口語俳句 作品集 2 〜ふる雪〜
「 ふる雪 」
~口語俳句〜
京というふる雪というしずかさよ
おどろいて水さわぎだす浮き寝鳥
手ばかりがいきいきうごく冬耕よ
はたらいてよい日があたる蜜柑山
木がらしよ神社の夜明け寺の暮れ
鬼がわら目をみひらいて霜の屋根
一つに手あわす神社よ冬あたたか
あさは掃きひるは焚きあげ神無月
にんげんがまっさきに暮れ浜焚火
ゆきだるましろじろと見え夜の奥
◇
いちまいのそらごとふゆの空港か
自分との対話とホットコーヒーと
冬菊よ子にはすべてがめずらしく
ひとひらにはじまるゆきの山陰よ
町おこししてもしてもよ雪が降る
はじめての老はじめてのさくら鍋
夕映えよこころに据える雪の富士
降るあめよ暮れていちにち浮寝鳥
巻く風が家ゆさぶってこたつの夜
そのおくのおくから来るか熊の山
◇
とどく陽よ野のどこかより冬の蝶
牧場はおおきな日なた冬あたたか
門松が立ちはじめたか日ざしなか
かんぱいの手ごと手ごとよ忘年会
熱燗よことばなくてもあたたまり
交番よ灯ひとつともるとしのくれ
風邪ぐすりおおきくうごくのど仏
とうきょう駅一灯としてふる雪よ
星出ればあおぐこころも年の暮れ
いちねんがここにおちつく落葉焚
11月27日〜12月09日
口語体・現代仮名づかい・現代的切れ字
を基本にして詠んだ作品集です
いつも
ご覧いただき
ありがとうございます
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