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来戸 廉
2024年4月17日 09:48
私の携帯がぶるっと揺れてメールの着信を報せた。画面を開くと、件名に「💗」だけが表示されている。 えっ、懐かしいなあ。 私の心を軽い驚きと喜びと、そして少しばかりの感傷が過る。 圭子はアルバイトで入った娘で、私の職場に配置されてきた。高校を卒業したばかりだった。 圭子は、仕草が可愛い、初々しさが事務服を着たような娘だった。 折角ならアルバイトではなく正規の職に就けばと思うのだが、彼女
2024年1月27日 09:07
週末。朝食を作るのは、大抵、私の役だ。妻は、支度を終えた頃を見計らって、起きてくる。 今日は、その時間をとうに過ぎたのに、妻は未だ顔を見せない。折角の料理が、冷めてしまう。 コーヒーを片手に寝室を覗くと、妻がベッドの上で伸びをしていた。起きたばかりらしい。髪が逆立たっている。「おはよう。今朝は、どうしたんだい?」 妻は、目を閉じたまま、「あーあっ、損した」 と息巻く。「何を?」