AI特許調査ツール「Amplified」を利用して出願した発明は、広い権利が取れました
こんにちは。TechnoProducer株式会社 CEO の 楠浦 です。
以前、AI特許調査ツール Amplified のお話をしました。
今日は、その続報です。僕も発明塾の塾生さんも、それなりに使い込みましたので、結果報告、という感じですね。
「発明塾OB」の発明の「仕上げ」に利用
上記セミナーの後、発明塾での発明討議ツールに利用させていただき、一名の発明の
「最終仕上げ」
になる
「アイデア育成」
で、かなり使い込んでもらいました。
特許出願の数カ月前、ぐらいの段階ですね。
過去の特許や論文を徹底的に調べると、自身の発明(正確には「発明と思っているアイデア」)について
「何がどこまでやられていて、何がやられていないか」
が明確になります。そこから、普通の技術者としてコツコツ考えれば
「なぜ、上手く行ってないか」
「自分はなぜ、そこをブレークスルーできたか」
明確になります。今までは、これを、文字通り
「コツコツ」
やってました。
しかし、時間がかかります。
特許調査にも、かなり精通してもらう必要があります。
特許調査は「教える」のも「教わる」のも大変(というか面倒)
TechnoProducer株式会社設立から3年ほどは、僕は、ほぼ毎日、特許調査の仕事をしていましたので、その時の手法をゼロから教えるわけですが、まぁ、時間がかかります。
今は、必要最低限の知識は、事例付きで以下の教材にまとめていますので、「これ受けてから、やりましょか」で済みますけど・・・。
まぁ、それでも大変です。知財教育ご担当者の方の、日々のご苦心と、なんともいえない心中をお察しいたします(笑
なんせ、「僕」が「意欲ある塾生さん」を指導しても、めちゃくちゃ大変なわけですから・・・。
さて、これまでは「コツコツ」教えて、「コツコツ」調べてもらうしかなかったわけですが、Amplifiedを利用し始めて
「景色が、ガラッと変わり」
ました。
「アイデア → 先行特許」
が、文字通り
「秒」(「分」単位ではないという意味)
で見つかります。大学生の塾生さんにも使ってもらいましたが、やはり
「秒」
で見つかるようです。サッサと見つかりすぎて、持て余している塾生さんもいましたが、見つけてどうするか、という
「発明法」
の問題は、一旦おいておきます。先行例をもとに考える、というのは、AIではなく
「人間」
の仕事です。技術者としての基本的な能力が問われます。調査が簡単になると、なおさらここで差がつく、ということもわかりました。これまでは
「調査の巧拙」
に左右されていたんだなということ、そして、調査で躓いて終わってた人は、ある意味幸せだったのかも・・とか(笑
僕の「新規事業」アイデア創出でも、使ってみた
これ、僕自身、弊社の新規事業検討で使ったのですが、僕が2時間ぐらいかけてたどり着いた先行技術よりも、ずーっと近い文献が
「2分」
で出ました。誇張ではなくて、びっくりしました。
自慢はしませんが、僕が2時間調べると、いつも、それなりのものが見つかります(笑
「あまりに早すぎる」
ので、その後も、10分ぐらい調べたのですが、それ以上は出てきませんでした。
「まぁ、もうこれ以上近いのは、なさそうかな」
という自信が持てました。これ結構大事です。
アイデアを育てる過程で
「アイデアが具体化してくると、近いものが見つかる」
ということが、良くあります。これ、とても面倒です。何十時間も議論して、最後の最後に
「近いのがありました」
非常に面倒です。
しかし、これはやむを得ない部分があります。
キーワードが明確になってきますから、正しく検索できるようになるのです。そして、調べる中で、調査スキルも上がってきます。調査精度が加速度的に
「向上してしまう」
のです。逆に当初は、
「技量不足xキーワードが具体化してない」
のせいで、見つかるものも見つかりません。僕も、四六時中ついてられませんので、本人が「見つからない」でスルーして、あとでどんでん返し、ということが、発明塾(学生版)ではよくありました。
企業内発明塾は、そんなことやってられませんので、初期にかなり調べます。多くの企業では、知財担当の方に積極的にご参加いただき、仲良く楽しく厳しく、やっております。
「先行例調査x発想」を「秒で回す」から、アイデアがよい発明になり、よい権利も取れる
Amplified の何がいいか。
「まず、発明について、自分が思うところを入力する」
と
「瞬時」
に
「これじゃね?」
というのを返してきます。
僕は、それを素直に読みます。
「なるほど、そういうことか」
そう思えば、発明の中身を
「厚く」
できます。
「いや、そうじゃないんだよね」
「僕が言いたいのは、その先のことなんだよね」(先読み)
となると
「差別化ポイント」
が明確になります。
それらを、どんどん Amplified に入力していきます。
すると、勝手に、どんどん
「だったら、これじゃね?」
というのを教えてくれます。
後は繰り返しです。
書くと長いですが、実際、上記の作業は
「秒」
で終わります。特許を読めば、自身の発明がどんどん具体化していくからです。自身の発明についてまじめに考えている、普通の技術者なら、そうなるはずです。
考えてないのに、出るはずはありませんから、「考える」は必須条件ですが、技術者の仕事は、技術について考えることですから、仕事をしてれば当然出ます。秒で出ます。僕がそうですし、
「一緒に作業している」
塾生さんもOBさんも、そうなってくるからです。
長いので、いったんここで切ります。
「元審査官」も、「こんな権利とれるはずない」と言ってしまう権利が・・・
まだ公開されてない特許出願のお話ですし、公開されても、塾OBさんが真剣に事業化しようとしている案件ですので、詳しいお話はできません、ごめんなさい。
ですが、出願を担当いただいた、非常に優秀な弁理士の方、および、その事務所の関係者全員が
「こんな権利とれるはずない」
とおっしゃった
「非常に広い権利」
が、取れることがわかりました。
(その請求項について、拒絶が来なかった、他、形式的なことを指摘されているので、そちらは対応中)
関係者には、元審査官の方もおられます。
この一件から、
「AIと協力して発明を行えば、審査官を突破できる」
という印象を受けました。
「突破」
の意味が分からないかもしれません。
少し解説します。
そもそも、事業や製品としての発明と、
「権利化したい発明」
は、かなり異なるのが通常です。
「強い特許」
「事業に役立つ特許」
をどう作るか、の話です。
アイデアを、そのまま出願する人はいません。
(いろんな意味で、ただのカモです)
これがわからない方は、以下をご参照ください。
そのため、製品や事業の企画を固めた後、
「権利化すべき内容」
について、発明を創り直します。
これを、
「知財的再発明」(弊社商標)
と、発明塾では呼んでいます。
今回は
「事業や製品としての発明」
の段階だけでなく、
「知財にしたい発明」
を生み出す段階でも、Amplified を用いています。
「よい権利が取れた」
のは、後者の活動の成果です。
「先行技術」
を把握し尽くせれば、いや、審査官より良いものを見つけておけば、
「死角」
を突いた権利の切り口が、必ず出せます。
発明塾では、そこまでの作業を行ってから、弁理士の方に相談します。
そして、弁理士の方からも、改めて請求項のご提案をいただき、出願明細書を詰めていきます。
「AIと技術者と弁理士さんの共同作業」
で、よい権利が取れる、というお話です。
特許は、時空を超えた先人の発想が詰まった資料
「特許は、時空を超えた先人の発想が詰まった資料です」
というお話を、僕は、しょっちゅうします。
なので、どんな分野の発明においても
「特許は必ず調べる」
ことにしています。もちろん、論文も調べますし、投資情報(IRやヘッジファンドの動向)も見ますが、
「必ずしも、今すぐ実現できるとは限らないことまで書いてある」
という点で、特許には、他にはない魅力があります。
ある知財部の方が
「あることないこと書いてあるから、特許は信用できない」
とおっしゃってましたが、僕は、特許は
「信用するものではなく、ヒントにするもの」
だと思ってます。
発明において、誰も、何も、信用はできません。
(常識を疑うことから、発明は始まりますし、常識を破った結果、大発明になった例を、皆さんもたくさん見ておられますよね)
「信じられるのは、自分の頭脳だけ」
です。その材料を、特許がくれます。過去の
「飛躍した発想」
が、ふんだんに書かれているのは、特許だけです。
SF小説やアートも参考にしますが、いろんな裏付けが取れる情報としては
「特許が一番」
だと、僕は考えています。
まとめ~AIツールは、「個人」としての競争力を高めてくれる
「調べる」
の巧拙が、発明の巧拙を左右していた時代は終わったな、というのが僕の結論です。発明塾の手法では、
「よい情報を見つけ、それに基づいてアイデアを考え、その先行例を探し・・・」
を繰り返すので、
「調査スキル」
が低いと、非常に効率が悪くなります。
一方で、かなり調べますので、それなりのスキルは
「最終的には」
ついてきます。でも、時間がもったいない。発明の最後の最後に、近い文献が見つかる、というのは、かなりのロスです。
ですので
「考える」
という、技術者本来のスキルだけで差がつく状態にしてもらえ、結果として無駄が減る、という点で、Amplified は、かなり魅力的なツールです。
技術者には、考えてほしいですから。
僕も技術者なので、考えたいですし。
「調査の手間を極限まで減らし、考えるヒントをくれるツール」
「考えるヒントを、秒でくれる、賢いアシスタント」
「テンポよく考えるために必要な、情報処理速度の ”臨界点” を突破できるツール」
(経験的に、情報入力とアイデア出しのサイクルが、一定のスピードを超えないとよいアイデアは出ない、ということがあります)
これが、僕の Amplified に対する、現時点の感想です。
時代の最先端で発明をさせていただけることに、日々、感謝しております。
AIと一緒に発明したい方は、ぜひ、発明塾へ。
楠浦 拝
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