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来戸 廉
2024年5月3日 08:01
その日、私はしこたま呑んだ。 上司からの急な誘いだった。妻への連絡が気になったが、酔うに連れて忘れてしまった。 ご機嫌でタクシーを降りた頃には、時計の針は疾うに深夜一時を回っていた。 高台にある住宅街。辺りはしんと寝静まっている。我が家の明かりもすっかり落ちて、鼻歌と靴音がやけに響く。 中腰で街灯を頼りにドアの鍵穴をまさぐっていると、居間に続き玄関の灯りが点いた。緩慢な動作で見上げる
2024年4月6日 08:35
北村さんには”目に入れても痛くない”孫、Y君がいる。 Y君は今年から幼稚園に通うそうだ。 入園式から帰ってきたY君。北村さんは心配気に、「どうだ、楽しかったか?」と尋ねる。「うん」「友達はできそうか?」「うん。ケンちゃんとサキちゃんと友達になった」「ほう、もうできたのか。偉いなあ」 北村さんはY君の頭を撫でる。「先生は、女の先生か?」「ううん」「じゃあ、男の先生だ」