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透明なビールは美味しいね。そう言った、精神科のある日。

精神科に一ヶ月ほど緊急入院した事があると書いた、この前の記事。
今回はその時会った人達の事を書こうと思う。
変わった人もいたが、事情があり家がなかったり、家で暮らす準備期間中の人、どこにでもいそうな人達も入院してたのが、入院先の病院だった。

https://note.com/kuromunote/n/n5bdbee8096cd

病練にも談話室があり、個室から出られる程度に回復すると、よく談話室で過ごしていた。
談話室には、いつも決まったメンバー4〜5人がいてダラダラとテレビを見たりするのが日常だった。

主なメンバーはMさん、Uさん、Yさん、Tさんだった。
その中のMさん…マサミさんと呼んでいたおじさんは、楽しい人だった。

談話室

談話室では、私もダラダラとテレビを見たりして過ごしていた。

談話室はそこにいるみんなが、なんとなくいるだけ…よそよそしくはないけど、何か話さなくてもいいような雰囲気、それがとても心地よかった。

やることがない。
やらなきゃいけない事が無限にある日常から、何もしなくていい日常になっていた。
それが入院時には、一番大切な事だったのだと、今は思っている。

透明なビール

よくマサミさんと二人で、冷たい水を看護師さんに貰いに行った。
この冷たい水の事を「透明なビール」と言ったりしていて
ちょいちょい「透明なビール飲んでくるか…」と水をもらいに行く感じ。

病室に備え付けの冷蔵庫は料金がかかるので、患者さんによっては使っていなく、私も最初は使っていなかった。

ぬるい水と、冷たい水、この差は大きくて、冷たい水はビールよりも美味しく感じていた。
私は入院時に脱水状態だったから、自分で好きな時に水を飲むことが出来るという事だけで、美味しく感じたのかもしれない。

そんな訳で透明なビールは入院中よく飲んでいたなー。

あたらない神経衰弱

マサミさんとは暇な時にトランプもした。
ジャック、クイーン、キング、エースだけの神経衰弱をしたけど、全然上手く当てられない。私は毎食大量の薬を飲まされているし、マサミさんもこういう病練で過ごしている期間がそれなりのようだったし。

まぁ、ふたりとも当たらないこと…。

他にも何かカードゲームをやったりしたけど、すぐ、ダメだ~とすぐナースステーションに返しに行ってた。
チャレンジ精神だけはあったのかな。

テレビ時代劇

談話室では、午前10時くらいからの時代劇の再放送を見ていた。
松方弘樹主演の遠山の金さんと、桃太郎侍だったと思う。

見ている間は、ただボーッとしていた。
いつもいたUさんが、松方弘樹のについて色々話してくれたのを思い出す。
Uさんは高齢の女性で、すごくしっかりした方だった。

時代劇は子供の頃よく見ていたので、俳優の話をしたり。
あとは、覚えていないけど、何を話したかな?

きっと、どうでもいい事を話していたんだと思う。何気ない話。
見ていた時代劇の俳優の話、歌謡曲の歌手の話。沢山は話さないけど。

目の病気の事は話したけど、家の事とか仕事の事は、あまり話さななかったと思う。今思うと、話すと、またあの日常に戻らないといけなくなりそうで、話すのが少し怖かったのかもしれない。

院内レクレーション

週に何回か院内でレクレーションがあった。
折り紙だったり、ボール遊びだったり、書道だったり。
参加は自由だった。毎回数名は参加していたような?

書道の時、マサミさんはとても綺麗な字だった。
私は、マグロ、ブリ、イクラとかを書いた。入院している限り、刺し身は食べられそうになかったからだけど。

よく考えたら、院内のコンビニでは鉄火巻を売っていたのを後で思いついた。後で買って食べたけど、普通のコンビニの鉄火巻が、とっても美味しかった。

病棟の中

話は戻って入院について。

最初のうち(ずっと点滴をして寝ていた時)は、個室の中で過ごしていたけど、その後は6人部屋になった。
部屋には、ほぼ2人しかいなかったけど…。

外出したいと言えば、外に出るのは自由な人もいた。それは、患者さんによるのかな。あと、面会は家族のみという事だった。

一日一回子供と会ったり、家族と一緒に病院内のコンビニにも買い物にいけた。
面会やコンビニの時は、廊下で鍵を開けてもらい外に出たので、鍵なしでは出られないらしかった。そういうところは、やっぱり違う。

食事については、私は談話室で食べていたけど、部屋で食べてもよく、これも自由だった。

変な人は、やっぱりいて、あーとか言ってる時があったけど
「言っているだけで、薬も効いてるから何もしない。」
と、Uさんが言っていた。
そして、談話室にはあまり来なかったので、気にはならなかった。

入院するまでは、どんなところか想像もつかず、怖かったけどそうでもなかったというのが感想。

ただ、談話室で話していた人以外については、よく判らない。

ほとんどの人がベットにいるのだけど、比較的、普通でアクティブな人達が談話室に集まっていたのだと思う。

もしずっと1人でベットにいたらと思うと、楽しくは過ごせなかっただろう。きっと、滅入ってしまうような気がする。
よくしてくれた看護師さんもいたし、談話室で会った人達も良かったのだと思っている。

不思議な感覚だけど、あの方達は会うべくして会った人達だったのかなぁ、と今では思っている。



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