨーロッパではこれだから、今、中国は……みたいなものはない。んで、一章が30〜40ページなので読みやすいペースで読んでいけると思います。
 ただし、受験には使えないのでご注意ください。(5/2)


FLAT オカワダアキナ

同人作家仲間であるオカワダアキナさんの短編集だけれども、どれも短くてパッと読める長さだし、Kindleで手に入る同人誌なので是非とも興味を持っていただけたらダウンロードして欲しい。
 作品は八つあったが、八つともそれぞれ毛色の違う作品でどれから読んでも楽しめるようにはなっている。ぼくが好きなのは、『バイミー』という作品で、なんとも言えない哀愁漂う作品になっている。普通の恋愛模様ではないところがオカワダさんらしいなと思ってしまった。
 あと、内容には触れないが、『サーモとカティ』『昨日のかみさま』もおすすめです。(5/3)

デッドライン 千葉雅也

ゲイが主人公ということで、かなりフックがあったが、それは最初から真ん中までで、途中からは、大学生の青春ストーリーだけになってしまう。学者だからか、ストーリーを盛り上げることが苦手なのか、いまいち話に山がない。そして。主人公が覚めた性格をしていて、ぼくは感情移入をすることができなかった。
 これが芥川賞と三島賞の候補になっていることがぼくから読んでみて少しふに落ちない部分がある。あくまで個人的見解ですが。(5/4)

双子は驢馬に跨って 金子薫

うーん、これを言ったらお終いだけど、「カフカ的」という言葉が一番しっくりくるかな。待っている側と向かう側で、話が進むんだけど、待って側の話は退屈だし、向かう側もなんとなく遠回りしているなぁというのがあって、読んでいてしんどかった。
でも、終わりが見えてくるとこの後の展開がどうなるのか気になってページをめくる手が止まらなくなるが!
最後は、線香花火が途中で落ちた感じのする残念な終わり方でした。(5/19)

子猫が読む乱暴者日記 中原昌也

今年に入ってから何冊読むんだ、中原昌也を。とツッコミを入れたい人もいるかもしれませんが、ぼくは中原昌也に憧れを抱いているので読んでいるんです。今回の短編集は、とにかく「酷い」のオンパレードです。それは良い意味です。とにかく個々の作品が暴れてまくってます。でも、どれもナンセンスで不条理です。(5/23)

天気の好い日は小説を書こう 三田誠広

最近、基礎を疎かにしていたから再読した。
小説の基礎の基礎の基礎のことを言っているが、それでも新鮮な発見があった。
小説を書きたいと思ったが、次の巻もあるから、それを読んでから、じっくり構想を練って書きたいと思った。(5/27)

深くて美味しい小説の書き方 三田誠広

昨日読んだ小説の教本の上級者向けの本。
なるほどと思う部分があるし、色々な教本読んできたけど、昔からおんなじこと言っているんだなって言うことを思った。
ただ、ドストの『罪と罰』の解説は長いし、ネタバレなので読んで辛かった。
『罪と罰』にネタバレなんてないけど、筋を全部言われてしまいと萎える。だけど、忘れてころに読みたいと思う。(5/28)

日本語の作文技術 本多勝一

初心に返って小説書くための読書は最後の本がこれでした。
最初に紹介されたのは小説を書き始めた頃、だからだいたい九年前になるでしょうか。やっと、やっと、この本を通読することができました。
今まで基礎を嫌ってたわけではないけれど、やっぱり物語を読みたいという気持ちが自分の中であって、自然に、いや、わざと避けてました。今回一読して身についたかどうかわからないけど、また帰ってくるかもしれない(本当は帰りたくないけど笑)そんな感じの本でした。(6/3)

蛇にピアス 金原ひとみ

作者のデビュー作で、代表作です。
ギミックに「肉体改造」「身体拡張」というのが、出てくるが、これが書かれたのが2004年で16年前。もうピアッシングが古く感じてしまうのは、ぼくが歳を取ったせいなのか。ただ、当時の文化、特にサブカルチャーを取り入れていることに関しては評価できる。
あと、作者の作品に出てくる女性は平然と他の男性の浮気をするが、デビュー作からそれが描かれていたのには驚きだ。女性のサバサバした感じを書かせたらやっぱり金原ひとみだなと思った。ただし、展開はどこかありきたりな純文学の展開をしていて、最後の方がウェットな感じになるのは、たぶんこの作品だけなのではないだろうか。(6/5)

ヴィヨンの妻 太宰治

久しぶりに太宰を読みました。
この作品集はだいたい後期にあたるもので、太宰がそろそろっていうときに書かれたものです。その割には内容が暗くなく、深刻そうなものはありませんでした。
ぼくが好きな作品は、「トカトントン」と「ヴィヨンの妻」でした。
「トカトントン」ある日、急にトカトントン聞こえるようになり、最終的にそれが酷くなるというナンセンスな話です
「ヴィヨンの妻」は、料理屋に借金があることがわかった妻の話なんですけど、最後がスカッとしまう。男の自分でもなんかスカッととしました。それは読んでみてください。(6/6)

改良 遠野遥

新人賞らしい荒削りだけど、突飛もない設定で読んでいたニヤニヤしてしまった。キレイな女性になりたいと憧れる男の子が、普段のアルバイトする生活と自分の部屋でウィッグをつけて化粧をするという二重の生活。その普通の生活の中にデリヘルを呼んで、自分の性欲を満たすというのがあった。ある日、女装しながらデリヘル嬢とプレイをしていると、自分の容姿のことを言われ、激昂して部屋を出る。そして、友人の宅に行こうとすると、男にナンパされレイプ紛いのことをされる。
あらすじはこんな感じですけど、途中までら性に関することなのでゾワゾワする気持ちで読んでいました。
でも、物足りない気持ちなのったのは、これが新人賞だからかなのか。物語が一本調子で進んでいくので、読みやすいのだが、それだけ?みたいな気持ちになってしまった。(6/19)

medium 相沢沙呼

ミステリーだし、大ネタがかなりの比重を占めているので大ぴらに書けないが、ネタバラシになったときに「そんなもんだよね」という気持ちなってしまった。
そう、気持ちのどこかでそれはないと思っていた。あと、急に設定が上乗せされているような気がした。そのネタのためだけに。
あとはなんにも言えないです(6/20)

書きあぐねている人のための小説入門 保坂和志

こんなことを言うのは、嫌味みたいだけれども、自分は小説を書けている。先日の記事では、230枚書いたと書いたし、8月の公募のために200枚以上の小説を仕上げなければならない。
じゃあ、なんで読んだのか?
それはテクニックや基本的な考えを手に入れたかったからだ。なにか純粋に小説を追求するにあたって、小説とはなにかということで、プロの意見が欲しかったからだ。
ぼくは定期的にこういうことをやるが最近は顕著になってきている。積ん読ではあるが外国の小説の書き方というのも一応、さらっと読んである。まだまだ読了はしていないが。
小説がグッと自分の中で固まるまで、いや、そんなことは永遠にないかもしれないが、それをやり続けるだろう。(6/28)

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