- 運営しているクリエイター
2024年3月の記事一覧
口語俳句 作品集 10 〜初桜〜
「 初桜 」
~口語俳句〜
そよかぜよ空ふるわせて初ざくら
一輪よこころほころぶはつざくら
都市にこそ並木通りのあさざくら
舞うそらよさくらに浮かぶ天守閣
いけの面よ桜のかげのありどころ
ちかづけば紅のうすれて山ざくら
てのひらを波があらえばさくら貝
あらわれる彼岸ざくらの咲く村が
さかみちよみなあゆみ入る花の雲
夜ざくらよ月とも違うほのあかり
◇
一凛よ日ざしのおくには
口語俳句 作品集 9 〜帰る雁〜
「 帰る雁 」
~口語俳句〜
かおどれもぼんぼりいろよ雛人形
春の雷夜のそらを鳴りわたるのが
人生をとおくながめて野にあそぶ
航跡は消えのこるみちかぜひかる
おやが来て喜喜叫喚のつばめの巣
過去ほどにうつくしいのが落ち椿
また来いよそらいちめんを帰る雁
そつぎょうの自転車かごに花束よ
卒業かそらにおおきな伸びをして
パレットよ青絵の具溶く春の富士
◇
木曽川よふねくぐり行
口語俳句 作品集 8 〜春まつり〜
「 春まつり 」
~口語俳句〜
春が来てやがて去りゆくバス停よ
春告げ鳥しみじみ耳にとどいたぞ
いるところどころへいわよ春の鳩
この村はたとえば日本タンポポよ
春の雷野やまそろそろ目覚めるか
想像よ咲いてはふぶくさくらの芽
つぎつぎかあかい芽吹きの吉野山
畑を打つひとのすがたも郷土史よ
雪とけて日がふりそそぐ海になれ
遅い日よ瀬戸に灯ともる島いくつ
◇
菜のはなよすえひろ