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試される大地の優しさに触れた北海道10日間の旅 / 南千歳を経て東室蘭へ


2023年10月にJRのフリーパスを使って北海道一周旅をした、くろしおです。


前回の記事では、根室から始発の列車に乗って車窓から望む日の出や、釧路から帯広までの列車旅をお届けしました。


今回は帯広から南千歳を経て、室蘭に向かいます。

7日間有効のフリーパス。6日目にして、再び初日に列車で通ったルートへ。

ここでどのように旅をしてきたのか地図で確認してみることにしましょう。

函館をスタートに、ピンクの矢印の方向に北海道を巡ってきました。改めて辿ってみると富良野ふらの美瑛びえいなど、北海道中央部の地域には残念ながら立ち寄ることができていません。

北海道の形に沿って
旅をしているのがわかります。


中央部には行けなかったけど広大な北海道のエリアを分けた地図を見ると、列車ですべてのエリアを巡ることができたのがわかります。

青のマーカーあたりが
富良野や美瑛です。

それも、この切符のおかげ。旅のスタート時に書いたこの言葉。「高いのか?安いのか?」 あと残り一日を残していても、充分価値のある一枚だったと言えるのではないでしょうか?

https://note.com/kuroshio_168/n/n3b8ab303cca8


さぁ、相棒の切符と共に、北海道一周を最後まで楽しみます!

次来る時は、
水曜日は外さないとね(笑)
特急とかちに乗り
南千歳まで行きます。


この区間は、「狩勝峠かりかちとうげ」 という、厳しい峠越えがある路線を列車が走り抜けて行きます。

この峠を境に、東側の十勝川水系の川は太平洋に、西側の石狩川水系の川は日本海へ流れこむ分水界ぶんすいかい※になっています。

※ 降った雨の水が違う水系に流れる境目の場所のこと。

かりかちとうげ


厳しい峠越えには必ずと言っていい程の絶景が待っています。

何故って?峠とは山の坂道を登りつめた最も高い所。 山の上り下りの境目。と言う意味。列車で登山しているようなものです。


すなわち、ついさっきまで真横に見ていた十勝平野が眼下に広がり、こんなところまで列車で登ってきたんや!ってことを車窓から実感できます。楽しみですね。

と、峠を超える前に腹ごしらえをしておきましょう(笑)帯広で買った、豚丼とスイーツです。

レギュラーサイズを購入したけど、
めちゃボリュームあり。
美味しかった~。でも、やっぱり、
どんぶりで熱々を頬張りたい!

このぶた八さんは店舗も構えておられて、お店で作ったお弁当を店の方が大きな保温バックに入れて持ってきては、駅で販売しています。

なので、売り子さんがしばらく不在になる時があります。その時は、お店にお弁当を取りに行っているみたいなので、気長に待ってあげましょう。

あと、豚丼おにぎりもありました。冷めた状態だと、おにぎりのほうが美味く頂けるかもしれませんね。

紐を引っ張ると温かくなるやつも売ってたけど、割高になるので、そのあたりはみなさんのお財布事情におまかせします。


そして、デザートはこちら。
駅ナカのセブンイレブンで単品売りしていたものを購入。柳月さんから販売されているものばかりですが、すべて素材の味が濃厚というか、混ざりけのない純粋な味を楽しめました。ちょっと感動したのは、「BONNE」。(写真下段中央のやつ)実は、洋酒の入った洋菓子は苦手なんです。だけど食べた瞬間、ん?あれ?いける!美味しい!とパクパク食べちゃいました。

普段なら手にしないジャンルを、なぜだか購入したのは様々な残念からのお礼なのかも?ありがとう帯広!

帯広スイーツはどれも美味しいと
稚内で知り合ったおじいちゃんも、
言っていました。


では、特急とかち 南千歳までお願いね!出発進行~。

さっそく、こんな駅に停車。

根室(ねむろ)ならぬ、芽室(めむろ)駅です。

北海道の駅名は似た名前が多い~


芽室駅を出発して新得駅までは、のどかな風景を眺めながら進んで行きます。


反対側の車窓からは日高山脈が望めます。

日高山脈


両方の車窓から望める、緑いっぱいの景色と駅弁。。。最高な組み合わせを満喫していると、特急とかちは新得駅に到着。

駅名標に書かれている次駅の落合から富良野までの区間は約6年の歳月を経て復興叶わず残念ながら全線廃線になってしまいましたね…。

私が今から向かうのはトマム駅方面。この新得からトマムの間に狩勝かりかち峠があります。

新得~トマム間にある
ヘアピンカーブ(緑色マーカー)を
北海道の列車は走って行く。


これほどまでに迂回し、さらにトンネルを掘らないと峠越えができないのです。それだけ過酷なところに線路が敷いてあるってすごい。

景色が変わり
山がすぐそばに見える
十勝平野。
峠を越えてるのを車窓から
感じることができる景色。
山々は素晴らしい紅葉。
実際の車窓はもっとパノラマです。



列車は無事、峠を越えトマム駅に到着しました。

星野リゾートが有名ですね。


この駅名、普段目にするのはカタカナ表記が一般的だと思います。

実は漢字表記もあります。


「トマム」とは、アイヌ語で『湿地や泥炭地でいたんち』という意味だそう。

そして漢字で書くと『苫鵡』(トマム)。実際に漢字が使われていてるのは苫鵡神社や胆振苫鵡いぶりトマム簡易郵便局などがあります。

そんなトマム駅を出発すると、山々は更に紅葉が増し、とても素晴らしい景色を見せてくれました。この時期しか知らないけど、流れる車窓から見れる、いちばんきれいな季節は秋なんじゃないかな?と思うほどでした。

途中、何度か渡る川は
鵡川(むかわ)
こちらも鵡川です。


そして占冠駅に到着します。

占冠(しむかっぷ)。こちらもなかなか初見では読めないですね。調べてみると、アイヌ語の 「シモカプ」 からきていて、意味がとても素敵なんです。

『とても静かで平和な上流の場所』

静かで平和な占冠村は東京23区とほぼ同じ広さで約94%が山林だそうです。

星野リゾートもこの村にあります。


占冠駅を出発すると次の駅は新夕張駅です。

夕張川を渡り
しばらく走ると新夕張駅です。

夕張(ゆうばり)と聞いて、まっさきに思いつくのは、「夕張メロン」でしょうか。

こちらも日本語ではなく、アイヌ語由来で 「ユー・パロ」からきています。 「鉱泉の湧き出るところ」 という意味があるのだそう。

夕張は昔、炭鉱が盛んで採掘された石炭の輸送に鉄道が大活躍していた時代がありました。しかし、ガス突出で火災が発生し、たくさんの死者を出したことに加え、火災が幾度となく起こり手がつけられなくなって閉山してしまいます。

その閉山した夕張炭鉱のひとつである 「北炭夕張神通坑」ほくたんゆうばりじんづうこうは、今なお地下で石炭が燃え続けているのだそう。


そのため周辺は地面から湯気が出ていて、冬でも地表が温かいため雪が積もらず地面がむき出しなんだとか。かれこれ、一世紀近く鎮火することなく燃え続ける地下の石炭。。。100年変わらず燃え続けるってすごいパワーだし、それだけ石炭が地下にあるってことだよね?

地表に上がってくる温度は40度ほどだそうで、到着すると地面から湯気がたっているのが確認できるそうです。

そして調べていくうちに、このような湖を知りました。

先に載せた北炭夕張神通坑地図の
右側にある湖です。

夕張市にある人工湖です。


市のホームページによれば、シューパロ」とはアイヌ語で「シ」=本当の、「ユーパロ」=鉱泉の湧き出るところとなり、「夕張川本流」を意味する。と記載されていました。

かつて夕張市の東部、夕張川の最上流部の河岸段丘かがんだんきゅう※に形成された炭鉱街があり、そのあたりを大夕張と呼んでいたみたいで、その中の鹿島地区が、ダム建設によってシューパロ湖の湖底に沈んでいるのだそう。

※ 川の流れに沿そってつくられた、階段状の地形のこと。

くろしおが乗車した特急とかちは
石勝線を走っています。


元々、昔に 大夕張ダム というのがあり、さらに大きくする為に、平成27年に 夕張シューパロダム というのが建設されたみたい。ダムが沈んでいるダム湖になるわけですね。それは大きいはずです。

特急で通過しただけの夕張。なんだか気になり調べてみたら、紆余曲折うよきょくせつの歴史を歩んできた町であることを知りました。今なお課題を抱えている夕張市。たくさんの自然を活かせる何かが新たに生まれるといいのになと思いました。

次駅の滝ノ上駅は無くなってしまう。


とは言え、なかなか現状は厳しい…。2024年3月16日、JRダイヤ改正と共に夕張市にある滝ノ上駅は廃止となり、ひとつ駅が無くなってしまいます。残念だけど、維持ができないと仕方のない選択なのかもしれません。

新夕張駅をあとに滝ノ上駅も過ぎ、特急とかちは次の停車駅である追分駅を目指します。

こちらも夕張川です。

追分駅(おいわけ)。ここは駅名のとおり、特急とかちで走ってきた石勝線と室蘭本線の接続駅です。

「滝ノ上」
もうすぐ路線図からも
名前が消えてしまいます。



追分駅も、かつて石炭輸送で栄えた重要な拠点駅だったため、線路やホームなどは、とても広い造りの駅になっていました。

追分駅



こうして、紅葉の山々、青々しい緑の牧場や畑、目にも鮮やかな景色をたくさん見せてくれた特急とかちの列車旅も終わりに近づいてきました。

このような景色に
何度魅せられただろう。
ずっと見ていられる。


南千歳駅に到着です。くろしおが乗ってきた特急とかちは駅を出発していきます。

特急とかち ありがとう。
札幌まで頑張って!


さて、次の列車までの接続時間は30分ほど。鉄道好きな人なら、ここには0キロポスト※があるので、見に行きたい!ってところでしょうが、花より団子のくろしお(笑)買いたいものがあるのでそちらに行きますよ。

※ キロポスト とは、その路線の起点から何キロの地点であるかを示す標識を指し、0キロポストとは、その路線の起点を示すものです。


向かいホームから写真だけ撮っておきました。北海道の形をした立派な黒い石碑が0キロ標。写真左下、線路とホームの間に見えてるのは、0キロポストだと思います。

鉄道旅は好きだけど、
キロポストは
あまり詳しく知りません(汗)



ここは、かつての空港駅だけあって年季は感じられるけど、それなりに立派な駅でした。

かつての空港駅だけあってか、
タイルのデザインが風向きっぽくない?

飛行機のプロペラをイメージしてたりして?




駅構内の窓からは、見切れているけど旧千歳空港やターミナルビルの跡地が広がっていると思うのだけど違うかな。

今は航空自衛隊千歳基地に。
ここは新千歳空港と
繋がっているんだって。


おっと、違う、ちがうー(苦笑)キロポストや飛行機の話しは置いといて~。

くろしおが行きたいのはこっち!旅の1日目にも紹介したところへ。


食べてみたい駅弁があるんです。
まだ売ってるかなぁ。

ホームにあるちっちゃいお店。
これです!
いいですよね。この店構え。
The駅弁屋さんです。

やったー!残りひとつを購入することができました。お店の人にも、よかったねーと言っていただけ、念願の駅弁を持って、次に乗り込む列車は『特急北斗  函館行き』です。

“特急北斗” くろしおにとって、フリーパス1日目、北海道一周スタートの時に北海道で初めて乗車した特急とくべつきゅうこうです。帰ってきましたね。北斗も行先の函館も、ほんの数日前の出来事だけれども、とっても感慨深いものを感じました。

そんな北斗が駅に入ってくるのを、じっと見ていました。ほんとうに思い入れのある時って、カメラを向けるのを忘れるみたい。なので、写真はありません。南千歳駅に到着した特急北斗は、私の思い出の中にしっかり残っています。

南千歳~東室蘭の乗車時間は50分ほど。その間に、初日と同じ苫小牧や登別、白老などを再び車窓から眺め、東室蘭駅に降り立ちます。

特急北斗で
南千歳から東室蘭へ


今日の宿泊は東室蘭です。というのも、室蘭より東室蘭のほうが栄えています。ホテルもたくさんあり、駅近に飲食店やスーパーなど揃っていて滞在しやすいです。東室蘭~室蘭間は、列車の本数もそれなりにあるので東室蘭に宿泊して列車で室蘭に行くのがいいと思います。

ちなみに、札幌から特急北斗ではなく、特急すずらんに乗ると終着は室蘭になるので、東室蘭で降りることなく室蘭駅まで行くことができますよ。(2024年現在、すずらん2号のみ東室蘭止まり)

くろしお、フリーパス6日目にして室蘭に降り立ちます!

今夜お世話になります!
到着です。


さっそく駅の外へ。

赤色でおしゃれ。
西口
東口
西口方面
東口方面
この写真好き。
おしゃれな東室蘭駅と記念に一枚。
かわいい
大きな駅ではないけど、
しっかり存在感はアピールできている


室蘭は製鉄、鉄鋼、造船など、北海道の中心的な工業都市で “鉄のまち” なんです。



今日は、東室蘭西口に降りると目の前に見えるルートインに宿泊します。

とっても便利でした。
ホテルからの東室蘭駅


部屋に荷物を置いたら、東室蘭から室蘭駅に行きますよ。


しかも、特急すずらんに乗って。


ちょっと得した気分になれるプチ列車紀行は次回に。




くろしお

南千歳駅で買った駅弁
これ、おすすめ!
買えるのは南千歳駅と苫小牧駅です。


続きの旅はこちら。

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