【洋服屋の未来④】アパレル販売員は生き残ることができるのか?番外編Part1

仕事柄、多くのアパレル販売員の人と付き合いがありますが、最近こんな声をよく聞きます。

アパレル販売員の仕事って、一体なんなのか?

コロナ禍の自粛期間の間、みなさんも一度ぐらい自問自答したのではないでしょうか?

他の業界と違って極めて古い体質のまま今日に至っているアパレル業界。今までの習慣や戦略は、本当に正しかったのか真剣に再考せざるを得ない状況に追い詰められています。

「表向きの過剰なおもてなし」「感情的な揺さぶりによる衝動買いの誘発」「リアル店舗での接客販売信奉」「消費者の買物の利便性の追求に消極的な姿勢」「ブランドロゴだよりの戦略」「サスティナブルを無視した人工繊維商品の生産拡大」「過剰供給と廃棄」etc....

上げればきりがありません。結局、世の中のファッションリテラシーは高まることなく、買物のワクワク体験がバージョンアップされることもなく、何十年と変わらぬビジネスモデルのまま、今日の危機を迎えています。

アパレル業界の進歩を考えた時、消費者にとっての恩恵は、購入場所、機会が増えたことぐらいではないでしょうか?商品においては、主要アパレル企業の製品のデザインやクオリティーをみると、むしろ退化したかもしれません。

アパレル販売員のみなさんはこの事実を受け止める必要があります。そして、自分達が毎日当たり前だと思っていたことを見直さなければなりません。まずは原点に回帰することが大切でしょう。

もういいかげん売上予算を追う毎日を辞めませんか。

アパレル販売員の仕事は、売ることがゴールではありません。

本来は、

消費者にふさわしいものを選ぶ手伝いをすることです。

消費者のファッションリテラシーを上げる手伝いをすることです。

日本のファッションカルチャーの向上に貢献することです。

そもそも、私たちは、それぞれ顔も型も好みも経済力も社会的立場も全く違います。誰もが自分の見た目の印象を良くしたいと少なからず思っています。オフィシャルな場面では一層その気持ちが強くなるのは、誰だって当たり前です。

ゆえに、アパレル販売員は、社会的にお客様の見た目を左右する「装い」の一端を担う責任があるということです。

人生の中で着ることができる洋服は限られています。安易に「大丈夫です」と言って店の売上のために、在庫商品をオススメすることは卒業しましょう。プロとして自分が本当に納得した場合のみオススメする本来のあり方を取り戻しましょう。

毎日毎日「今日は○○万」というプレッシャーのためにする接客なんて古すぎます。
日々の予算のためだけに働く販売員は、もう通用しないと覚悟してください。

全国ほとんどの県で緊急事態宣言が解除され休業中のお店も営業が再開されています。しかし、以前とは光景が違うことに気づくでしょう。お客様も販売員も全員マスク姿で、表情が分からないロボットみたいな状態であること、やたらと喋り倒すことが出来難いことを。

アパレル販売員は、ロールプレイング大会のようにお客様を満面の笑顔でもてなして、気の利いたフレーズを繰り出しながら、感情を揺さぶって買う気にさせることを目指す必要はありません。

時代は、業界の自己満足だった旧来のスタイルを壊し、本来あるべき姿に戻そうとしています。

こんなに溢れている洋服の情報はネットを見ればわかります。しかし、情報が溢れているだけに、消費者が自分に本当にふさわしいものを取捨選択することは難しいです。ファッションリテラシーが必要で、そんなもの普通持ち合わせている人なんていません。売りつける人ではなく、リアルに自分のための助言をしてくれる人に頼りたいのです。そこにアパレル販売員の出番があります。

あなたが洋服屋のプロとして、自分の大切な先輩や友人の洋服を一緒に選ぶ時と同じような緊張感で、お客様に向き合ってください。買った時だけでなく、何年も長い間「選んで良かった」と感じてもらえるアドバイスができることを目指すことが、販売員の使命であることを思い出してください。

さあ、AIにはできない人間らしいモラルのある洋服屋の仕事をはじめましょう!

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