葛見

ツイキャス「禍話」のリライトを載せています

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最近の記事

【禍話リライト】怪談手帳「裏階段」

一時期、子供の頃の不思議な話というテーマで聞き取りを行なっていたことがある。以下の話もちょうどその時に、現在は飲食業を営んでいるAさんから伺ったものだ。 **** 階段の裏側ってあるでしょう。裏に回った時に、構造としてね。当然、表の段々と逆に段々がありますよね。あれ正しくは「上げ裏」だとか「段裏」って言うんでしたかね。 当時、私は「裏階段」って呼んでました。それが、すごく怖かったんです。 と言っても、ちょうど死角にあるというか、外からすぐに見えないようなものだけですね

    • 【禍話リライト】骨壷の電車

      何か怖い話は無いのか。オバケの話じゃなくても、頭のおかしい人の話とかでもいいから。そう知り合いに聞いて回っていると、とある知人がこんな話を聞かせてくれた。 * 電車の中で骨壷を持ったスーツ姿のおっさんに2両分ゆっくり付き纏われたことがあるんだよね、と彼は言った。 大学時代、彼が東京に住んでいた時のことだ。どこの路線だったかは忘れてしまったが、ラッシュの時間帯ではなく、車内に人はそれほど多くなかった。 その男はどう見ても骨壷を直に抱えて座っていた。ただのスーツ姿で、喪服

      • 【禍話リライト】絞め愛

        始まりは高校生の時だった。 ある日、とある友人から相談を受けた。 彼はバレー部だかバスケ部だか、そういう部活に入っている体育会系のいわゆるリア充で、怖い話やオバケの話を好んで集めている自分とは全く違う生活をしている奴だった。 そんな彼が「俺疲れてるのかなあ」と言う。 「俺そういう趣味全く無いんだけど。全くそういうのに性的興奮とか覚えないんだけど。やっぱどっかで、昔そういうドラマとか見て影響されてるのかなあ」 「何が?」 「夢でよく見るんだ」 すごく疲れている時に夢で

        • 【禍話リライト】2時の御膳の部屋

          2ちゃんの有名な話みたいなのって無いかな、って周りに言ってたんですよ。半年くらい前から。 誰も返事してくれないわけね。それだけは。 なんか「こんなオバケ出た」とか「車に轢かれたオバケが」とかは言うくせにさ、その話だけ無くて。「お前の要求が高すぎる」とか言われてたの。 一つ、来たんです。その、有名ネタに近いようなやつで、オリジナルで怖い話が。 俺より年上の人なんですけどね。「リゾートバイト」みたいな話が来たって言うの。 俺笑っちゃって。「リゾートバイトみたいな話来たの?」っ

        【禍話リライト】怪談手帳「裏階段」

          【禍話リライト】ひび割れた家

          ※読んだ人の所に「来る」可能性のあるお話です。閲覧は自己責任でお願いします。 **** テナントビルだったらしいんです。3階が塾で。 塾って窓に、中が見えないように「進学率○%」とか貼ってあるじゃないですか。だから、オープン時にはこう威勢よく貼ったんだろうなみたいな。 その貼ってあるシールだか何だか知りませんけど、ああいうのって、風雪に晒されるというか、経年劣化でビリビリにヒビが入ってくるんですよ。替えるじゃないですか新しいのに。替えない。で、ひび割れてるように見えるわけ

          【禍話リライト】ひび割れた家

          【禍話リライト】出来心の子

          祟りってあるんだなって話なんだけど。祟りっていうか、罰っていうか。 急に何だお前って話なんだけど、今さ、40代とかでも結構そういうの信じない馬鹿な人って多いじゃないですか。信じろとは言わないですけど。悪いことしたら何かあるんですよ。 そこでやれカルマだ因縁だって言うつもりはないんですけど、あるんですよ。それは。 と、いうのは。これ、俺の割と近しい奴であった話なんだけど。 結婚して子供がいた人なんですけど。子供が熱出すようになったと。 それこそ、「七つまでは神のうち」じゃな

          【禍話リライト】出来心の子

          【禍話リライト】事故紹介

          大学生のAさんの体験である。 サークルの集まりで「信じられないかもしれないけどこんな体験をしました」という話題になった。 皆が「酔っ払って気がついたら……」のような話をする中、会社帰りに来ていたOBのBさんが「まあ、別に笑える話じゃないんだけどな」と、こんなことを話した。 大学時代のことだ。今は他県にいる奴と、もう連絡を取っておらず今どうしているか分からない奴、この2人の友人たちとまだつるんでいた時だった。 一人が「親の車だけど」と言いつつ車を出し、とある山へドライブに行

          【禍話リライト】事故紹介

          【禍話リライト】みなごろし/完璧な彼/謝罪者

          「みなごろし」 学生街みたいなところで、そのまま就職して住んでるって人がいて。 ずっとお世話になってる定食屋さんがあって。ほら、500円でおかわり出来るみたいな、うちの大学近くにもあるような。休みがね、日曜日だけなんだって。それ以外ずーっとやってるみたいな。 学生からずーっと使ってて、もう10年くらいの付き合いだ、みたいになってて。 日曜の夜にそこを通ったんですって。それでパッと見たら貼り紙がしてあって。 達筆な字だったんですって。達筆な方が筆ペンで書いたような。 あの、

          【禍話リライト】みなごろし/完璧な彼/謝罪者

          【禍話リライト】地下鉄の窓

          福岡の地下鉄の話。 今の地下鉄には危険防止のバーや自動ドアがあるが、そういったものがまだ無かった頃のことだそうだ。 ある日、Aさんは地下鉄の普段使わない路線に乗った。どこの駅の乗客が多いかなど知らなかったAさんだが、途中に人が全然乗ってこない区間があることに気付いた。寂れているらしい。 後日、再度その路線を使うことになった。 夕方頃だった。 ここ人乗ってこないんだよね、と思っていると取材クルーのような格好をした4、5人が乗り込んできた。大学生の映像研究会か何かのようで、カ

          【禍話リライト】地下鉄の窓

          【禍話リライト】だれかの歯と箱

          俺の知り合いが言ってたんだけど。そいつ絶対実家に帰らない奴なのよ。 なんで?って聞いたら。 **** A君が大学1年生くらいの時の話だという。 母親が入院することになり、父親は遠くで仕事をしていたため、家にA君一人という状況になった。A君の家はもともとお母さんがずっと家にいるような家庭で、考えてみれば家に一人というのは生まれて初めてのことだった。 ある時、印鑑か何かが必要になって家中を探していたA君は歯の入った小さな包みを見つけた。自分の乳歯を親が記念として保管している

          【禍話リライト】だれかの歯と箱

          【禍話リライト】アキフミさんの部屋

          彼が大学1年生の時の話だという。 友達から「大学のイベントでお好み焼きを作ることになったから試作品を食ってくれ」と頼まれ、タダ飯だと喜んだ彼は電車で1、2時間ほど掛けて友達の大学へ行った。 到着してみるとそのサークルには男しかいなかった。女子はいないのかとがっかりしていると男子6、7人くらいが「じゃあ今からお好み焼き作るから」と、まるで「わんこお好み焼き」のように次から次へとお好み焼きだけを出してくる。お好み焼きしか出てこないのは嫌だなと思っていたら「夕方くらいから味変わる

          【禍話リライト】アキフミさんの部屋

          【禍話リライト】き・ん・じ

          70年代の話。 Aさんの勤務していた学校では、こっくりさんは禁止されていなかった。 皆冷静だしこっくりさんをしてもパニックなどは起きないだろう、ということで先生方は放任していた。 「頭の良い進学クラスに限ってそういうことするよね」「やっぱりガチガチに勉強してるからその反動でそういうオカルト的な方向にいっちゃうのかもな」 Aさん達が職員室でそんな話をしていたちょうどその時、進学クラスの生徒達数名が悲鳴をあげながら飛び込んできた。 言ったそばから?と笑いながらも話を聞くと、彼ら

          【禍話リライト】き・ん・じ

          【禍話リライト】入口のない墓地~勧誘と招待

          平成一桁くらいの頃の、北九州での話。 ある女の子が就職して一人暮らしをしており、マンションの3階か4階に住んでいた。 腕に覚えがあるわけでもお金が無いわけでもないが、少々呑気な部分があったようで、オートロック等の無い防犯のしっかりしていないマンションだった。 治安もあまり良くない地域だったようで、よく救急車やパトカーの音がするとか、ゴミの日ではないのにゴミステーションに物が大量に捨てられているなど少し怖いとは思っていたものの、犯罪や変質者で怖い思いをしたことは無かったそう

          【禍話リライト】入口のない墓地~勧誘と招待