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現代語俳句メール句会 第8回 結果発表


「現代語俳句メール句会」と題して、
メールによる句会を開催しています。

今回は5名のみなさんに全25句をお寄せいただきました。

以下その結果発表です。




現代語俳句メール句会 第8回
2020年 8月

ご参加のみなさんの選と講評です


矢口れんとさん選 》

◎ 特選句 ◎

おくり火のあかあかと立つ静けさよ
吉田翠

送り火の映像と情緒が無駄なく無理なく表現されており臨場感のある句だと思います。「立つ」という動詞の選択が非常に良く、あたかも精霊が名残惜しそうに姿を見せてくれるような絵が感じられます。下五は閑寂の余韻を残しつつ、句全体をうまくまとめあげていると思います。読後にまた冒頭に戻って繰り返したくなる、そんなゆったりとした時間が句の中に感じられます。

◯ 入選句 ◯

一瞬をそらに奉ずる江戸花火
吉田翠

暑ささえ往くを惜しむか蝉しぐれ
悠凜

手花火よ帰れぬ里も星の下
吉田翠

旅人にしみ入ることよ奈良の秋
草笛




吉田翠さん選 》

◎ 特選句 ◎

塩飴のとおい甘さも八月よ
草笛

短い17音の中に、郷愁が漂ってきます。この郷愁は場所を指すとは限らず、夏の思い出の全てが含まれる、日本の八月だなと感じさせてくれる句だと思いました。

◯ 入選句 ◯

暑ささえ往くを惜しむか蝉しぐれ
悠凜

鷺草を空へと還すつま先よ
笹塚心琴

空蝉か薄暮に今日が透けてゆく
矢口れんと

静寂に命を描くほたるの火
笹塚心琴




悠凜さん選 》

◎ 特選句 ◎

誰しもが試されている炎天下
笹塚心琴

正に、今、の状況かなと思いました。

早く少しでも落ち着いて欲しいという願いと、そのためには誰しもが気をつけなければならないとう戒めもこめて、こちらの句を。

◯ 入選句 ◯

一瞬をそらに奉ずる江戸花火
吉田翠

手花火よ帰れぬ里も星の下
吉田翠

朝顔とにらめっこした一年生
吉田翠

おくり火のあかあかと立つ静けさよ
吉田翠




笹塚心琴さん選 》

◎ 特選句 ◎

手花火よ帰れぬ里も星の下
吉田翠

今年の夏は故郷に帰れない人も多いと思います。私も実家に戻れていません。

ですが、同じ星の下で繋がっているという、大切なことを思い出させてくれました。

今年ならではの世情と、変わらない余情を見事に表現されていると思います。

拝読してとても気持ちに沁みたので、こちらを特選に選びました。

◯ 入選句 ◯

暑ささえ往くを惜しむか蝉しぐれ
悠凜

塩飴のとおい甘さも八月よ
草笛

逢えぬ盆スマホに集う笑顔たち
悠凜

バイバイのあとも佇む百日紅
矢口れんと




Kusabue選 》

◎ 特選句 ◎

過ぎたこと飲みほす宵のジャスミン茶
矢口れんと

ジャスミンは夏の花。干した花がジャスミン茶になるそうです。お湯をそそぐと大きく花ひらく工芸茶というものもあるようです。何ごとも終わりよければすべてよし。一日のはてのゆったりとしたひとときが心地よい、優雅な句だと思います。

◯ 入選句 ◯

一瞬をそらに奉ずる江戸花火
吉田翠

星月夜寂しさささえも瞬くか
笹塚心琴

バイバイのあとも佇む百日紅
矢口れんと

おくり火のあかあかと立つ静けさよ
吉田翠






【得点票】

◯ 3点句 ◯

おくり火のあかあかと立つ静けさよ

一瞬をそらに奉ずる江戸花火
吉田翠

暑ささえ往くを惜しむか蝉しぐれ
悠凜

手花火よ帰れぬ里も星の下
吉田翠

◯ 2点句 ◯

バイバイのあとも佇む百日紅
矢口れんと

塩飴のとおい甘さも八月よ
草笛

◯ 1点句 ◯

過ぎたこと飲みほす宵のジャスミン茶
矢口れんと

空蝉か薄暮に今日が透けてゆく
矢口れんと

鷺草を空へと還すつま先よ
笹塚心琴

静寂に命を描くほたるの火
笹塚心琴

誰しもが試されている炎天下
笹塚心琴

星月夜寂しさささえも瞬くか
笹塚心琴

朝顔とにらめっこした一年生
吉田翠

逢えぬ盆スマホに集う笑顔たち
悠凜

旅人にしみ入ることよ奈良の秋
草笛

敬称略
失礼いたします



【ご投句いただいたみなさんの全作品です】


○ 笹塚心琴さんの作品 ○

青春の終わりを知るか蝉時雨

鷺草を空へと還すつま先よ

誰しもが試されている炎天下

静寂に命を描くほたるの火

星月夜寂しさささえも瞬くか


◯ 矢口れんとさんの作品 ◯

蓮池よ人々照らす千々の花

過ぎたこと飲みほす宵のジャスミン茶

バイバイのあとも佇む百日紅

空蝉か薄暮に今日が透けてゆく

椋鳥の一家くらいの日だまりか


◯ 吉田翠さんの作品 ◯

手花火よ帰れぬ里も星の下

朝顔とにらめっこした一年生

一瞬をそらに奉ずる江戸花火

働きは皆それぞれかキリギリス

おくり火のあかあかと立つ静けさよ


◯ 悠凜さんの作品 ◯

暑ささえ往くを惜しむか蝉しぐれ

逢えぬ盆スマホに集う笑顔たち

さるすべり寂しさ見せず揺れる紅

ゆかた着ておくれ毛掻いて耳染めて

ゆかた襟うなじ後れ毛耳朱染め


◯ Kusabueの作品 ◯

江の島にいれば残暑のとうとさよ

旅人にしみ入ることよ奈良の秋

隠岐もまたあげつづけてよ大花火

ちちははとあかん坊とこの星月夜

塩飴のとおい甘さも八月よ


みなさま、
ご投句・ご参加ありがとうごさいます

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