milkの王冠
crownかclownか
Lはピエロ。Rは王冠。
一文字違いでこんなにちがう。
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鳥のさえずる声で若干うんざりしながら目が覚めた。
もう日差しは強くカーテンのわずかな隙間からまっすぐに射る。
鳥ならぬこちらはまだ眠いのだ。
誰もが朝型の生活をしていると思うなよ、と鳥のやつに悪態をついてみるが当然通じはしない。窓の外で、楽しげだ。食って寝るだけの生を満喫している。などと思うのは人間の思い込みかもしれないが。
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遅い朝食はシリアル。新商品のベリー入りだ。赤さが鮮やかだ。
ぐだぐだとしている自分とは違いその鮮やかさよ。
肉眼で認めることはできないが、ミルクを一滴、液面に落とすと、
一瞬だけ白い王冠ができているという。
その話にやけに心ひかれた。
そんな風に生きていられるだろうか。
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スプーンから牛乳をそっとボウルに垂らしてみると、ただ水分がぴちゃりと音をたてて牛乳が跳ねあがっただけだった。
脳内のミルクの王冠は、はかなく消えた。
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