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東京駅から片道6時間かけて自転車に乗りに行った話

地元関西に住む友だちと東京在住のわたし。

昨年の春、旅行も兼ねてどこかで落ち合おうと決まった1泊2日の国内旅行。

行き先は岐阜県初めての岐阜県だ。

当初、白川郷に行って高山の温泉で一泊の予定だったが、友人がどうしても行きたいところがあると言う。

その名もレールマウンテンバイク「ガッタンゴー!!」だ。

ネーミングが既におもしろくて、どうしてもそこに行きたいと言う友人を可愛らしく思う。

聞けば、2006年に廃線となった全長19.9kmの旧神岡鉄道の線路を2台の自転車で走行するアクティビティーで、
町を支えてくれた旧神岡鉄道やその車窓から景色をそのままの形で残したいという地元の人たちが意見を出し合って出来たものだそうだ。

それを聞いて、なんだかその景色を見たい気がしてきたのだが、、

東京から高山まで1回の乗り継ぎを経て約4時間、そこから更にバス、バス、タクシーの乗り継ぎで2時間ととてつもなく遠く、

「どこから来たの?」と声をかけてくれたバスのおじちゃんに、
東京と大阪だと答えると笑われた。

そりゃそうだ、大の大人が自転車に乗るために約6時間もかけて来たのだ。

当の私たちもおかしくて、何もなくても笑えていた女子校生の頃のように、ケラケラと笑い転げたのを覚えている。

そして家もほとんどない山奥の駅から、やっと始まった自転車鉄道の旅。

広く青い空に新緑のみどり、

荒々しい川の水、

真っ暗で涼しいトンネル、

気さくで優しい地元の方々。

この車窓を残したいと願った地元の人たちの思いに自分の気持ちを重ねた。


「前を走る自転車が見えたら安全のために減速してください。」

最初にそう説明されるから、前にも後ろにも私たちしかいない。山もレールも自分たちだけのもののような気持ちになる。

今思えば、ソーシャルディスタンスばっちりのアクティビティーだ。

高山に帰って美味しい日本酒や飛騨牛に温泉。高山では大人になった至福もしっかりと感じて就寝。

翌日の朝、朝風呂に行くつもりが、

二人揃って全身筋肉痛で、畳の上の布団の上でコロコロと笑い転げた。

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あと何回こうして独身の友人同士、自由で少し無茶な旅に出かけられるのであろう。

もう一度あの自転車に乗れるなら、紅葉で染まった秋の時期に行きたい。


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