見出し画像

#421 「絵が下手な人」と「上手い人」、ただ1つの決定的差

最近、題名のような記事を目にしました。新しい本の宣伝のようです。ちょっと気になって覗いてみましたが、もう一つ大事なことがあるのでは、と思ったので、メモ。


1、どんな記事?

東洋経済オンラインさんの以下の記事です。

詳しくはご覧いただくとして、要するに、絵の上手い、下手には、簡単なコツがあるのでそれを身につければ誰でもすぐに絵が上手くなりますよ、という内容です(もうちょっと詳しく知りたければ、本買ってね、という流れです)。

ちなみに、この記事では、
☑️ 立体感
☑️ 遠近感
の2つを挙げています。


2、すぐにテクニック(だけ)を知りたい=すぐに(面倒なく)結果を得たい

「絵が下手な人」と「上手い人」、ただ2つの決定的差

こういうトーンの題名、多いですよね。
確かに気になります。

つい読んでしまう心理には、ちょっとしたコツを身につけたら苦労なく絵が上手になるんだぁ、という期待があるのではないでしょうか(私がそうでした)。

この心理は、絵だけでなく他のこともにも言えるようで、結果として冒頭に挙げたような表現が多くなるのでしょう。


3、テクニックより前に大事なこと

で、私が思った、「絵が下手な人」と「上手な人」のもう一つの決定的差、ですが、ですが、それはテクニックではありません。

「見ること」です。

日本の美術教育は「作ること」が中心でした。今30代、40代の方はおそらく学校で絵を描いたり、版画を作ったり、という経験はあったと思いますが、「絵を見る」という授業はなかったのではないでしょうか?

最近では、美術教育の中で「鑑賞」の比重が上がっていると聞きます。

考えてみれば、さまざまな作品を見る経験なしに、「作ること」だけ学ぶというのは、テクニックだけを学ぶことに他なりません

いくらテクニックを磨いたところで、それを使って表現したいことがなければ、その意味は半減してしまうのではないでしょうか?

むしろ、「表現したい」「作りたい」という意欲があった上で、初めて「テクニック」が意味を持つ、とは言えないでしょうか?


4、まとめ

いかがでしたでしょうか?

絵が上手になるためのコツ(テクニック)の前に、そもそも「見ること」が大事、それによって出てくる、何かしらの動機や感情、意欲が大事なのでは?という個人的意見でした。

改めて思ったのですが、この、「面倒なくコツを知りたい」という「思考回路」は、学校教育に一因がある気がします。

なんでも教育のせいにするのは本意ではないのですが、いかに短時間で正解にたどりつくかで10年以上も評価されてきたら、そのカルチャーに染まるな、という方が無理があるでしょう。

今の時代、「問題」が与えられてその「正解」を求める、というより、そもそも何が「問題」なのかという「問い」を設定することの方が必要とされていると言われます。

それなのに、クイックに正解が得られる「コツ」があるよ、というコピーに惹かれてしまう、そしてそんなコピーを作ってしまう、という現状からすると、意識の転換はまだまだ、といったところでしょうか。

そして、それは、「絵」に限った話ではない、のではないでしょうか?



最後までお読みいただきありがとうございました。

例によって個人の感想ですがどこか参考になるようなところがあれば嬉しいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?